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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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飛幡祐規『「とってもジュテーム」にご用心!』・・・・・・・・・木村草弥
ジュテーム

──新・読書ノート・・初出Doblog2005/08/20──

   飛幡祐規『「とってもジュテーム」にご用心!』・・・・・・・・木村草弥

この本のことについては、つい先日あるところで雑談中に採り上げたので、思いついて書棚から引っ張り出した。
この本は1998年に出たもので、もう数年も前のことで、詳しいことはすっかり忘れていた。
晶文社刊のもので、著者の名前は(たかはたゆうき)と読む。私は(とびはた)とばかり記憶していて、失礼した。女の人である。
同じ著者に『ふだん着のパリ案内』『素顔のフランス通信』の著作がある。
著者は1956年東京生まれ。1974年に18歳で渡仏してから在パリ。パリ第五大学にて文化人類学を専攻、パリ第三大学でも学ぶ。

この本のキャッチコピーとして

<憎からず思っている誰かさんからに、「ジュテーム・ボークー」と言われたら?
脈がないのね、と観念しましょう。フランス語の愛の告白は単純明快な「ジュテーム」ひとこと。「ボークー=とっても」がくっつくやいなや、「ただの友だち」的好意となってしまうのです。>


と書かれている。 こんなことは学校では教えないことで、まさに「目からウロコ」である。
フランス語で書くと Je t’aime beaucoup となる。
親しくない間柄では Je vous aime となるが、上記のような親しい間柄になると tu toi の言葉を使う身近な存在になるが、この beaucoup の一語が余計だというのである。
この本の一節を引用すると

・・・・・フランス生活にまだ慣れない日本人の若い女の子から、相談を受けた。
「ジャン=リュックのことなんだけど、私に気があると思う?やさしいし、この間も一緒にパーティに行ってうちまで送ってくれたけど、けつきょく何もなかったの」・・・・・
「あなたに気のあるような態度を示したことがある?口説かれた?」
「うーん、それがあんまりはっきりしないの。でも、いつだったか、君のことが大好きだって言われたのよ」
あっ、そりゃまずい。フランス語の愛の告白は修飾のいっさいない Je t’aime 単純明快なこの一語だ。うしろに bien(とても)やら beaucoup(たくさん)やらがつくと、愛しているのではなく「ただの友だち」的好意を意味する。あえて相手がそう口にする場合は、恋人関係になる気はないよとの警告なのです。
英語の love と like を aimer(愛している)ひとつで使い分けるので、こうした妙なことになるわけだが、強調が逆に愛の度合いを低めてしまうというひねくれた用法は、いかにもフランス的だ。・・・・・

飛幡さんの、この本は「普段着のフランス語」というコピーもついているように、「言葉がわかる。暮らしが見える。カルチャーショックも楽しめる」というもので、37編の文章が、一つの話題について3~4ページで読みきりという体裁になっている。

とにかくフランス人は会話におけるユーモアを重視する。女の子をものにするのも、先ず、視線から入って、あとは短時間のうちに女の子を話題で笑わせること、だと言われている。
この本に「どこかで会ったっけ? On se connait?」という項目があるが、これも女の子に近づく道具の言葉だという。
ジュテーム Je t’aime という「殺し文句」だって、フランス人は自由に操り、使いこなすだろう。英語では I love you というが、この言葉は使用範囲も、とても広いようである。肉体関係の出来た二人の間だけでなく、もっと広い場面で家族でも、友人でも師弟関係でも使用できる。
英語のこの言葉は 主語→述語→目的語 の順番になっているが、フランス語の Je t’aime では 主語→目的語→述語 の順番になる。フランス語では「修飾語」が「被修飾語」の後につくことも多い。この二つの言語は違っているようでいて、歴史的にみると実は多くの言葉が溶け込んでいると言われている。
この頃ではフランス人も英語をどんどん取り入れて会話するらしいが、発音をフランス語的にするからとても混乱するという。

この本の「やさしく口説いて galanterie 」という項目では、

・・・・・フランスには、ちょっときわどい軽口をたたくのが好きな男性が多い。相手に夫や恋人がいようがおかまいなし。現実性やモラルは抜きにして、感じのいい女性には賛辞を惜しまない。口説くふりをするのが礼儀だと思われているふしさえある。フランス男がイタリア男と並んで世界に名だたる「女ったらし」の評判を得たのは、この寛大な(?)口説きの芸や女性を見る技によるところが大きいだろう。・・・・・・

と書かれている。 galanterie ということについても色々本や歴史的にも引用されているが、煩雑になるので省略するが、フランス人ないしはフランス的なものを知るには、とても面白い本である。
「あの人のにおいは嗅げないわ ne pas pouvoir sentir 」という項目など、内容を見なくても、嗅覚のアンテナを張ってみれば、何となく生理的にお分かりになるのではありませんか。

余り長くても退屈でしょうから、この辺で退散しましょう。では、 Je t’aime!
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何度も書くが、フランス語にはアルファベットの上に色々の記号がつく。なるべく、それらの付かないものを選んだが、on se connait?の i の上には長音記号がつくが省略してあるので、お断りしておく。


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