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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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<国家の無化>言はれしも昔せめぎあひ殺しあふなり 地球はアポリア・・・木村草弥
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──イスラエル紀行(1)──

      <国家の無化>言はれしも昔せめぎあひ
        殺しあふなり 地球(テラ)はアポリア・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


2000年5月にミレニアム記念の年にエルサレムを訪問できたのは幸運だった。
その年の秋にはシャロン首相の「黄金のドーム」強行視察に反発してパレスチナ人との間に果てしない流血の衝突が起り、今日に至る泥沼化した紛争の起因となってしまった。

掲出した写真はオリーヴ山からの「黄金のドーム」の遠景である。
掲出の歌は私の第四歌集『嬬恋』((角川書店)に載せたもので、歌以外の叙事文はイスラエル紀行「ダビデの星」をWeb上で見ることが出来るのでアクセスしてもらいたい。
歌集には、この叙事文も全文収録してあるが、Webでは収録していないので、紀行文「ダビデの星」をみてもらいたい、という意味である。
短詩形としての短歌は事実を叙事するには適していないので、私は慣例を破って、この歌集の中で歌と叙事文を併用するという手段を採ったものである。
写真②はエルサレム旧市街を囲む城壁である。
028エルサレム旧市街城壁

写真③は、エルサレム旧市街の壁の中にある「嘆きの壁」と称されるところで、黒づくめの服と帽子に身を包んだユダヤ人がブツブツと経文を唱えながら壁に向かってお祈りする場所である。
この壁の上段にイスラム教の「黄金のドーム」がある。
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なぜエルサレムが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通の聖地として古来、たびたび争奪戦の対象になってきたのか、
などについて私の紀行文「ダビデの星」に詳しく書いてあるので、お読みいただきたい。

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写真④が「嘆きの壁」に向かうユダヤ人。立っている人もたくさん居る。ここには厳重なイスラエル警察の護衛と監視つきで短時間立ち入ることができる。
イスラエル国民にはユダヤ教徒だけではなく、イスラム教徒も、他の信徒も居るが圧倒的多数はユダヤ教徒であるが、
ユダヤ人が寛容の精神でエルサレム市を運営するかぎり、みな共存共栄の関係なのである。
パレスチナ人(イスラム教徒)も肉体労働や車の運転手などの仕事をユダヤ人からもらって生活しているのである。
暗殺されたラビン首相は穏健派だったので両者の関係は蜜月時代だった。
今では強硬派のシャロン首相が、そういう危うい両者の関係を破壊してしまい、果てしない殺戮と報復の泥沼に入ってしまった。
余談だが、そのアリエル・シャロンが2006年に病気で倒れ人事不省になり、今はどうしているのか、死んだという報道もないが、人騒がせな政治家であった。
今のネタニアフ首相も強硬派であり、事態は一向に進展しない。

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写真⑤は記念館に展示される「2000年前のエルサレムの街の模型」である。
エルサレムは東西の交易路の交わるところとして、古来、重要な位置を占めてきた。
そういう場所であるだけに、事がこじれてしまうと、血を血で洗う紛争の地と化してしまうのである。
私は歌集の中で

   山 翻 江 倒 海 巨 瀾 捲 奔 騰 急 萬 馬 戦 猶 酣─────毛沢東

という毛沢東の詩を「引用」の形で挿入した。これは私の友人・西辻明 が自作の詩の中に使ったのを了解を得て使わせてもらった。
全部は理解できなくても、漢字ひとつひとつの意味するところから何となく、現代を表現し得ていると思えるではないか。
毛沢東は晩年には文化大革命などの間違いを犯したが、間違いなく20世紀を代表する偉大な政治家・哲学者であった。

イスラエルやエルサレムについては、旅の途中にガイドのニムロード・ベソール君から色々話を聞いて、まだ書いていないこともあり、
いつか機会をみて書いてみたいと思うが、ユダヤ人の中でも人種の違いによって明らかな「差別」が存在するのである。
白人のユダヤ人が優位で、有色人のユダヤ人は差別されている。
また我々には理解しにくいことだが、ユダヤ教典の中では「働くな」と書かれているらしい。
だから現在のイスラエル国民のうちで、保守派の連中は、教典に集中するという名目で働かず、国家の助成で暮らしている、という。
これはガイドのベソール君から聞いた。
大体、保守派はヒゲを生やし、黒づくめの服装をしているから一見して判るが、湖水地方などの保養地でモーターホード遊びなどをして、はしゃいでいるのは、
そういう保守派の連中の子弟である。だから、ベソール君は「間違っていますね」と言うわけである。
ベソール君については私の紀行文を読んでもらいたいが、イスラエル国民は、決して強硬派一色ではない。
暗殺されたラビン首相のように平和裡にユダヤもパレスチナも共存する方策を模索した勢力が、今でも多数いるのである。
民族、国家の古さから言えば「ユダヤ人」「イスラエル」「ユダヤ教」は一番古いのである。

私の歌集では、この歌の後に

  夕暮は軋む言葉を伴ひて海沿ひに来るパレスチナまで

  目覚むるは絆あるいはパラドックス風哭きて神をほろほろこぼす

  何と明るい祈りのあとの雨の彩(いろ)、千年後ま昼の樹下に目覚めむ


と続けて、この歌集の「ダビデの星」の章を終っている。もちろん私の願望を込めてあるのは当然である。
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「エルサレム」や「嘆きの壁」「ダビデの星」など「リンク」を貼ったページは、私の記事に不足する写真などを補足してくれると思う。
「前のページ」や「リンク」など、次々と検索できるので、ご覧になっていただきたい。



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