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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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「信天翁」私信と書評・・・小西亘
信天翁_NEW

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   草弥の詩作品<草の領域>
      poetic, or not poetic,
      that is the question. me free !
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      「信天翁」私信と書評・・・・・・・・・・・・小西亘

この度第七歌集『信天翁』を賜りましてありがとうございました。
いつもながらの、古今東西に亘る該博な知識、あふれる好奇心、対象に鋭く響く感性によって紡がれた作品を拝読し、豊かな時間を過ごさせていただきました。
連作の一首一首を読み進むうちに、ひとつの豊かな物語の世界に入ってゆくような思いになりました。
以下、思いつくままに拙い感想を記します。
「朝の儀式」 「或る夕餉」・・・・・このような日常の朝食・夕食を細かく描写し並べた連作が、不思議に詩としての力を持ってくるのですね。そこに意志のようなものも感じました。
「キティちゃん」・・・・・切ない物語でした。難民の微笑む、きちんと躾けられた少女、その洋服の「キティちゃん」を描いたところに、作者の少女への思いが伝わりました。
「オガダン・モド」・・・・・もうひとつの「キティちゃん」。モンゴルの風土に生み出された、われわれからすれば特異な感性を持つ少年。
「それは『オガダン・モド(巫女の木)』と呼ばれて信仰される」で結ばれる異質な世界。
「言葉」・・・・・言葉を崇拝し、言葉の力を解き、言葉人間の証と宣言する一文人の詩歌や書き物は、このような傾向にあると思います。
それに反して作者は、「若者よ、言葉にだまされてはいけない」 「物は嘘をつかない、物が語りかけるものは嘘をつかない」と言う。
「チョコ野郎」 「街並み」 「ヨーロッパの森」・・・・・絵入りの、ヨーロッパの物語風の歴史書・地理書を繙く思いでした。
われわれの憧れる、共通した歴史と文化を持ち、それぞれに多彩であるヨーロッパの国々。それを森やチョコという具体を通して。
「cogito, ergo sum」・・・・・ひろし・ぬやま・三木清・前田夕暮。「自由」という言葉だけで弾圧された俳人たち。
退職者となり、もの申さぬ人間となり、事なかれ主義の日々を送る自分を反省しました。
若者に日々触れる身、時代に生きた文人たちに自ら感じ、彼らを通して若者に伝えなければ、と。

冒頭の、稲田京子さんとお兄様を悼むお歌。「信天翁」のコースターのお話、改めて歌集を拝読して、このような死別の悲しみを直截に表さない挽歌も、あまり読んだことがないと思いました。
実景か心象風景か分からない、ある雰囲気をもつ描写を通して、故人とそれに関わる自分について、しみじみと思い、悲しみ、回想する情が窺えるようです。
詩心の無い私は、一首一首について、作者にお聞きしたいという気持ちが湧いて参りました。

勝手なことばかり書いて申し訳ありません。
蛇足ですが、「無駄な言葉がないなあ」という詠嘆の思いも持ちました。・・・・・        小西亘


「信天翁」私信ほか・・・田中成彦。松本昭子。那須信孝。山崎輝男。松宮行子。辻俱歓。
信天翁_NEW

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   草弥の詩作品<草の領域>
      poetic, or not poetic,
      that is the question. me free !
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      「信天翁」私信ほか・・・・・・・・・・田中成彦。松本昭子。那須信孝。山崎輝男。松宮行子。辻俱歓。

      「信天翁」私信・・・・・・・・・田中成彦(吻土・主宰)

城南地方の春は殊に早い到来と拝察します。
変わらずご活躍のご様子お慶び申し上げます。
此度は新たな詩歌集のご恵贈まことにおめでとうございます。
巻頭の挽歌や、巻末の連作短詩には特に心惹かれました。
益々のご健詠をお祈り申し上げます。    <吻土>田中成彦

     「信天翁」私信・・・・・・・・・・・松本昭子(俳人・天塚)

「信天翁」ご上梓おめでとうございます。
歳を重ねてなほ変わらぬバイタリティに敬服しております。
自然体で自由にうたわれつつ広い知識も垣間みえ、深い思いも響いてまいりました。
勉強させていただきました。
新型ウイルスで不安な日々が続きます。ご自愛の上ますますのご健詠をお祈り申し上げます。   
                                   松本昭子

     「信天翁」私信・・・・・・・・・・・那須信孝(一行寺・前住職)

謹啓。世はコロナ伝染で種々の風評が乱れとんでいます。
フト戦時中の学徒動員等を想い出しました。
短い人生に数世紀とも言える経験をする時代に生かされている意義を知らされます。
歌集「信天翁」ご恵贈賜り有難うございました。
近親の方々の逝去にも拘わらず豊かな感性で多彩な精神的成長を続けられる貴兄に感心して居ります。
お互いに九十歳くれぐれも、お大事にご活躍ご精進お念じいたします。
有難うございました。                       那須信孝

     「信天翁」私信・・・・・・・・・・・山崎輝男(未来山脈)

『信天翁』のご出版おめでとうございます。何冊もの歌集を出されているのですね。
私もいつかは歌集を出版したいものと思っていますが、叶いません。
木村様の歌集を読んでいると、この様な表現方法もあるのだと大変新鮮な感覚を覚えました。
小生、いつも一首だけに固執して四苦八苦していますが、この様に詩のように表現することも可能なんだと感じました。
ゆっくり味わせていただきたいと思います。
歌集の中に川柳も出てまいりました。
私の友人に川柳を詠む者がおりまして、以前、同窓会の時にもらった面白い川柳を想いだしました。・・・・・
                                               山崎輝男

