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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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邱 海涛『チャイニーズ・レポート』・・・・・・・・・・・・・木村草弥
キュウ

──新・読書ノート──

     邱 海涛『チャイニーズ・レポート』 あっと驚く! となりの国の性愛事情・・・・・・・・・・・・・木村草弥
           ・・・・・・・宝島SUGOI文庫・2010/11/19刊・・・・・・・・・・

      中国4千年の歴史と13億人の民による、驚くべき性文化と風俗事情。
     小平の「改革・開放」政策により、経済成長だけではなく、人民のセックスは爆発状態!
     花咲き乱れる新風俗ビジネス、結婚前に夫婦生活をテストする「試婚」の流行、そして
     農村で出稼ぎ夫を送り出す“留守番妻”の性事情から、共産党役人たちの酒池肉林まで。
     現代中国の愛・欲・性と、最新セックス産業を赤裸々にリポートした書き下ろし文庫。


この本の目次を列挙して置こう。

     第一章★パワーが炸裂する「性意識革命」
     第二章★花咲き乱れる新風俗事情
     第三章★知られざる農村セックスライフの実態
     第四章★共産党役人の酒池肉林
     第五章★婚姻ビッグバン──「試婚」
     第六章★離婚自由時代のカーニバル
     第七章★中国同性愛者の昔と今

この本の著者・邱 海涛(キュー・カイ・トー)は、1955年上海生まれ。上海外国語大学日本語科卒業。
1985年に来日し、慶応義塾大学および東京外国語大学で学んだ後、日本企業で10年間勤務する。
現在、中国と日本の間で出版や映像プロデューサーとして幅広く活動中。
日本語著作に『中国セックス文化大革命』(新潮社)、『中国五千年 性の文化史』(集英社)、
中国語著作に『輝くスター・高倉健の世界』(上海文匯出版社)など。

本文中の記事によると、彼は日本国籍を取得しているらしいが、住まいは上海郊外、だと書いている。
「文化大革命」の時期には、かなりひどいめにあったらしいが、この悪夢の終結後、大学に入っているのである。
自身の受難についての記述は殆ど無いが、その世代の多くの人と同様に、ひどいめに遭ったと想像される。

この本の終りの方に載る「同性愛は罪なのか?」の中で、中国古来の思想─儒教文化と道教文化についての、日本人の余り知らない重要な記述がある。

<儒教は道教とならぶ代表的な宗教で、数千年にわたって中国人の精神を形成し、性の意識にも大きく影響した。
儒教のリーダー格の孟子が言う。「不孝有三、無後為大」。不孝には三つある。祖先を祭らないこと、親に孝養を尽くさないこと、子(男子)をなさないことである。儒教ではこの三つのうちの最後の「跡継ぎの男子がない」ことが一番の不孝であるという。
要は「子孫繁栄」が社会倫理の第一義であるからだ。子供を作るためには妻の数はいくら増やしても構わないという。
では、子孫繁栄を至上とする古代中国で、同性愛は、これが意外にも否定的ではなく、積極的に肯定しないまでも反対論は多くはない、と。
その理由には「道教」があるからである。道教は基本的にセックスと健康に関する学問であり、理論の核心「採陰加陽」の四文字にある。
男性は性交の際にできるだけ射精しないようにすれば、女性の陰の気を吸収でき、それによって長命が得られるという考え方である。>

この記述を読んで、私は江戸期の貝原益軒『養生訓』が長命の極意として「接して洩らさず」と説いていることの原典が「道教」にあった、のだと、すぐに気づいた。
また、中国の「一人っ子」政策に、特に農村部で反発が強く、法に反してでも「男の子」を作ろうとすると聞いたが、その行為の根拠も、これで説明がつくだろう。

これ以上の内容に立ち入っての解説はしない。
目次のタイトルを見れば、押して知るべし、の類であるからである。「拝金主義」と「性を含む欲望過多」がヒドイ現代中国であることを言っておきたい。

日本でもよく知られている♪草原情歌♪というのがあるが、その替え歌のエロチックなものが紹介されているが、
敢えて、それには触れず、元歌のしっとりしたものを動画で出しておく。



みちのくの町はいぶせき氷柱かな・・・・・・・・・・・・・・山口青邨
gal18.19つらら

   みちのくの町はいぶせき氷柱(つらら)かな・・・・・・・・・・・・・・・・山口青邨

もうすぐ「大寒」であり、一年中で一番寒い時期である。
京都も連日、日中の最高気温も4度、5度という冷たさで、冷蔵庫、冷凍庫の中にいるような日がつづく。
今日は、そんな寒さに因んで、「氷」「氷柱つらら」「氷湖」などについて書きたい。

掲出句については、少し解説が必要だろう。
青邨の句には「いぶせき」という、あまりなじみのない表現がある。
古語辞典を引くと「いぶせし」という「ク活用の形容詞」は
①気が晴れない。うっとうしい。②様子がわからず気がかりだ。気が休まらない。③不快である。の意味だと書かれている。
言葉の意味は、①②③のように挙げられているが、一番元の意味は①であり、番号が増える順に派生した用法ということになる。
この句の場合の「いぶせき」というのは、「いぶせし」の連体形ということだが、意味としては、②の「気が休まらない」辺りがぴったり来るだろうか。

われわれ暖地に住むものは、雪が何メートルも積もる映像を見ては、「こんなところに住んでみたい」などと簡単に言うが、
そんな豪雪地帯に毎日居住する人にとっては、雪との格闘の毎日であり、深刻な「気が休まらない」「鬱陶しい」ことなのである。
話は飛ぶが、台湾の人は亜熱帯であるから、平生に雪は知らないわけで、台湾からの観光客には北海道の冬は人気があるらしい。
というのは、先に私が書いたことと同じ心理状態ということになる。地元の悩みも知らずに、珍しいもの見たさ、ということである。

 櫓の声波を打つて腸(はらわた)氷る夜や涙・・・・・・・・松尾芭蕉

 氷上や雲茜して暮れまどふ・・・・・・・・原石鼎

 蝶墜ちて大音響の結氷期・・・・・・・・富沢赤黄男

これらの句は「凍てる」風物を単に写生するのではなく、鋭く「心象」に迫るものがある。
三番目の赤黄男の句は「前衛」俳句と呼ばれるものである。
以下、「つらら」を詠んだ句を引いて終る。

 遠き家の氷柱落ちたる光かな・・・・・・・・高浜年尾

 一塊の軒の雪より長つらら・・・・・・・・高野素十

 楯をなす大き氷柱も飛騨山家・・・・・・・・鈴鹿野風呂

 絶壁につららは淵の色をなす・・・・・・・・松本たかし

 夕焼けてなほそだつなる氷柱かな・・・・・・・・中村汀女

 月光のつらら折り持ち生き延びる・・・・・・・・西東三鬼

 胃が痛むきりきり垂れて崖の氷柱・・・・・・・・秋元不死男

 嫁ぐ日来て涙もろきは母氷柱・・・・・・・・・中尾寿美子

 ロシア見ゆ洋酒につらら折り入れて・・・・・・・・平井さち子

 みちのくの星入り氷柱吾に呉れよ・・・・・・・・鷹羽狩行



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