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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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雲水の持つ箕の中は落椿この園の花五衰に入るか・・・・・草弥
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 雲水の持つ箕の中は落椿
   この園の花五衰に入るか・・・・・・・・・・・・・木村草弥


この歌は私の第四歌集『嬬恋』(角川書店2003年刊)に載るものである。
この歌の前には

掃くは惜し掃かぬは憂しと緋椿の散り敷く径に思案をすべし・・・・・・・・・・・・草弥

という歌が載っている。
「五衰」という言葉に関しては、少し説明が要るだろう。
仏教用語に「天人五衰」というのがあり、それについては←のリンクを見てもらいたい。
この言葉に関連するものとして「木の五衰」というのがあり、それはこういうことである。

<幸田露伴のエッセイに「樹の相」というのがあり、その中で、「木の五衰」ということについて
書いている。

木が衰えていく相〔すがた〕には、五つの型があるのだそうである。

「人長じて漸くに老い、樹長じて漸くに衰ふ。樹の衰え行く相〔すがた〕を考ふるに、
およそ五あり。天女にも五衰といふ事の有るよしなれば、花の樹の春夏に栄え、
葉の樹の秋冬におごるも、また復〔また〕五衰の悲しみを免れざることにや。・・・」

という文章から始まる名文である。

「木の五衰」には
①懐の蒸れること
②梢止り〔うらどまり〕
③裾廃〔すそあがり〕
④梢枯れ〔うらがれ〕
⑤虫付き
の五種類があるそうである。

①の「懐〔ふところ〕の蒸れ」とは、枝葉が茂ること、枝葉が茂ると風通しが悪くなり、
風通しが悪くなると、樹が弱ってくる。
人にたとえると、家にコモって世間と没交渉に成るようなことで、また欲望のままに
行動して節制しない状態であろうか。
風通しを善くするためには、ときどき剪定することが必要なんである、木にも人にも。

弱くなってくると根が③の「裾上がり」になって根が浅くなってくる。

そうなると木の成長が止って伸びなくなる。伸びなくなると 木の頭部、梢から枯れてくる。
つまり④梢枯れ〔うらがれ〕になる。
末〔うら〕というのは梢〔こずえ〕、「こ」は木で木の末。

梢が枯れてくると「末〔うら〕止まり」になり木の成長がとまる。

そうなると いろいろな害虫がつく、⑤の「虫食い」になるのだそうである。

この「木の五衰」は人や組織にも、当てはめることが出来るのではないだろうか。>

参考文献 幸田露伴著『露伴全集 第三十巻』
       安岡正篤著『知命と立命』

説明が長くなったが、私の歌の「五衰」は、そういう「天人五衰」や「木の五衰」を踏まえている。

俳句にも「落ち椿」を詠んだ句が多い。俳人は咲く椿よりも「落ちる」椿の風情を好んだのだった。
以下、それらを引いて終る。

 赤い椿白い椿と落ちにけり・・・・・・・・河東碧梧桐

 落椿夜めにもしろきあはれかな・・・・・・・・久保田万太郎

 咲くよりも落つる椿となりにけり・・・・・・・・水原秋桜子

 椿見る落ちよ落ちよと念じつつ・・・・・・・・相生垣瓜人

 椿落ちて色うしなひぬたちどころ・・・・・・・・芝不器男

 椿落つおろかにものを想ふとき・・・・・・・・稲垣きくの

 いま一つ椿落ちなば立去らん・・・・・・・・松本たかし

 落ちる時椿に肉の重さあり・・・・・・・・能村登四郎

 ふるさとの火色はじまる落椿・・・・・・・・宇多喜代子

 椿みな落ち真中に椿の木・・・・・・・・今瀬剛一

 椿咲くたびに逢いたくなつちやだめ・・・・・・・・池田澄子

 はいてもはいても女人禁制の庭椿・・・・・・・・仁平勝

 椿見て一日雨の加賀言葉・・・・・・・・森澄雄

  

   
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