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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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秋の句──角川『新歳時記』第五版から・・・木村草弥
家鴨_NEW

──新・読書ノート──

      秋の句──角川『新歳時記』第五版から・・・・・・・・・・・・・木村草弥


角川『新歳時記』第五版を買い求めたので、先日来、ここに載る作品を当ブログに載せているが、今日は少しまとめて、私の目に止まる句を引いてみる。
順不同、季節の前後も問わないことにする。文字通り、アトランダムということである。
*印のあるのが、当歳時記に採句されている、ことを示す。

   *秋深し猫に波斯(ペルシャ)の血が少し・・・・・・・・・・加藤静夫
   *赤い羽根つけて電車のなか歩く・・・・・・・・・・・・・・・   〃

この作者は、こういう「諧謔」味のある句を得意とする。
秋の句ではないが、
        麦飯や昔日本に社会党    
というような作品がある。「第48回角川俳句賞」の受賞者である。「鷹」月光集の作家。
昭和28年(1953)の東京・小石川生まれ。昭和63年(1988)に「鷹」に入会し藤田湘子に師事。平成3年(1991)「鷹」新人賞、平成13年(2001)「鷹」星辰賞、平成16年(2004)「鷹」俳句賞を受賞。
平成20年(2008)年、第1句集『中肉中背』を上梓。
第二句集『中略』は、前句集以後の8年間の作品を収録。

   冬たんぽぽ本気になればすごい我
   一重瞼だからこんなに暑いのか
   水着なんだか下着なんだか平和なんだか

この句のみならず読んでいて吹き出してしまう句が多い。 「独身」だという。
加藤静夫は、この3句をみてもわかるように独自の文体をもってユーモラスに俳句をつくる。
エンターテイメント性があり読者に開かれている句集だ。

    ポインセチア( 中略) 泣いてゐる女

この句から題名が採られている。句の構成としても極めて現代俳句的な句である。
この句集の作句中に東日本大震災があり、句集の構成も「以前」と「以後」に分けるという凝ったものになっている。


   *椿の実割れてこの世に何の用・・・・・・・・・・市堀玉宗

この人も「第42回角川俳句賞」の受賞者である。遍歴の末に能登半島の寺の住職に納まっている。
この句の「この世に何の用」というところなど、何となくお坊さんを連想させる。
句集に『雪安居』があり、第3回中新田俳句大賞。 第26回 泉鏡花記念金沢市民文学賞受賞。
この句集の「帯」に載っている  ↓

◆正直 金子兜太

玉宗の青年期をおもうと、さすらい(流離)の語が出てくる。勤めを辞めてさすらい、出家したあともさすらっていた。
困った男だとおもいながら、正直な奴だともおもっていた。ようやく能登の寺に落ち着き、俳句をはじめたと聞く。
どんな句をつくるものやら。
すいせんなのかなんなのか、こんなのが本当のすいせん文かもしれないと自負。呼呼。

序・沢木欣一

FBにページを持っていて、ほぼ毎日、多くの句の習作を発表している。
ご本人から連絡があり、「枻」と「栴檀」の同人ということなので追記しておく。


    *描く撮る詠むそれぞれに秋惜しみ・・・・・・・・・・鷹羽狩行
    *妻と寝て銀漢の尾に父母います・・・・・・・・・・   〃
    *林火忌やニスの匂ひの模型船・・・・・・・・・・・   〃
    *小牡鹿の斑を引き緊めて海に立つ・・・・・・・   〃
    *天に満ちやがて地に満ち雁の声・・・・・・・・・   〃
    *全長に回りたる火の秋刀魚かな・・・・・・・・・   〃
    *白といふはじめの色や酔芙蓉・・・・・・・・・・・   〃

長らく俳人協会会長として俳壇に君臨してきた人である。結社誌「狩」を廃止し、引退した。
後継に片山由美子を指名し顧問に納まっているらしい。
この本には多くの作品が採用されている。私のブログで特集したこともある。


