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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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霙るるや鶴と大地を共にして・・・藤田直子
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──冬三態──

    ■霙るるや鶴と大地を共にして・・・・・・・・・・・・・・・・藤田直子

「霙」ミゾレとは、雨と雪が同時にまざり降るのをいう。冬のはじめや春のはじめに降ることが多い。
ちょっとした気温の変化で、雨になったり、雪になったりするし、同じ町の山手は雪なのに、下町ではミゾレのこともある。
掲出の句は北海道・釧路の阿寒辺りの冬の間の鶴への給餌場の風景だろうか。
「鶴と大地を共にして」という把握の仕方が秀逸である。
「霙」という名詞に対して、この句では「みぞるる」という「動詞」になっている。

 おもひ見るや我屍にふるみぞれ・・・・・・・・原石鼎

 霙るるや灯(ともし)華やかなればなほ・・・・・・・・臼田亜浪

 霙るると告ぐる下足を貰ひ出づ・・・・・・・・中村汀女

 みぞれ雪涙にかぎりありにけり・・・・・・・・橋本多佳子

 霙るるや小蟹の味のこまかさに・・・・・・・・松本たかし

 夕霙みんな焦土をかへるなり・・・・・・・・下山槐太

 みちのくの上田下田のみぞれけり・・・・・・・・角川源義

 みぞるるとたちまち暗し恐山・・・・・・・・五所平之助

 てのひらの未来読まるる夜の霙・・・・・・・・福永耕二

 沢蟹を伏せたる籠もみぞれゐる・・・・・・・・飯田龍太

 霙るるもレーニン廟に長き列・・・・・・・・寺島初巳

 腹裂きし猪を吊せば霙くる・・・・・・・・茂里正治

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  ■樹には樹の哀しみのありもがり笛・・・・・・・・・・・・・・木下夕爾

冬、風が吹いて、垣根の竹や竿竹などに当たるとき発するひゅーひゅーという音のことを「虎落笛」(もがりぶえ)という。
「もがる」というのは「反抗する」「さからう」「我を張る」「だだをこねる」などの意味を表す言葉で、竿や棒にあたる風が笛のように立てる音である。

 虎落笛子供遊べる声消えて・・・・・・・・高浜虚子

 日輪の月より白し虎落笛・・・・・・・・川端茅舎

 胸郭の裡を想へば虎落笛・・・・・・・・日野草城

 みちのべの豌豆の手も虎落笛・・・・・・・・阿波野青畝

 虎落笛吉祥天女離れざる・・・・・・・・橋本多佳子

 余生のみ永かりし人よ虎落笛・・・・・・・・中村草田男

 虎落笛叫びて海に出で去れり・・・・・・・・山口誓子

 虎落笛ひとふしはわが肺鳴れり・・・・・・・・大野林火

 虎落笛こぼるるばかり星乾き・・・・・・・・鷹羽狩行

 灯火の揺れとどまらず虎落笛・・・・・・・・松本たかし

 来ずなりしは去りゆく友か虎落笛・・・・・・・・大野林火

 牛が仔を生みしゆふべの虎落笛・・・・・・・・百合山羽公

 今日と明日の折り目にふかきもがり笛・・・・・・・・永作火童

001冬景色本命

   ■北風やイエスの言葉つきまとふ・・・・・・・・・・・・・・野見山朱鳥

冬の季節風は北風で、強く、かつ寒い。
シベリア高気圧が発達して、アリューシャン大低気圧に向かって吹く風だと今までは言われてきたが、今では地球規模の気圧変動が北半球では「偏西風」に乗ってやって来るのだという。
昨年の冬のはじめにヨーロッパに寒波をもたらしたものが、どれだけかの日時を経て、日本に到達したのが、昨年暮からの寒波になるという。
とは言え、日本海側は吹雪、太平洋側は空っ風というのは変わりないことである。
「北風」と書いて、単に「きた」と読むこともある。

 北風(きた)寒しだまつて歩くばかりなり・・・・・・・・高浜虚子

 北風にあらがふことを敢へてせじ・・・・・・・・富安風生

 くらがりやくらがり越ゆる北つむじ・・・・・・・・加藤楸邨

 北風(きた)の丘坂なりにわが庭となる・・・・・・・・加藤楸邨

 北風や青空ながら暮れはてて・・・・・・・・芝不器男

 耳傾く北風より遠き物音に・・・・・・・・大野林火

 北風荒るる夜のそら耳に子泣くこゑ・・・・・・・・森川暁水

 北風鳴れり虚しき闇につきあたり・・・・・・・・油布五線

 北風の砂丘を指す馬ならば嘶かむ・・・・・・・・金子無患子



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