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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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佐伯泰英『二都騒乱』新・古着屋総兵衛第七巻・・・・・・・・・・・・木村草弥
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──新・読書ノート──

     佐伯泰英『二都騒乱』新・古着屋総兵衛第七巻・・・・・・・・・・・・木村草弥
                   ・・・・・新潮文庫2013/12/01刊・・・・・・・

    京は錦市場で謎の法師集団に拐かされた女二人、救出不能。奇計炸裂。

   京の錦市場で忽然と姿を消した桜子としげの消息は依然として知れないままであった。
   総兵衛は御堂に籠りひたすら思念を送り続ける。
   じりじりとした時間が過ぎていく中、総兵衛の奇計に薩摩の密偵が二人引っ掛かったのだが……。
   一方、江戸では、大黒屋へとつながる秘密の地下道を探り当てた元同心池辺三五郎が不穏な動きを見せ始めた。
   京と江戸、切迫する二つの危難、会心の第七巻。

「二都」とは、京と江戸ということである。
桜子としげをさらった策略は、一統の見事な連携で無事解決する。
江戸の元同心も留守居の光蔵らの手配でひそかに始末される。
事件が解決して、鳶沢家から禁裏に三百両の金子が献納されることになった。
蹴鞠の会に総兵衛が招かれ、見事な身のこなしで鞠を蹴った。
今上天皇─光格帝から言葉を賜るというようなエピソードもある。
その折りに総兵衛出自の安南のランタン祭の描写などもあり、先日行ったベトナムのホイアンでの、豪雨のために見果たせなかった行事のことなどを想起した。
そして、このシリーズの伏線として存在する「影さま」が、ただいまは「女人」の九条文女であること、など。
今後のシリーズ展開に関係する事どもが描写され、いよいよ面白くなってきた。 以下、次巻。

さわりの部分だけだが「立ち読み」も出来る。 お試しあれ。


ほのぼのとくれなゐ淡き冬薔薇にそそのかさるる恋よあれかし・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
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    ほのぼのとくれなゐ淡き冬薔薇に
       そそのかさるる恋よあれかし・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


この歌は私の第二歌集『嘉木』(角川書店)に載るものである。
この歌の前後に

  冬薔薇を剪(き)るためらひは何事ぞ貴きものを奪ふここちす

  言へばわが心さびしもしろたへに薔薇咲き初めて冬に入りたり


などの歌が載っているが、いずれも、四季咲きの薔薇のうち、初冬に咲く薔薇の命の貴重さを詠っている。

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近代バラの代表格である大輪四季咲きは、暖地では12月まで咲きつづく。
この冬バラは比較的寒さには強く、霜いたみすることもないが、剪ればもう咲いてくれない、という儚さがある。
露にしっとりと濡れた冬バラを切るときは、この地上の最も貴いものを奪うという思いのためらいがあるのである。
これらの歌は、そういう気分を表現している。
もちろん、この露地栽培のものに拘らず、温室栽培のものは季節を問わず出荷されていて、それも冬バラには相違はないが、冬薔薇(そうび)の持つ風情には及ばない。

バラと言えば思い出すのは、オランダの花の取り扱い会社「東インド会社」だが、数年前にオランダ、ベルギー、ルクセンブルクの、いわゆるベネルックス三ケ国を歴遊した際に、この会社からオランダ直送の「カサブランカ」という百合を家に留守する妻と、妻と私との共通の女の友に送ってもらった。黙っていたので、妻も友人も驚いていたが、いい花で喜んでもらった。
その後、何回かバラを直送してもらってプレゼントしたことがあった。
妻亡き今となっては、いい思い出になってしまった。

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以下、冬薔薇を詠んだ句を引いて終る。薔薇は「そうび」と音読することもあるので一言。

 尼僧は剪る冬のさうびをただ一輪・・・・・・・・山口青邨

 冬ばらの蕾の日数重ねをり・・・・・・・・星野立子

 ケロイド無く聖母美し冬薔薇・・・・・・・・阿波野青畝

 しろたへに鵜匠の門の冬薔薇・・・・・・・・石原八束

 冬薔薇日の金色を分ちくるる・・・・・・・・細見綾子

 冬薔薇やわが掌が握るわが生涯・・・・・・・・野沢節子

 冬薔薇の花弁の渇き神学校・・・・・・・・上田五千石

 山国のわづかにひらく霜の薔薇・・・・・・・・福田甲子雄

 四季咲きの薔薇の小さき冬の色・・・・・・・・今井千鶴子

 冬薔薇咲きためらひて十日ほど・・・・・・・・木村有恒

 冬薔薇一輪にしてまくれなゐ・・・・・・・・吉田悠紀

 火の色に冬薔薇凍てし爆心地・・・・・・・・山田春生






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