    *月明や門を構へず垣ゆはず・・・・・・・・・・片山由美子   
    *口に笛はこぶに作法月の雨・・・・・・・・・・   〃
    *「母」の字の点をきつちり露けしや・・・・・・   〃
    *断崖をもつて果てたる花野かな・・・・・・・・   〃
    *ぱさと落ちはらはらと降り松手入・・・・・・・   〃
    *かまどうま午前零時は真の闇・・・・・・・・・   〃
    *青松虫時雨新宿三丁目・・・・・・・・・・・・・・   〃

片山由美子の句の採用は一段と多い。そのはじめの部分から少し引いた。
2019年に俳誌「香雨」を創刊、主宰。俳人協会理事。青山学院女子短期大学国文科非常勤講師。
NHK文化センター講師。蛇笏賞選考委員。 など今や俳壇の重鎮である。


    *耳照つて白露の瓶(みか)の原にあり・・・・・・・・・・岡井省二
    *秋色や一弦琴の音の中・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   〃
    *さびしさのすでに過ぎたるぬかごめし・・・・・・・・   〃
    *銀杏の苦味の数を食みにけり・・・・・・・・・・・・・・   〃
    *まつすぐに鱸の硬き顔が来ぬ・・・・・・・・・・・・・・   〃
    *木犀やしづかに昼夜入れかはる・・・・・・・・・・・・   〃
    *大阿蘇の撫子なべて傾ぎ咲く・・・・・・・・・・・・・・   〃
    *山しめぢ買へば済みけり初瀬詣・・・・・・・・・・・・   〃

岡井省二の採句も多い。はじめの句にある瓶原というのは南山城にある地名である。現・木津川市にある。
三重県度会郡生まれ。大阪大学医学部卒業。内科医のかたわら句作をはじめ、加藤楸邨および森澄雄に師事。
1968年、「寒雷」に入会、1970年、「杉」創刊に参加。翌年、第1回杉賞を受賞。1991年、「槐」を創刊、主宰。
代表句に、宇治市・三室戸寺参道の句碑に刻まれた「あぢさゐの色をあつめて虚空とす」(句集『鯨と犀』所収)
彼については晩年の頃に三詩系─つまり「詩・歌・句」のことであるが、の集まりで一度会ったことがある。
私の知った頃ばガンを病んでいて、末期だということだった。
現世の浅ましさというか、そのことを知って彼の結社の門人の引き抜きが横行したというから凄まじい。
晩年は仏典に関心を示し、最後の句集『大日』の題にも、それらが見られる。
平井照敏と親しかったらしい。


    *牛追つて我の残りし秋夕焼・・・・・・・・・・鈴木牛後

この人は2018年度の角川俳句賞の受賞者で、今年、句集『にれかめる』を刊行し、その記事を当ブログに載せた。
まだ新人なので採句は少ない。


    *木犀や同棲二年目の畳・・・・・・・・・・高柳克弘

この人は俳句誌「鷹」の編集長をしている人である。 この人も、まだ若いので採句は多くない。


    *死ぬときは箸置くやうに草の花・・・・・・・・・・小川軽舟
    *数珠玉をあつめて色のちがふこと・・・・・・・・  〃
    *爪汚す仕事を知らず菊膾・・・・・・・・・・・・・・・  〃
    *老鹿の闘はぬ角伐られけり・・・・・・・・・・・・・  〃
    *灯を消せば二階が重しちちろ鳴く・・・・・・・・   〃
 
藤田湘子の後を受けて、結社「鷹」主宰を務める人である。
東京大学法学部卒で、政府系金融機関の幹部を務めるという経歴のエリートである。
俳人には東大法学部出のインテリが多い。
そういう経歴から自然に深く接するということが少ないので、吟行くらいしか自然に接しないので草や虫を詠んだものは少ない。
老鹿の句なんかも奈良の「角伐り」の儀式の景を詠んだものだろう。


     *苧殻買ふ象牙の色の五六本・・・・・・・・・・木田千女

つい先年亡くなったが当地の城陽市で俳句結社「天塚」を主宰していた人である。当地周辺には多くの門人が居る。
系譜としては鷹羽狩行の「狩」系ということだった。 
この句の「苧殻をがら」なんて言っても、分からない人が殆どだろう。 
おがら【麻幹・苧殻】 皮をはぎ取った麻の茎。
盂蘭盆うらぼんの迎え火・送り火にたき、また、供え物に添える箸とする。 あさがら。
こうして次第に「死語」になってゆく季語も多い。   

