↑ ダンゴムシの脱皮
丸まりて死をよそほへるだんご虫を
いつ動くかと子らじつと待つ・・・・・・・・・・・辰濃恵美子
この歌は角川書店・月刊誌「短歌」2013年3月号の一般読者から「待つ」という題詠で募集されて採用された秀歌のひとつである。
この歌はダンゴムシの様子や、それを取り巻く子供たちの態様を、よく捉えている。
今しも、あたたかくなってきて、虫たちも動き出す頃である。
子供の頃は、こういう自然界の虫たちの様子を観察するのが面白いものである。
子供の頃には、彼らを外に連れ出して、動植物に触れさせるのが、よい。
掲出した写真はネット上から拝借したものだが、特に二番目の「脱皮」の瞬間を捉えたのは、秀逸である。
私も田舎暮らしだが、ダンゴムシが脱皮するとは知らなかった。
ここに載る「待つ」歌のいくつかを引いておきたい。
待て待てと追ひかけゆけば転ぶまで逃げて幼なの鈴ふる笑ひ・・・・・・・・野原東子
その昔半ドンといふ土曜ありて待ち合はせ駅裏「青春書店」・・・・・・・・華野浩子
公園のベンチで待っている君に近づけば先に影がつながる・・・・・・・・・本川克幸
百年間待っていたと言うように百合がひらく朝霧のなか・・・・・・・・・・・・・浦野かすみ
長くなる立ち話を待つ犬どうし顔見合わせて白い息吐く・・・・・・・・・・・・・飯坂友紀子
百歳の祝いの宴に癌だとは告知できない 明日にしよう・・・・・・・・・・・・・・堀内和孝
園児らのかけゆく先に母の手が大きく待てり光の中に・・・・・・・・・・・・・・小野崎幸子
薬缶の湯ぴいと鳴るのを待つ間三人の死を伝えるラジオ・・・・・・・・・・・・・・ユキノ進
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