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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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赤い椿白い椿と落ちにけり・・・・・・・・・・・・・河東碧梧桐
t-kurowabi黒詫助(関西)

   赤い椿白い椿と落ちにけり・・・・・・・・・・・・・河東碧梧桐

碧梧桐は明治6年松山市生まれ。
中学生の頃から同郷の先輩正岡子規の影響で俳句をはじめ、高浜虚子とは当時から親友であり、かつ好敵手だった。

この句は明治29年の作と言われ、印象明瞭な新世代の秀作だと子規が絶賛、有名になったという、初期の代表作。
この句は、読みようによっては、まず赤い椿が落ち、ついで白い椿が落ちる、というようにも読めるが、作者自身は、紅白二本の椿の下に赤い花、白い花それぞれが散っている情景に感興を得たようである。

t-konoesiro近衛白(関西)

碧梧桐は虚子と競って句や文章に活躍したが、次第に虚子との確執が抜き差しならないものになり、その後、「新傾向」と言われる運動に突き進むことになる。
この面では、毀誉褒貶あい半ばする、というのが本当だろう。

ここでは、碧梧桐を論ずるのが本筋ではなく、季節の花として「椿」を語ることにする。
椿は「山茶」と書くのが正式らしく、その字の感覚からも、さざんか(山茶花と書く)や茶の木と同種である。
木扁に春と書くように、日本の春の代表的な花である。豊臣秀吉の椿好きがよく知られ、俳人では石田波郷がこの花を好んだ、と書いてある。
「玉椿」は椿の美称。「つらつら椿」は連なり生えた椿で、万葉集に出てくる。落ち椿の印象が、よく詠われる。
以下、歳時記にも載る代表的な椿の句を挙げておきたい。

 水入れて鉢に受けたる椿かな・・・・・・・・・・・・鬼貫

 落ちなむを葉にかかへたる椿かな・・・・・・・・・・・・召波

 落椿投げて暖炉の火の上に・・・・・・・・・・・・高浜虚子

 落椿かかる地上に菓子のごとし・・・・・・・・・・・・西東三鬼

 御嶽の雲に真つ赤なおそ椿・・・・・・・・・・・・飯田蛇笏

 人仰ぐ我家の椿仰ぎけり・・・・・・・・・・・・高野素十

 椿見て一日雨の加賀言葉・・・・・・・・・・・・森澄雄

 雪解けの底鳴り水に落椿・・・・・・・・・・・・石原八束



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