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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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草弥の詩作品「こたつがかり──お冬の巻」・・・・・・・・・・・・木村草弥
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   草弥の詩作品<草の領域>
      poetic, or not poetic,
      that is question. me free !
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──<後水尾院>シリーズ──(26)

     こたつがかり──お冬の巻・・・・・・・・・・・・木村草弥

     寒くなってきた
     京の底冷えと言って
     盆地である上に
     都の三方を山に囲まれて
     冷気が溜まりやすく
     京の都の冬は とても寒い

     禁裏は
     北は今出川通から
     南は丸太町通までの間で
     極端に言えば 冬の間は
     比叡下ろしの風が 雪を呼んで
     いつも ちらちら 雪が舞う始末だった

     お上は
     馴染みの お冬を呼ばれたのだが
     寒くて 炬燵を出られなかった
     夜は しんしんと 更けていった

     <お上 よい知恵がありますのえ
     こたつがかり と言いますのえ>
     と言って お冬が お上を誘った

     炬燵に入ってのプレイである
     お冬は お上の膝の上に座り
     こたつ台に手をつきながら 挿入する
     座位の後背位である

     これは 炬燵を利用した冬限定の体位である
     お冬は 炬燵に手をつきながら
     一心に 腰を振った
     お上は お冬を抱きかかえながら
     お冬の乳首を もみしだいた

     二処責めの愛撫に
     お冬は よがり声を上げた
     それに刺激されて
     お上も 歓喜の声で 応じられた

     抱き合ったまま 横に倒れて
     なおも 激しく まぐわうのであった
     そして二人は 絶頂に達した

     泰平の世がつづいて 
     下々の庶民も 
     性の楽しみに 勤しむようになり
     四十八手 なんていう体位を
     編み出す 始末だった
     <江戸四十八手>という
     浮世絵の春画や 手拭に版刷りした
     体位一覧が 出回るような始末だった

     こんなものがあるが お分かりかナ

    うしろやぐら  吊り橋  寄り添い  撞木ぞり  獅子舞  菊一文字 
    こたつがかり テコかがり  岩清水  時雨茶臼  理非知らず  茶臼のばし 
    こたつ隠れ  乱れ牡丹  帆かけ茶臼  本駒駆け  百閉  雁が首  しがらみ 
    二つ巴  御所車  松葉崩し  碁盤攻め  首引き恋慕 しぼり芙蓉  仏壇返し 
    手懸け  椋鳥  窓の月  鳴門  しめ小股  千鳥  抱き上げ  流鏑馬 
    立ちかなえ  鵯越え  だるま返し  千鳥の曲  抱き地蔵  浮き橋  立ち松葉 
    鵯越えの逆落とし つばめ返し  宝船  押し車  深山  立ち花菱  鶯の谷渡り

       雪が 小止みなく降りつづき
       夜は しんしんと更けていった

のちに後水尾院は詠まれた

     <手習ひのただ一筆も書き添へばいかで待ち見るかひもありなん>


    
佐伯泰英『〇に十の字』・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
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──新・読書ノート──

      佐伯泰英『〇に十の字』・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
                  ・・・・・・・新潮文庫2012/12/01刊・・・・・・・・・

「新・古着屋総兵衛シリーズ5」の、待ち遠しい発刊である。

     薩摩の剣客を総兵衛一行は東海道に迎え撃つ……白扇乱舞。新シリーズ急転。
     坊城桜子を伴って京を目指す総兵衛一行が鳶沢村に逗留中、薩摩の密偵が捕らえられた。
     総兵衛の特殊な縛めにより、苦悶の末薩摩忍び北郷陰吉は転んだかに見えた。
     陰吉を加えた一行は一路、西を目指し始めた。
     一方、江戸では、おこものちゅう吉が湯島天神の床下から忽然と姿を消し、天松は懸命に捜索する……。
     総兵衛一行の東海道西上の旅路を薩摩の魔の手が襲撃する疾風の第五巻。

新潮社の読書誌「波」2012年12月号より書評を引いておく。
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     スケール大きな伝奇時代小説     重里徹也

