
骨遊び・・・・・・・・・・・・・・・・・・・冨上芳秀
都の外れには
底なしの池があって
坊主や女の骨が沈んでいる
それを拾ってきて
部屋の中で生き返らせて遊ぶ
坊主は木魚を叩くが
音感はまるでないので苛める
女は酒を飲ませて
算盤で計算させて間違えると
足の裏をくすぐって
死ぬほど笑わせる
冬枯れの池に漁師は凍えながら
網を投げ入れて
遊ぶための骨を引き上げている。
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この詩も『滋賀・京都 詩歌紀行』に載るものである。
ここにいう「池」とは、作者によると嵯峨野の「広沢池」のことである。
この池は周囲1.3キロほどの割合に広い池で、989年に宇多天皇の孫・寛朝僧正が池の北西に遍照寺を建立した際に造らせたとされる。
今はもう寺はないが、昔は釣殿や月見堂があったとされ、月見の名所として大宮人や歌人が訪れ、歌を詠んだという。
この詩は、一見すると何となく不気味な感じがするが、幻想を含んだ現代詩であって、面白い。
この辺りも幾多の戦乱に巻き込まれたので、この池にも屍などが放り込まれたらしい、という設定で、この詩は成り立っている。
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