K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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献立は有季定型と鰻丼を妻は供しぬ土用丑の日・・・・木村草弥
2k_19mうなぎ丼

    献立(こんだて)は有季定型と鰻丼(うなどん)を
        妻は供しぬ土用丑の日・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


今日は土用に入って二度目の「丑の日」である。この日には「うなぎ」を食べることになっている。
年によっては土用に二回「丑の日」があり、今年がそれで8月6日─今日なのである。
実は、7月25日が「初」丑の日だったのだが、他の記事を優先したので、今になった。

この歌はもう三十年以上も前の歌で私の第一歌集『茶の四季』(角川書店)に載るものである。
亡妻・弥生は俳句をやっていたので「有季定型」というのは、そこから来ている。定型という言葉には、季節の食事の「定番」という意味もこめてある。
この歌は私のWeb上のHPでもご覧いただける。
いつまでも亡妻でもあるまい、と思われるかも知れないし、また近年「中国産」のものに発ガン物質などの混入事件、産地偽装などがあって、
とかく「うなぎ」の評判が悪いが、今日の「丑の日」の記事として適当なものがないので、お許しを。
また稚魚の「しらす」の不漁などがあり値段も高くなったが、「うなぎ」好きの私なればこそである。

「土用」あるいは「丑の日」などの言葉は、「暦」に関係するもので、土用は二十四節気のもの。丑の日は十二支のものである。
深遠な暦法の話が、こうして、すっかり日本人の庶民の生活に溶け込んでいるのも微笑ましいことである。
mainひつまぶし

それよりも先ず、二番目の写真は名古屋地方で食べられる「ひつまぶし」という鰻丼の一種である。
セットになっていると結構高くて2000円くらいはする。中京圏ということで三重県でも出てくる。
名古屋は独特の生活慣習を持っているところで、うどんも「きしめん」という幅広のものが愛用される。
p000437うな重

三番目の写真は普通の「うな重」だが、このくらいの膳になると3000円~4000円は、する。肝吸いが付いていれば当然である。

ここで土用の丑の日に鰻が日を決めて食べられるようになったイキサツの薀蓄を少し。

江戸時代、何か鰻の食用増進に良い知恵はないかと、さる鰻屋が平賀源内に相談したところ、源内が「本日、丑の日」と紙に書いて店頭に張り出した、のがはじまりとされている。
土用の丑の日に消費される鰻の数は、物凄いもので、鰻屋としては平賀源内は神様みたいなものである。
この話には前段がある。「万葉集」に大伴家持の歌として

  石麻呂にわれ物申す夏痩せに吉(よし)といふものぞ鰻とり食(め)せ

という有名な歌がある。夏痩せに鰻が有効という、最古のキャッチコピーとも言えるが、平賀源内は、この歌を知っていたものと思われる。

私はウナギが好きで夏でも冬でも一年中食べるが、娘なんかは食べない。
20040701lうなぎ丼ピリ辛風

この頃では、いろんなウナギの食べ方があり、四番目の写真は「ピリ辛風鰻丼」というもので、実は某スーパーの広告に載っているもの。
ピーマンや赤ピーマンなども乗っている。ピリ辛というのだから唐辛子なども利いているのだろうか。

掲出した私の歌の一連5首を引用しておく。

       朱夏・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥 

    三代に憂きこともあれ古時計いま時の日に平成刻む

    缶を蹴る音からころと転がりて一学期終へて子ら帰りくる

    夏風邪に声出ぬといふ電話口この夏も娘(こ)は里訪はぬらし

    三伏の暑気あたりとて香水を一滴ふりて妻は臥しをり

    献立は有季定型と鰻丼を妻は供しぬ土用丑の日
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土用の鰻を詠んだ句を引いて終りにする。

 土用鰻店ぢゆう水を流しをり・・・・・・・・・・・・阿波野青畝

 鰻食ふカラーの固さもてあます・・・・・・・・・・・・皆川盤水

 うなぎ食ふことを思へり雲白く・・・・・・・・・・・・稲垣晩童

 荒涼と荒川鰻裂いて貰ふ・・・・・・・・・・・・・細見綾子

 まないたの疵曼陀羅や鰻割く・・・・・・・・・・・・百合山羽公

 うなぎ焼くにほひの風の長廊下・・・・・・・・・・・・きくちつねこ

 いのち今日うなぎ肝食べ虔めり・・・・・・・・・・・・簱こと

 うなぎひしめく水音朝のラジオより・・・・・・・・・・・・豊田晃

 一気に書く土用うなぎの墨太く・・・・・・・・・・・・吉田北舟子
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名古屋の友人の話によると、名古屋市内の某有名うなぎやさんは、土用の丑の日には、うなぎに感謝して、休業する、という。
私は初めて聞く話だが、そのうなぎやさんの心意気をよし、としたい。
あたら超繁忙期の日を棒に振って、うなぎに感謝するという何という心の優しい主人の哲学だろう。


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