     「信天翁」私信・・・・・・・・・・・松宮行子(元・編集者。英語翻訳家)

お久しぶりです。歌集『信天翁』をお送りいただきありがとうございました。
一句一句読ませていただきながら途中で、あのバスの旅でお話をしたときのようにいろいろと問いかけておりました。
今年「卆」年。なんとはつらつとした句なのでしょう。
毎日のひととき、ひとときを丁寧に過ごされていることが、しっかりと伝わってきます。
このところ何かに(体力とか・・・)甘えてきている日常を反省しました。
先ず胸を張って歩かなくては ! ご本を手にとってはうなずいたり、はっとしたり。
そして久しぶりに丁寧に作られたご本を手に取り感激しております。
本づくりの考えられる限りのことが表現されていますね。ありがとございました。
これから、またじっくり読み返していきます。楽しみです。       松宮行子

     「信天翁」私信・・・・・・・・・・・辻俱歓(未来山脈)

歌集『信天翁』を御恵贈下さり、ありがとうございました。
素直で技巧をこらさなく、大変読み易いお歌の数々でございました。
木村様の素直なお心が、そのまま伝わって来るお歌の数々でした。
・・・・・
木村様は、奥様とお兄様を失われて、おさびしいかと存じます。でも未来山脈の仲間も居ます。
どうぞ長生きして下さいね。これからも短歌、読ませて下さい。         辻俱歓



雛の唇紅ぬるるまま幾世経し・・・山口青邨
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   雛の唇(くち)紅ぬるるまま幾世経し・・・・・・・・・・・山口青邨

雛祭は、もともとは旧暦の三月三日であったから、桃の花が麗しく咲き誇る季節であり、桃の花や白酒、菱餅などが供えられた。
九州の柳川では、この時期には「川くだり」の舟の中から見られるように家々が雛壇を飾るのが恒例である。
なお、男雛と女雛の置き位置が、京都と東京では逆であると言われる。調べられたい

今は太陽暦の新暦で祭るから植物的には違和感がある。
今でも女の子の居る家では「おひなさま」を飾るが、家の広さに制限があり、簡単な飾りで済ますところも多いらしい。
だから昔ほど、おひなさまを囲んでという光景は薄れたと言えようか。

雛祭の古い句としては

  とぼし灯の用意や雛の台所・・・・・・・・加賀千代女  

  雛祭る都はづれや桃の月・・・・・・・・与謝蕪村

  蝋燭のにほふ雛(ひひな)の雨夜かな・・・・・・・・加舎白雄

などが挙げられよう。
近代以後の句も歳時記にはたくさん載っているので、いくつか引いておく。
「雛」の字の読み方としては、前後の音数の関係から「ひな」と訓んだり「ひひな」と訓んだり区別する。

  いきいきとほそ目かがやく雛(ひひな)かな・・・・・・・・飯田蛇笏

  箱を出て初雛のまま照りたまふ・・・・・・・・渡辺水巴

  鎌倉の松風さむき雛かな・・・・・・・・久保田万太郎

  かんばせのひびのかなしき雛かな・・・・・・・・野村喜舟

  函を出てより添ふ雛の御契り・・・・・・・・杉田久女

  老いてこそなほなつかしや雛飾る・・・・・・・・及川貞

  雛の座を起つにも齢の骨鳴りて・・・・・・・・石川桂郎

  初雛の大き過ぎるを贈りけり・・・・・・・・草間時彦

  男(を)の雛の黛(まゆずみ)暈(かさ)をもちたまふ・・・・・・・・後藤夜半

  雛まつり薬缶も笛の音色して・・・・・・・・成田千空

  ひとり居の雛とぢこめて出勤す・・・・・・・・菖蒲あや

  木に彫つて寧楽七色の雛かな・・・・・・・・飴山實

  日の高きうちより点し雛の燭・・・・・・・・片山由美子

  灯すもの灯して寂か雛の間・・・・・・・・浜崎浜子

  雛壇を奥の一間に鮮魚店・・・・・・・・中間秀幸
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山口青邨は東京帝大工科採鉱学科卒で、のち母校の教授になるという経歴の持ち主。ホトトギス門下の逸材で、いわゆる「四S時代」の提唱者として知られる。
因みに、「四S」とは、東の秋桜子、素十。西の誓子、青畝を指す。

掲出の青邨の句は、雛祭の、雛出しの情景を彷彿とさせる佳い句である。
今の時期の青邨の句としては、

  本を読む菜の花明り本を読む

  啓蟄の蚯蚓の紅のすきとほる

  春の海一重の藪をもてへだつ

  白梅を怒涛と見れば日暮れたり

  森の中噴井は夜もかくあらむ

などの句が私は好きである。

山口青邨旧宅「雑草園」 ← リンクになっているので、クリックされよ。
蔵書は「日本現代詩歌文学館」に収蔵された。また長く住んだ「雑草園」も同館の別館として隣接地に移築・保存されている。
私も終活の意味も込めて、一昨年、詩歌関係の蔵書400冊余をここに寄贈したので永年保存され、同好の人たちに利用されるだろう。
当時の館長・篠弘から受領のリストが届いている。 → 蔵書寄贈
私的なことだが、ひとこと書き添えておく。




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