K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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水あふれゐて啓蟄の最上川・・・・・・森澄雄
_tn_jimu-01ナミヘビ

     水あふれゐて啓蟄の最上川・・・・・・・・・・・・・・・森澄雄

今日3月5日は二十四節気の一つ「啓蟄」の日である。
啓とはひらく、蟄とは巣ごもりのこと。
つまり土中に冬眠していた爬虫類や虫が、この頃になると冬眠から覚めて、地上に姿を現すこと。
また「地虫」そのものを指すこともある。
啓蟄をさらに具体的に言った言葉に、地虫穴を出づ、蛇穴を出づ、蜥蜴穴を出づ、などがある。

私の歌に

    春雷が大地を打ちてめざめしむ啓蟄(けいちつ)の日よ昏(くら)き蛇穴・・・・・・・・木村草弥

というのがある。
この歌は私の第二歌集『嘉木』(角川書店)に載るものである。
この頃に鳴る雷を「虫出しの雷」などと言う。掲出の私の歌は、まさに、そういう光景を詠ったものである。
この「啓蟄」という言葉には、天地が春の躍動を示しはじめた喜びと活気を表わし、開放感がこめられていると言えよう。
ガマガエルなどは、まだ寒い時期に穴を出て交接し、雌は産卵して、また穴に潜って、もっと暖かくなった頃に本式に穴を出るという。
(注)動物の繁殖方法には一般的には「交尾」という言葉を使うが、厳密には区別される。
   つまり雄が生殖器を雌の体内に挿入して体内受精するものを「交尾」。
   抱きつくなどの姿勢で雌が放出した卵に雄が精子を放出して受精させるのを「交接」または「抱接」と区別される。
   魚などの抱き合うこともない水中などへ精子を放つのを「放精」という。
   こだわるようだが、これらは生殖にまつわる「概念」なので、意識して厳密に区別して使いたい。

寒い頃には餌になる生き物も少なく、また「変温動物」なので寒いと活動に支障をきたすからだろう。
掲出した写真は「ナミヘビ」である。地中で越冬するときも、こういうとぐろを巻いた姿勢だろうか。

俳句でも古くからさまざまに詠われてきた。それを少し引いておく。

 啓蟄の蟻が早引く地虫かな・・・・・・・・高浜虚子

 啓蟄のいとし児ひとりよちよちと・・・・・・・・飯田蛇笏

 香薬師啓蟄を知らで居賜へり・・・・・・・・水原秋桜子

 啓蟄の蚯蚓の紅のすきとほる・・・・・・・・山口青邨

 啓蟄の雲の奥より仏の目・・・・・・・・加藤楸邨

 啓蟄や四十の未知のかぎりなし・・・・・・・・能村登四郎

 啓蟄や解(ほぐ)すものなく縫ふものなく・・・・・・・・石川桂郎

 啓蟄の土洞然と開きけり・・・・・・・・阿波野青畝

 啓蟄を啣へて雀飛びにけり・・・・・・・・川端茅舎

この句などは、先に書いた「啓蟄=地虫」そのものを描いている。

 啓蟄の大地月下となりしかな・・・・・・・・大野林火



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