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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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クールベのゑがくヴァギナの題名は「源」といふいみじくも言ふ・・・・・・・・・・・木村草弥
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    クールベのゑがくヴァギナの題名は
      「源」(スールス)といふいみじくも言ふ・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


この歌は私の第四歌集『嬬恋』(角川書店)に載るものである。
この歌に詠んだクールベの絵は、もう十数年も前になるが、ツアーの自由時間の一日を亡妻と「オルセー美術館」に遊んだ時に「クールベ」の室で見たものである。
この絵を、ここに出すのは躊躇されるので、→ 「世界の起源」(仏: L’Origine du monde)を呼び出して見てください。
この絵のモデルなど詳しく書いてある。

サイズは46×55センチの大きさである。この作品は館の図録(当時の定価で50フランだった)にも出ていないので、今でも常設展示されているかどうか判らない。
この絵は仰臥して股をやや開いて横たわる裸婦を足先の方から描いたもので、画面の中央に裸婦の「ヴァギナ」が大写しになっている大胆な構図である。性器が、もろに描かれているのである。
クールベは、ご存じのように「リアリズム」絵画の巨匠として、フランス画壇にリアリズム絵画の潮流を巻き起こし、一世を風靡して美術史に一つのエポックを画した人である。
前衛芸術運動華やかなりし頃には、ボロクソに言われたこともあるが、美術史の上での運動として欠かすことの出来ない存在である。
絵に戻ると、その絵の題名が「源」source スールス、だと私は記憶していて歌集にも、そのように書いたのだが、上のリンクに出したように原題は「世界の起源」(仏: L’Origine du monde)というのが正式らしいので、ここに訂正しておく。
もっとも「絵画の題名」というのは後年になって付けられることが多いので、私の記憶のように、私が見たときは「source」となっていたかも知れない。
「source」も「Origine」も同じような意味である。
それにしても「世界の起源」という題名には違和感がある。仰々しすぎるのではないか。

この歌については米満英男氏が、先に書いたリンクの批評欄で「木村草弥歌集『嬬恋』──感応」という文章で

・・・・・読み下した瞬間に「なるほど」とうなずく外はない愉快な歌である。下句の<いふ><言ふ>の駄目押しが決まっている。・・・・・

と批評していただいた。

 ↓ セルビアのパフォーマンスアーティスト、Tanja Ostojićは、2005年、この絵をパロディにして"EUパンティ"というポスターを制作した。
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↑ 写真③はオルセー美術館の内部の一部

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 ↑ 写真④は、その外観の一部で入り口の辺りを望むもの

よく知られるように、ここはヴィクトール・ラルーが20世紀はじめに設計した鉄道の終着駅・オルセー駅舎であり、鉄道廃止後、放置されていたのを1986年に美術館として改装したもので、写真②に見るように駅の大きなドームの構造を利用したユニークな造りになっている。
ドームの突き当たりにかかる大時計は、当時の駅にあった金ピカの豪華な大時計そのままのものである。

この美術館には多くの入場者があり、1988年には216万人を記録したという。パリの新名所として人気が高い。ここには1848年から1914年までの絵画、彫刻が集められ、それまでルーブルに展示してあったものも、ここに移された。1914年以降の作品はポンピドゥセンターに展示するという、年代別に館を分けるという、いかにもフランス人らしい合理主義の棲み分けがなされている。
このオルセーに展示される年代というと、日本人に人気の高い「印象派」の作品は、すべて此処にある。
即ち、ミレー、マネ、ルノワール、ドガ、ロートレック、ロダン、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌなどなどである。
この場所はセーヌ川の川岸で、オルセー河岸(Quai d'Orsay ケ・ドルセーという)という船着場のあったところ。
ここはセーヌ川を挟んで、ちょうどチュイルリー公園とルーブル美術館の向い側にあたる。
はじめに掲出した写真がセーヌ川越しにオルセーを見たもの。

P9240981オルセー・レストラン
P9240985オルセー・レストラン

この館の玄関ホールの上の中二階には駅舎であつた当時の極彩色で金ピカの内装を生かした「レストラン・オルセー」があり、食事をしながら下の回廊の様子を見下ろすことが出来る。
天井画も、ステキ ! 写真⑤⑥が、その内部である。
私たち夫婦も、ここで昼食を摂ったのは、言うまでもない。ぜひトライしてみられよ。


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