きりがないので、この辺で終わる。
私のブログに載せた人の分は、ここには載せていないので、ご了承を。
この本は大活字なので、収録の説明や「本意」なども無く、読み物としては物足りない感じがする。
長年、平井照敏の歳時記の精細な編集に親しんできたので、いっそう、そんな感じがするのだろう。
思い付いたら、また加筆することになる。



薮枯らしきれいな花を咲かせけり・・・後閑達雄
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 ↑ヤブカラシ

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──季節の一句鑑賞──

      薮枯らしきれいな花を咲かせけり・・・・・・・・・・・・・後閑達雄

「ヤブカラシ」は別名「貧乏かづら」とも呼ばれ、随所に生えるブドウ科の多年生蔓草。
他のものにからみつき、生い茂る。夏、黄赤色の小花を群がり咲かせ、秋に小さな漿果を結ぶ。
草に特異な臭気を持ち、地下茎から掘り起こしても根絶は難しい害草。

後閑氏の、この句は、角川書店『俳句歳時記』第五版「秋」に例句として採用されている。
この句のことは知らなかったのだが、FBの友人として、ご本人からお知らせいただいて、知ったので、ここに掲出しておく。
後閑氏の句集に『卵』 『母の手』があるらしい。 これらについては、また後日。


縷紅草みれば過ぎ来し半生にからむ情の傷つきやすき・・・木村草弥
rukousou0111ルコウソウ
  
     縷紅草(るこうさう)みれば過ぎ来し半生に
          からむ情(こころ)の傷つきやすき・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


この歌は私の第四歌集『嬬恋』(角川書店)に載せたもので、
この歌の前に

      父母ありし日々にからめる縷紅草ひともと残る崩(くえ)垣の辺に

という歌が載っている。
2003年10月に開いてもらった私の出版記念会で、光本恵子氏が、この歌について喋っていただいた。
これについてはリンクにしたWeb上の『嬬恋』の「出版記念会」のところで、お読みいただける。
その時、光本さんは「ルコウソウ」が消えかかっている草、のように仰言ったが、今回、これを入力するに当ってネットを検索してみたら、
ルコウソウというのは熱帯アメリカの原産で、今ではさまざまの改良種が出て園芸店でも蔓草として人気らしい、という。
写真②も、そういう色とりどりの改良種という。

rukonsouルコウソウとりどり

ルコウソウは、ひるがお科の一年草で、日本では6月から夏から秋にかけて次々に咲きつぐ。
本来は五角形の真紅または白の筒型の花であるが、丸葉ルコウソウというのがあり、それと本来のルコウソウとの交配で「はごろもルコウソウ」という新しい品種が、
アメリカのオハイオ州で作られたという。
この花は大げさな花ではなく、また今どきの住宅事情からもフェンスにからませたりして丁度時代に合うのだろう。
写真③以下、いろいろの色のルコウソウの写真を載せておく。

rukousouルコウソウ白

marubarukousouルコウソウ

掲出した私の歌2首は、光本さんが仰言ってくださったように(消えかかっている花、というのは別にして)私の心のうちをルコウソウにからめて表現したもので、
的確に言い当てて下さったと感謝している。
以下、俳句に詠まれた作品を引いておく。

 縷紅草のびては過去にこだはらず・・・・・・・・中村秋一

 縷紅草垣にはづれて吹かれ居り・・・・・・・・津田清子

 縷紅草のくれなゐともる昼の闇・・・・・・・・小金井欽二

 軽みとは哀しみのこと縷紅草・・・・・・・・瀧春一

 垣越すと揃ふ縷紅の花の向き・・・・・・・・堀葦男

 羚羊のごとき少女や縷紅草・・・・・・・・古賀まり子

 雀らの影ちらちらと縷紅草・・・・・・・・村沢夏風

 草市のをとこの提げる縷紅草・・・・・・・・吉田鴻二

 縷紅草文(あや)目にからむ情の罠・・・・・・・・田口一穂

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