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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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ななおさかき『ココペリの足あと』・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
ココペリ

──新・読書ノート──

   ななおさかき『ココペリの足あと』・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
         ・・・・・・・・・・・・思潮社2010/08/01刊・・・・・・・・・・・・・

「ななおさかき」は、いわゆる「ヒッピー」を実践した人である。われわれには真似できない一生だった。
1923年元旦。鹿児島県川内市の染物屋、榊家に一人の男の子が生れる。
七番目の子供ということで「七夫」と名づけられる。榊七夫──ななおさかき、である。
2008/12/23 南アルプスの大鹿村で大往生、享年85歳。

ピュリッツァー賞受賞作家・ゲーリー・スナイダーなどと親交があり、この本にもスナイダーの撮った彼の写真が載っている。
ネット上には動画などもたくさん出ているので、彼の詩の朗読などを、まず動画で紹介する。 



↑ ここで朗読される詩「ラブレター」は1976年に作られたもので、彼の作品の中でも一番ポピュラーに愛唱されるものである。 

 



↑ ここに取り上げた動画は、はじめの部分でしかないので、これに続くものを見ていただきたい。2、3、4と続くらしい。
参加者との言葉のやりとりなどを見ても、彼の博識の一端に触れることが出来るだろう。

この本『ココペリの足あと』は横書き、左ひらき、という独特のものである。
これは彼が広く世界中を飛びまわって活動してきたことと無縁ではない。
執筆もすべて横書きで押し通してきたからである。
この本の紙質も、ちょうど「コミック」雑誌のようなラフなもので、これも質素な生活に明け暮れた彼にふさわしい。
だから220ページ余りの分厚さながら定価が2200円で収まっている。
ここで彼の詩をひとつ紹介してみよう。

   鏡 割るべし・・・・・・・・・・・・・・・ななおさかき

     朝早く シャワーの後
     うっかり 鏡の前に立つ

     胡麻塩頭 白いひげ 皺ふかく
     なんと うらぶれた男よ
     俺じゃない 断じて俺じゃない

     この大地 このいのち
     海にすなどり
     星たちと 砂漠に眠り
     森あれば 仮小屋むすび
     古く ゆかしい農法にたがやし
     コヨーテと共に歌い
     核戦争止めよと歌い
     疲れを知らぬこの俺 ただ今17歳
     なんと 頼もしい若もの

     十字に脚くみ ひっそり座る
     もの思い やがて消え
     声ひとつ いま忍びよる

     “この命 老いを知らず
      この大地 すこやかなれと
        鏡 割るべし”

                   1981年10月
                   キャンベラ
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      履歴書・・・・・・・・・・・ななおさかき 

     な す べ き こ と

     多 く

     し か も

     果 た せ ぬ こ と

     更 に 多 く

     従 っ て

     な す べ き こ と

     今 更 に な く

     間 抜 け た 顔 に

     跳 ね る 春 風  

              1985年2月
              信州、岩殿山
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     ココペリ・・・・・・・・・・・・・ななおさかき 

                                “私は 歌
                                 私は ここを 歩く”
                                   ──古代ホピより
 
      こことは
      夜明けが 君と出会う ところ

      こことは
      そよ風が 君と出会う ところ

      こことは
      花々が 君と出会う ところ

      こことは
      鳥たちが 君と出会う ところ

      こことは
      歌が 君と出会う ところ


          私は 歌
          私は ここを 歩く

                    1992年4月
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彼──ななおさかき の作品群は多いので、折をみて紹介したい。
一番はじめに掲出した本の「帯」文──ゲーリー・スナイダーの文章が読み取れると思うが、
この一文に彼の詩のエッセンスの要約が書かれている。

彼の本は、この他にも
■『犬も歩けば』新装版・野草社
■対訳『亀の島』スナイダー、ナナオサカキ 
など新本で手に入る。 →アマゾンを見る  


綿菓子売りのおばさん!/あなたは ずっと昔から/・・・・・・・・・・・・・・・・・高田敏子
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──高田敏子の詩──(6)再掲載・初出Doblog2004/10/03

         縁日・・・・・・・・・・高田敏子

     綿菓子売りのおばさん!
     あなたは ずっと昔から
     そうしていたのではありませんか

     花火屋のおじいさんも
     ほおずき売りのおばあさんも
     みんな 昔のまんま
     ああ 幼なじみの少年が
     金魚を下げて歩いてくる

     ここは魔法の国ではないかしら?
     アセチレン灯の匂いのなかで
     私は子どもにかえってゆく

     そう すず虫のごちそうは
     キュウリの輪切でしたっけ
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この詩は詩集『月曜日の詩集』に載るもの。 今ではアセチレンガスの灯はなくなってしまった。



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