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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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藤原光顕の歌「ばらばら」17首・・・木村草弥
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──藤原光顕の歌──(41)

       藤原光顕の歌「ばらばら」17首・・・・・・・・・・・・・木村草弥
                  ・・・・・「たかまる」No.114/2019.7掲載・・・・・・・

      ばらばら       藤原光顕

  最後の視野になる窓辺には柿の枝の釣り忍など絵になりそうで
  呑み込んだあのひとことのお蔭ですチョコなど舐めてテレビ視ている
  そんなのもありかこの世は 殺された五歳が書いたひらがなの詫び
  汗拭いてまた庭の草抜いてゆくやっぱりそうか自死だったのか
  十五回では儂に勝てんなと笑ったYさんはもう引っ越せない処にいる
  日暮れまえの舞子過ぎれば思い出す国道沿い安藤さんのガリ版の店
  右の耳に鳴いたカラスがいっしゅんで左の耳に羽音をのこす
  思い出す白い横顔 六十年前 鈴蘭台の霧の夜の駅
  神戸大丸 まっすぐ屋上まで上がる まず山と眩しいビルを確かめる
  あの人に明日は電話してみようあるようでない用事をつくって
  住む人のいるようでいないようでのたくっている庭の散水ホース
  見下ろした角度のせいだ ここまで来て訪ねないまま引き返すのは
  返すこと念押した本は戻らない電話帳みたいな山頭火句集など
  水加減間違えた飯を噛み続けるいつまでも噛んでおれる朝飯
  オッこんなところにあったかと覗いて締めてまた置いておく
  給料日前夜も何かは口にした あれから六十五年が経った
  探しまわった眼鏡が鼻にのっている梅雨の一日が無事に暮れる
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藤原さんが、ようやく元気になられたようで慶賀至極と申し上げる。
庭の雑草抜きなどに汗を流しておられるらしい。
相変わらず「懐旧」的な歌が続くが、無理からぬところがあるだろう。
一、二苦情を呈しておくと、
十五回では儂に勝てんなと笑ったYさん>
<オッこんなところにあったかと覗いて締めて
アンダーラインを付けた個所などは、意味不明で舌足らずである。
「十五回」とは碁か将棋を打っている景であろうか。
現代詩などでは「意味を追うな、感じるものだ」などと言うが、短歌は、意味を重んじる詩であるから、もう少し言葉を足したい。
それにしても、やはり「梅木さん」の絵は、いいなあ。

湿気の多い梅雨から夏になるので、体に注意して、これからも佳い歌を詠んでください。
有難うございました。


蛸飯とコロッケで済ます昼ごはん乾電池が梅雨の湿気を帯びる・・・木村草弥
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8100107_01L乾電池

      蛸飯とコロッケで済ます昼ごはん
           乾電池が梅雨の湿気を帯びる・・・・・・・・・・・・木村草弥


この歌は私の最新刊の第六歌集『無冠の馬』(KADOKAWA刊)に載せたものである。
梅雨入りした今の時期の歌として出しておく。
この一連は「湿気」という項目名で載せたもので、この歌の前に、こんな歌がある。

  軽薄な明るさをいつか蔑んだ張りついた汗が乾かない午後

  些細な嘘が限りなく増殖する午後ぶあつい湿気にどつぷり巻かれ
・・・・・・・木村草弥

今となっては、いつの制作かは、はっきりしないが、さぞ湿気が多い憂鬱な梅雨どきだったのだろう。
「蛸飯」は、自分で作ったものではなく、誰かの瀬戸内の旅のみやげにもらったものだろう。
瀬戸内では明石のタコが有名で、それを干して作った蛸飯が美味で、よく売られている。

    章魚食つて路通はその忌知れずなり・・・・・・・・安住敦

という句が歳時記に載っている。

今回、この歌集を進呈した人の引用歌に、これらの作品が引かれていることがあった。
<軽薄な明るさをいつか蔑んだ>という個所を指摘する人もあったし、<些細な嘘が限りなく増殖する>というところを批評してもらったのもあった。
歌集を出して、こういう風に、よく読みこんで手紙をもらう、のが一番うれしいし、参考になる。
それらについては批評欄に引いておいた。

今度の歌集では、考えるところがあって「あとがき」を書かなかった。
歌集は通常「あとがき」が付いていることが多いが、詩集などでは「あさがき」が無い場合がある。
私は、いつも「あとがき」で喋り過ぎる、きらいがあるので、今回は敢えて、書かなかった。
来信には、そのことに触れて、訝る人もあったが、私が意図的にしたことである。

以下、「梅雨」または「梅雨湿り」に因む句を引いて終わりたい。

  大梅雨の茫茫と沼らしきもの・・・・・・・・高野素十

  家一つ沈むばかりや梅雨の沼・・・・・・・・田村木国

  梅雨ふかし戦没の子や恋もせで・・・・・・・・及川貞

  梅雨の崖富者は高きに住めりけり・・・・・・・・西島麦南

  ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき・・・・・・・・桂信子

  梅雨霧を見てゐていつか包まるる・・・・・・・稲畑汀子

  梅雨の星齢といふも茫々と・・・・・・・・広瀬直人

  かく降りて男梅雨とはいさぎよし・・・・・・・・沢村芳翆

  梅雨の底打ちのめされてより力・・・・・・・・毛塚静枝


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