FC2ブログ
K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
201012<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201102
ときおり 霰を砕いたような乾いた雪が/ぽつぽつと黒いコートの肩に ・・・・・・・・・・・駒木田鶴子
taizoukai1.gif

     冬の旅・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・駒木田鶴子

     銀閣寺の参道を
     観光バスの一行から だいぶ遅れて登って行く
     ときおり 霰を砕いたような乾いた雪が
     ぽつぽつと黒いコートの肩に止まる
     あれが京都の初雪だったと
     翌日の朝刊を見て ちょっと驚いた
     病院のベッドの上に正座して
     白い照射マークをつけられた喉に
     嫌々 アイソカル(栄養補助食品)を流し込んでいた夫が
     一年後の夕方
     先斗町の小料理屋で うれしそうに魚素麺などすすっている
     初めての修学旅行にしてはヒネているね と笑いながら

     旅の終わりの日
     ほの暗い講堂に にぶい光を放つ立体曼荼羅
     億万の祈りを吸って黒ずむ 大日如来
     太陽の化身に手を合わせる人の姿が
     一瞬 透けて見える
     一切は無で始まり無で終わる
     日輪のごとく
     生まれては死に 死しては生まれ・・・・・

     気がつけば
     東寺の五重の塔の上に
     いくつもの青いみずうみが広がり
     その下を
     ここにいるはずもなかったふたり連れが
     死に装束を脱いで
     京都駅に向かって歩きだす

toji3.jpg

----------------------------------------------------
この詩は先に紹介した『滋賀・京都 詩歌紀行』に載るものである。
掲出写真には、詩の中にもある「曼荼羅」を出しておいた。

copyright © 2019 Powered By FC2ブログ allrights reserved.