fc2ブログ
K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
201103<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201105
清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき・・・・・・・・・・・・・・与謝野晶子
entry_24しだれ桜円山公園

     清水へ祇園をよぎる桜月夜
        こよひ逢ふ人みなうつくしき・・・・・・・・・・・・・・与謝野晶子


この歌は晶子の歌の中でも人口に膾炙した有名な歌である。
京都の地を知っている人ならば、清水、祇園という地名が持つ「喚起力」というものを高く評価する筈である。
そこへ「桜月夜」である。舞台設定は益々的確である。
その上に「こよひ逢ふ人みなうつくしき」と追い討ちをかける。
何とも見事な歌作りであろうか。

 経はにがし春のゆふべを奥の院の二十五菩薩歌うけたまへ

 絵日傘をかなたの岸の草になげわたる小川よ春の水ぬるき

 春三月柱(ぢ)おかぬ琴に音たてぬふれしそぞろの宵の乱れ髪

 ひとつ篋にひひなをさめて蓋とぢて何となき息桃にはばかる

 わがいだくおもかげ君はそこに見む春のゆふべの黄雲のちぎれ

 夕ぐれを花にかくるる小狐のにこ毛にひびく北嵯峨の鐘

 下京や紅屋が門をくぐりたる男かはゆし春の夜の月

 春みじかし何に不滅の命ぞとちからある乳(ち)を手にさぐらせぬ

 春ゆふべそぼふる雨の大原や花に狐の睡(ぬ)る寂光院

 川ひとすぢ菜たね十里の宵月夜母がうまれし国美くしむ

 春の雨高野の山におん児(ちご)の得度の日かや鐘おほく鳴る

 わが肩に春の世界のもの一つくづれ来しやと御手を思ひし

 羽じろの桜の童子ねぶりたり春の御国のあけぼののさま

 住の江や和泉の街の七まちの鍛冶の音きく菜の花の路

 ゆく春や高燈台のむらさきの灯(ほ)かげの海に細き雨ふる

 木の間なる染井吉野の白ほどのはかなき命抱く春かな

--------------------------------------------------------------------
目につくままに、春にまつわる晶子の歌をアトランダムに抽出してみた。まだまだ、いくらでも出てくる。
やはり与謝野晶子と言えば、歌の天才である。余計な経歴など不要である。
ゆっくりと、鑑賞してもらいたい。

bousi7512与謝野晶子 
与謝野晶子についてはWikipediaの記事に詳しい。

450px-E4B88EE8AC9DE9878EE699B6E5AD904921.jpg
 ↑ 与謝野晶子歌碑、京都市東山区永観堂内


copyright © 2024 Powered By FC2ブログ allrights reserved.