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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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終末に向き合ふものの愛しさかハル・メギドの野は花に満ちたり・・・木村草弥
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──イスラエル紀行(3)──

       終末に向き合ふものの愛(かな)しさか
        ハル・メギドの野は花に満ちたり・・・・・・・・・・・木村草弥


はじめに「ハル・メギド」の野ということについて少し説明しておく。
新約聖書の「ヨハネの黙示録」に「ハルマゲドン」の最終戦争、というようなくだりがあり、一般人にも、このハルマゲドンという言葉が知られるようになったのは、
サリン撒布事件などを起した麻原一派の恣意的な解釈、からである。
聖書の中の、この記述は邪悪な悪魔と、正しい信仰ないしは正しい人生との戦いを言ったものであり、本来的に「ハルマゲドン」とはイスラエルにある地名である。
紀元前何世紀かの戦場跡と言われている。現地の発音に忠実にいうと「ハル・メギド」と言うのが正しい。
「ハル」とは「丘」の意味である。今は草花の咲く草原である。


イスラエルで売られる本には、そのハル・メギドの草原の写真が載っている。
掲出の写真①はアネモネ属の花で、イスラエルでは、アネモネは「国花」になっている。
春になると野原一面に咲くアネモネ。
赤・白・黄色・紫・ピンク・青と、さまざまな美しい色で、気持ちを明るくさせてくれる。
イスラエルに行く機会のある人は、是非この季節のアネモネの一群を見てもらいたいものだ。

麻原一派の事件が起こった時、私は、すでにこういういきさつは知っていたので、こんな歌を作った。
第二歌集『嘉木』(角川書店)に載.る。

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   ハルマゲドンそは丘の名と知らざるや世紀末なる憂愁深く

   くるふ世とみな言ふべけれ僧兵が毒液ふりまく擾乱(ぜうらん)なれば

   ハルマゲドンかの丘原に展(ひら)けしは「たましひ救へ」の啓示ならずや


はじめに 掲出の歌は私の第四歌集『嬬恋』(角川書店)に載せたもので、自選60首にも採っているのでWeb上でもご覧いただける。
top野の花④

イスラエルという土地は旧約聖書などを読んでも、昔から、川の流れる流域以外は砂漠の不毛の地だったらしい。
今でも農耕が行なわれ豊穣の土地と言われるのは「約束の地」と呼ばれる限られた地域だけである。
その風土的な極端な特徴がユダヤ教などの宗教が発生する精神的なものの基礎を形成したことは確かである。
だから、当然、その肥沃な土地をめぐる争奪戦が繰り返されたのも理解出来よう。
百聞は一見に如かず、であり、本で読んで知っていても、実際に現地を見てみると、十全に理解できる。
私は2000年5月に訪問して、このことをはっきりと知ったのである。
かの地ハル・メギドの野に咲く花のいくつかを写真にして掲出するが、詳しくは私は知らない。

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ハニタのアイリスという草花

私は、掲出した、この歌で「終末に向き合ふものの愛(かな)しさかーー」と呼びかけたが、
これには聖書の「ハルマゲドン」の記述や西洋のキリスト教会で見られるタペストリーの絵解き物語を踏まえている。
「哀しさ」「悲しさ」とは、私は言っていない。「愛(かな)しさ」と言っている。この言葉は「いとしさ」と言い換えてもよい。
その表現の中に、私は未来に対する希望を盛ったのである。
あと二、三イスラエルの野の花を載せておく。

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カルメラ

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ルリハコベ属の花

現地イスラエルに行くと、この歌の背景の豊穣の土地を外れると、砂ばかりの不毛の地が続く。
同じ歌集に載る私の歌の

   断念を繰り返しつつ生きゐるか左に死海、右にユダの沙(すな)

ガリラヤ湖周辺の肥沃な地を離れて、ヨルダン川沿いに南下してゆくと、上の歌のような風景が現出する。
ユダ沙漠は広大なもので、この沙漠を越えて西に行ったところにエルサレムの街がある。エルサレムの街は、東から入るにしても西から入るにしても、うねうねとした道を延々と登り下りした高い丘の上にある。
旧市街は高い城壁に囲まれている。新市街は、その城壁の外に広がっている。

   あたらしき千年紀(ミレニアム)に継ぐ風景は?パソコンカフェのメールひそかに

同じ歌集に載る私の歌のひとつである。ここにも私の問いかけと願いをこめてあるのは、勿論である。
イスラエル紀行の歌は、歌集に載せたものだけでも80首を越えるが、いずれも愛着のあるものだが、今日は、この辺でくぎりにする。




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