『新・古着屋総兵衛』シリーズは、作品世界が大きく広がる伝奇時代小説だ。佐伯泰英の他のシリーズと比べても、それがきわだった特長だろう。
 鳶沢一族は徳川家康から、幕府を背後から支えるように命じられた血統だ。
江戸富沢町の土地と古着商の権利を与えられた一方、影旗本として、幕府内にいる「影」の指令に従って国内の安寧を守る任を担う。
一族は古着屋の大黒屋を経営し、駿府久能山のふもとを隠れ里(鳶沢村)としている。
 つまり、商と武の両面を持っているのだ。
 先行するシリーズ『古着屋総兵衛影始末』(全十一巻)では元禄・宝永年間を舞台に、六代目の総兵衛勝頼が活躍した。
柳沢吉保を最大の敵としながら、海外との交易を推し進め、一族の隆盛を築いた。
 今シリーズはそれから約百年後の享和年間、つまり、十九世紀初めを舞台にしている。
世情が騒がしくなっていく中、九代目総兵衛の死から、十代目の活躍へと物語が続く。五巻に至ったところで、これまでの流れを振り返ろう。
 第一巻『血に非ず』。九代目総兵衛は若くして死の床にあり、鳶沢一族は直系が絶えてしまう危機に直面する。そんな時に現れたのが十代目だった。
彼は六代目とベトナム人女性の間にできた子供の子孫で、王朝の高官の家柄だ。政変に巻き込まれ、一族を率いて日本に亡命してきた。
その器量に感心した鳶沢の長老らは、彼を頭領として迎え入れることを決める。かくして、十代目総兵衛勝臣が誕生する。
 第二巻『百年の呪い』。旧シリーズで対立した柳沢吉保は、大黒屋などに呪いを仕掛けていた。十代目がそれを暴いていく。
柳沢ゆかりの六義園(現在の東京・本駒込)での戦いなどが見どころ。唐人卜師、林梅香も活躍する。
 第三巻『日光代参』。「影」である本郷康秀が薩摩藩と癒着していることに気づいた十代目が、日光代参をする彼を追いかけて暗殺する。
前シリーズに続いて、自分に命令する者を倒すスリリングな展開だ。
 第四巻『南へ舵を』。海洋小説の趣が深い一冊。
十代目が来日する時に乗ってきた巨大帆船、イマサカ号。大黒屋の輸送を担ってきた大黒丸。両者の海上レースが面白い。十代目は着実に実力を蓄えて行く。
 そして第五巻『〇に十の字』。薩摩藩という敵の姿が徐々に見えてくる。南蛮骨董商の娘で公家の血をひく坊城桜子らとともに、十代目は京へ向かう。

 物語全体を取り巻くのは揺れ始めた社会情勢だ。武家社会は綻びを露呈している。
海外からは外国の船が来航し、鎖国という制度がもたなくなってきているのがわかる。近世はだんだんと終わりに近づいているのだ。
 グローバルな視野で鳶沢一族という巨大な組織を描いているのが、このシリーズの読みどころだ。
戦闘集団として武力を発揮する半面、商家としても利益を追求してやまない。カネと商品のやりとりが絶えず、経済小説としても興味深い。
 組織を彩るのは個性的な人物たちだ。気品を漂わせる十代目。世間通でとぼけた味の大番頭。武術の達人で機敏な一番番頭。犬をかわいがる手代。
まっすぐな心の小僧。奥向きを仕切るクレバーな美人。忠義心の強い船乗りたち。
 奉行所の面々や敵役の男たちも輪郭が濃い。無能な岡っ引きや、かげま(男娼)の少年も印象的だ。
 そして、いとおしいのが、おこも(乞食)の少年、ちゅう吉だろう。
 彼が「ちゅうちゅうちゅう」と言いながら登場すると、場面がぐっと濃密になる。
十歳を過ぎたばかりなのに、世故にたけていて、人情がわかり、気がきく。
でも、親の愛情を知らず、実は甘える対象に餓えている。そんな少年が鳶沢一族を救いながら成長していく。
 鎖国下、大黒屋は外国との交流に精を出す。それはどこか自閉しがちな今の日本人へのメッセージにもなっている。
広々とした海洋に出るような気分で、この大河小説を楽しんでみてはいかがだろうか。   (しげさと・てつや 毎日新聞論説委員)


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