K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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浅井和代「まだみつからない」12首・・・・・木村草弥
たかまる_NEW

──新・読書ノート──

     浅井和代「まだみつからない」12首・・・・・・・・・・・・・木村草弥
              ・・・・・藤原光顕・編集「たかまる通信」106号2017.4.1.所載・・・・・・

        まだみつからない      浅井和代

  私に逢うと哀しくなる そう言ってあなたはまた逢いに来る
  ふたりでいると子供みたいな人ポケットのゴミまでサラケ出してしまう
  やさしすぎるといわれた日は遠く掌にかくれる傷あと
  恋愛と結婚のちがい漸くわかりじゃがいもの皮いつもより厚くむく
  窓から青いセーターの腕を伸ばし風を掴まえそうな三月
  アネマネの花びら風に揺れて女である喜びふくらんでくる
  オレンジの種ナイフに突き刺さりまたひとり友が母となる夏
  秋の陽射しの電車に揺られて美しい嘘をさがしに出かける
  あわてる兎をみつけられない八月喫茶「アリス」の前にマンホール
  誰かがきっと嘘をつく金曜日都会(まち)で透明な地球儀が売れる
  恍惚とひげを剃る男が戦争という厄介を思いつく
  いつかふたりになるためのひとりやがてひとりになるためのふたり     (「新短歌選集」「年刊新短歌」より)
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敬愛する藤原光顕氏から「たかまる通信」106号が送られてきた。
藤原氏の新作は、ご自身の闘病のことが綴られているが、生々しいので詩作品としては、いかが、と思い、この作品群を載せる。
この作品の右上には<SHINTANKA 1988~ CHRONICLE >の表記があり、「過去記事」の再録と知れるが、佳い歌だと思って頂いた。 ご了承を得たい。
この一連は、今よく見られる事実をズラズラと連ねただけの歌ではなく、一時期の「新短歌」のようにエスプリが効いて素敵だ。
戦前の一時期の宮崎信義のモダニズムの作品のように心地よい。これぞ詩だと思う。 「寓意的」でもあり秀逸。
「アネモネ」のことを「アネマネ」と表記するなども時代を感じさせる。

ご恵贈ありがとうございました。 
(お断わり) いつもは「藤原光顕の歌」というジャンル分けで載せているが、今回は藤原作品ではないので「新・読書ノート」のジャンルにした。ご了承を。


  
海女とても陸こそよけれ桃の花・・・・・高浜虚子
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       海女とても陸(くが)こそよけれ桃の花・・・・・・・・・・・・・・・・・高浜虚子

この句には <4月8日。志摩外海に海女の作業を見る> の前書きがある。
だから本日4月8日の日付にこだわってアップした。昭和23年の作品である。

海女の素もぐりの作業というのは過酷なもので、体は冷えるし、海女小屋で焚き火をして暖めるなどの休息が必要である。
虚子は、そういう労働を目の前に見て、「海女にもやはり陸がいいのだろうな」という感慨を抱いたのであろう。
この句は昭和23年の作品というと、その頃は、まだ海女の衣装は伝統的な白い木綿の磯着だったろう。
今では画像②のように海女もウエットスーツ着用である。
後日この旅の先導役を務めた橋本鶏二の話によると、「ホトトギス」では多作で鳴る鶏二が舌をまくほど、虚子は句帖を開きづめであり、
さすがの鶏二も、その気迫に圧倒される思いだったという。この年、虚子は75歳であった。

「ホトトギス」というと、短歌における「アララギ」と同様に、俳句界を一世を風靡して、いわば肩で風を切るような威張り方であったようである。
短歌界では先年、「アララギ」が解散して、昔の威勢もどこへやら、という昨今であるが、俳句界でも新興の前衛俳句などが出現して、今や様変わりの様相であるように見える。
一方で、老年者の増加で「俳句でも」という「でも俳人」が増え、それらの人々は概して「ホトトギス」的な写生句を作りがちであるから、「ホトトギス」も暫くは安泰であろうか。
私は、どちらかというと、「ホトトギス」的な写生句は好きではない。
私は現代詩から短詩形に接近したので、「詩」のない作品は評価しない。それは写生、非写生の如何を問わず、である。
以下、虚子の作品を少し引いて終わりにしたい。

 その中にちいさき神や壺すみれ

 永き日を君あくびでもしてゐるか──古白1周忌──

 子規逝くや十七日の月明に

 三つ食へば葉三片や桜餅

 村の名も法隆寺なり麦を蒔く

 秋空を二つに断てり椎大樹

 大寺を包みてわめく木の芽かな

 葡萄の種吐き出して事を決しけり

 木曽川の今こそ光れ渡り鳥

 蛇逃げて我を見し眼の草に残る

 手をこぼれて土に達するまでの種

 目さむれば貴船の芒生けてありぬ

 たとふれば独楽のはじける如くなり

 水打てば夏蝶そこに生れけり

 虹消えて忽ち君の無き如し──三国の愛子に──

 蜘蛛に生れ網をかけねばならぬかな

 独り句の推敲をして遅き日を


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