FC2ブログ
K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
201909<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201911
小さき泉遺して神託絶えにつつデルポイの地は世界の臍ぞ・・・木村草弥
FI2618542_1E.jpg

──ギリシア紀行(4)──

    小さき泉遺して神託絶えにつつ
        デルポイの地は世界の臍(へそ)ぞ・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


先日来、3回に分けて書いたギリシアの記事の続編である。
この歌は私の第二歌集『嘉木』(角川書店)に載せたもので、WebのHP「エーゲ海の午睡」の紀行文と一緒にご覧いただくと、よくご理解いただけよう。
「ギリシア(3)」に載せた地図を見てもらえばよく判るが、カランバカ──メテオラから南に戻る途中にデルフィの遺跡がある。
古代ギリシアでは、何か事を行なう際には、デルフィのアポロン神にお伺いをたてて、「神託」をいただいてから行動に移ったという。
だからデルフィは「世界の臍」と言われ、写真①の「臍石」というのが発掘されて「デルフィ神殿博物館」に陳列されている。
遺跡の野外には、その臍石が安置されていたという場所にはレプリカが置かれ、元の位置が示されている。

FI2618542_2E.jpg
写真②は「デルフィの聖域」と呼ばれる神殿跡である。世界遺産に指定されている。

FI2618542_3E.jpg
写真③はこの遺跡から発掘された「御者の像」という青銅製の彫刻である。
この「御者の像」は、もちろん紀元前数百年の制作になるもので、この博物館でも逸品と言われているもの。
他に神殿の「破風」とその下部に大理石に彫られた見事な彫刻の「ファサード」が展示されているが大き過ぎて写真に撮れなかった。
「博物館」に展示される遺品では、これらのものがめぼしいもので博物館としては簡素なものである。

アポロン神殿は紀元前850年に建造されたドーリス式の神殿。神託も、この神殿で行なわれた。
「ピュティア祭」というのが4年に1度開催されていた。
この大会は紀元前582年に始められ、当初は8年毎に「音楽と文芸の神アポロン」に因んで、詩、演劇、演説、音楽などのコンテストがメインに行なわれ、運動競技もあったという。
大きな競技場跡も見られる。

FI2618542_4E.jpg
写真④はアポロン神殿の遺跡に、ここにアポロン神殿のあった場所を示す石である。ギリシア語、フランス語、英語で書かれている。

FI2618542_5E.jpg
写真⑤は、デルフィの神託の書かれた宝物庫の壁の文字。

デルフィは山の中の岩山で、発掘された岩や石が散乱する、文字通りの遺跡である。
山の中のデルフィの遺跡からバスで20~30分戻ったところに小さなデルフィの集落がある。
私たちは、ここのヴーザスという崖に張り付いて建てられたホテルに泊った。
道路に面した一階がホテルの玄関で、客室はエレベータに乗って下に下ってゆく。5階ぐらいはあったと思う。
崖に張り付いているので、エレベータも客室の窓からも眺望は絶景である。ホテルの周りには土産物屋が軒を連ねている。
ここからは遥か先にギリシア本土とペロポネソス半島の間に挟まれた細長い水道──コリンティアコス湾が望める。

掲出した私の歌の「泉」について解説しておく。
この泉は「カスタリアの泉」と言い、アポロン神殿に参詣する人々も、お告げをする巫女たちも、まず、この泉で身を清めてから、聖域へと進んだという。
なお「デルフィ」というのは英語よみの発音であり、「デルポイ」というのは古代ギリシアの発音に近いということになっている。
掲出した歌の前後の私の歌をひいて終りにしたい。

    星の幾何学──MARE MEDITERRANEUM──・・・・・・・・木村草弥

  森羅いま息ひそめつつデルポイはみどりの芽吹き滴るばかり

  小さき泉遺して神託絶えにつつデルポイの地は世界の臍ぞ

  熟れたれば舗道に杏の実は落ちて乳暈(アレオラ)のごとく褐色(かちいろ)に乾く

  したたる緑、永遠の春、あくなき愛、浄福の地ぞアルカディーアは

  悦楽(ロクス・アモエヌス)の地と描かれて画布にあるそはアルカディーア場所(トポス)たり得し

  場所(トポス)はもペロポネソスに満ち満てる悦楽の言辞(トポス)に通ふと言へり

  曲線はなに狩る弓ぞキャンバスに強く張らるる弦画(か)かれゐき

  星に死のあると知る時、まして人に快楽(けらく)ののちの死、無花果(いちじく)熟す

  かの射手座海に墜ちゆく彼方にはわが銀河系の母胎あるといふ

--------------------------------------------------------------------------
「デルフィまたはデルポイ」については、このWikipediaに詳しい。
なお「日刊ギリシャ檸檬の森」という実地踏破による詳しいサイトがあるので、ご覧いただきたい。


copyright © 2019 Powered By FC2ブログ allrights reserved.