K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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藤原光顕の歌「あんまりな日々(3)」15首・・・・木村草弥
芸自_NEW

─藤原光顕の歌──(32)

     藤原光顕の歌「あんまりな日々(3)」15首・・・・・・・・・・・木村草弥
           ・・・・・・「芸術と自由」No,308/2017.5.1所載・・・・・・・・

         あんまりな日々(3)        藤原光顕

  また覚めてしまったみたいな朝のため買い置きしてあるちょっと雑炊

  説明を読んでまた見て15分後ふわ玉きのこ炒めらしきものができる

  なんとなく味噌の具合もわかってきて白菜スープ朝晩に飲む

  自炊も一年半かと食後のウーロン茶飲む 日に三度何かを食べる

  蕗の薹6つ庭で見つけたこと 食べ頃まで覚えているだろうか

  逝って早や二年になるか 林檎の皮ひとつながりに剥き終わる

  私が死ぬまで見ていてくれる笑顔 もうどこにも行かない遺影

  なんにも言わず見ていたくれるだけでいいひとりの酒は不味い淋しい

  なんにも言わず笑っているがほんとうにあんな一生でよかったのか

  進行を止めるだけです治りませんそんな薬を日に三度飲む

  洗濯籠に三日溜まっていた山が今日はストーブの前に積まれて

  眠るために眠剤を飲む死ぬために毒薬を飲むドラマ終わって

  何に怯えていた一日かとりあえず冷える足から眠らせてゆく

  とりあえず安泰と受けとっておく「春になるまでじっとしてます」

  何があるというでもないがとりあえずひたすら春を待っております
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いつもながらの藤原節である。
この頃の藤原さんの詠いぶりは哀しい。
奥さんへの追慕が痛々しい。
藤原さんの食事は、同じく独り暮らしの私のものよりもバラエティがあるようだ。
今年の冬は寒かったので、終連の「ひたすら春を待っております」が的確であり、かつ痛切である。
ご恵贈ありがとうございました。



淡く濃く漂ひきたる風入れてめざめかぐはし藤の咲くころ・・・・木村草弥
8藤の花

     淡く濃く漂ひきたる風入れて
         めざめかぐはし藤の咲くころ・・・・・・・・・・・・・木村草弥


この歌は私の第一歌集『茶の四季』(角川書店)に載るもので、自選にも採っているのでWebのHPでもご覧いただける。
この歌のつづきに

   夢みることもはや無きとぞ思ふ我に眩しき翳(かげ)り見する藤波

また第四歌集『嬬恋』(角川書店)にも

    寧楽山の藤咲くなだり曇れども漂ふ甘き香に酔ひにけり

という歌がある。この歌も掲出歌と一体として鑑賞してもらえば有難い。

藤の花は五月に入ると各地で咲きはじめる。
藤の花の名所としては関西では奈良の春日大社、大阪の野田の藤などが有名で、名古屋では海部その他3個所が知られ、
シーズンになると旅行会社の藤見のバスツアーが催行される。
京都では宇治の平等院の池の畔にきれいな藤棚があり、池水に映えて美しい。
藤の花は佳い香りがたちこめ、大規模な藤になると、この時期の気温とも相まって、むせかえるような艶めかしい雰囲気になる。
寺院の庭に植えられるのは、さながら極楽浄土に居るような感じにさせられるのが狙いではないか、と邪推したくなる程である。
10藤の花

「藤」フジは日本原産であるから漢名はない。
大化の改新の中心人物として有名な藤原鎌足が、天智天皇から藤原朝臣の姓(かばね)を与えられ、フジの花が藤原氏の紋所であり、
したがって藤原氏の氏神である春日大社にフジの木があるのも、そのゆかりである。
そのフジの花は今も栄枯盛衰を物語るように揺曳している。

10019166167_s白藤

写真③は「白藤」である。

俳句にも古来さまざまに詠まれてきたので、それを引いて終りたい。

 一つ長き夜の藤房をまのあたり・・・・・・・・高浜虚子

 寧楽(なら)山は藤咲けるなりくもれども・・・・・・・・水原秋桜子

 月はなほ光放たず藤の房・・・・・・・・山口誓子

 人に遠く藤咲きこぼれ二月堂・・・・・・・岡本松浜

 やはらかき藤房の尖(さき)額に来る・・・・・・・・橋本多佳子

 白藤や揺りやみしかばうすみどり・・・・・・・・芝不器男

 藤はさかり或る遠さより近よらず・・・・・・・・細見綾子

 天心にゆらぎのぼりの藤の花・・・・・・・・沢木欣一

 藤の昼膝やはらかくひとに逢ふ・・・・・・・・桂信子

 いくたびか病みこのたびは藤に病む・・・・・・・・倉田紘文

 闇のなか闇をただして藤垂るる・・・・・・・・宮津昭彦

 藤房の先まで花となりにけり・・・・・・・・荒巻大愚



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