K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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水仙に時計のねぢをきりきり巻く・・・・・細見綾子
narsissus3水仙

   水仙に時計のねぢをきりきり巻く・・・・・・・・・・・・・・・細見綾子

「水仙」はいろいろの品種があるが、日本水仙は12月頃から咲きはじめて、春先まで息の長いものである。
しかし「水仙」も、そろそろ終わりだろう。
『山の井』に「霜枯れの草の中に、いさぎよく咲き出でたるを、菊より末の弟ともてはやし、雪の花に見まがひて」云々とあるのも、
簡潔にして要を得た水仙の紹介である。
ネット上では「細見綾子の世界」というサイトに彼女の紹介記事があるので、ご覧になるとよい。

narsissus黄水仙

写真②は黄水仙である。
わが家の庭の一角の日本水仙は今年は遅くて先日あたたかくなって咲きはじめたばかりである。
水仙の集団的な自生地としては、越前海岸や、淡路島南端の灘黒岩水仙郷などが有名で、観光バスを連ねて見物に大勢が来る。
水仙の球根は植えっぱなしでよく、変にいじくらない方がよい。数年に一度くらい掘りあげて植えなおしする程度でよい。
夏になると、地上部の葉は、すっかりなくなり、他の植物の陰に隠れてしまうが、寒くなると葉が地上に出てくる。
水仙は学名を Narissus というが、これはギリシア神話で美少年ナルシッサスが水面に映るわが姿に見とれ、そのまま花になってしまったのが水仙だという。
自己陶酔する人を「ナルシスト」というのも、これに由来する。

 水仙や白き障子のとも映り・・・・・・・・松尾芭蕉

 水仙に狐遊ぶや宵月夜・・・・・・・・与謝蕪村

のような古句があるが、この両句は、ともに水仙をじかに見て詠んだのではなく、「障子」を通して、障子に映る影からの印象を句にしている。
何分、水仙の咲く頃は厳寒だから、それも当然であろうか。

掲出の細見綾子の句は、水仙と時計のねぢをきりきり巻く、という異質のものを一句の中に統一するという、俳句でいう「二物衝撃」という詠み方の典型のような句である。

963-suisenスイセン

以下、水仙の句を少し引いておく。

 水仙を剣のごとく活けし庵・・・・・・・・山口青邨

 海明り障子のうちの水仙花・・・・・・・・吉川英治

 水仙花紙に干しある餅あられ・・・・・・・・滝井孝作

 水仙や古鏡の如く花をかかぐ・・・・・・・・松本たかし

 水仙花三年病めども我等若し・・・・・・・・石田波郷

 水仙花眼にて安死を希はれ居り・・・・・・・・平畑静塔

 水仙の花のうしろの蕾かな・・・・・・・・星野立子

 水仙や捨てて嵩なす蟹の甲・・・・・・・・大島民郎

 水仙や老いては鶴のごと痩せたし・・・・・・・・猿橋統流子

 水仙花死に急ぐなと母の声・・・・・・・・古賀まり子

 牛追ふや磯水仙を手にしつつ・・・・・・・・山田孝子

 水仙やカンテラに似て灯はともり・・・・・・・・飴山実

 奪ひ得ぬ夫婦の恋や水仙花・・・・・・・・中村草田男

 水仙の吾を肯へり熟睡せむ・・・・・・・・石田波郷

 水仙のりりと真白し身のほとり・・・・・・・・橋本多佳子



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