
仏桑花真紅の声を挙げて基地・・・・・・・・・・・・・山田みづえ
仏桑花(ぶっそうげ)とは「ハイビスカス」のことである。
この前の戦争では多くの人が敗戦国民として戦勝国に支配されて辛酸をなめたのである。
その頃、戦争は南の国で行なわれたので、南方系の植物──ハイビスカスに想いは繋がるのであった。
何年か前の春に沖縄本島に旅した。
以前にも訪れたことがあるが、今では激戦地だった南部の丘に「平和の礎(いしじ)」や記念館の立派なのが出来て、国内外の戦没者の名に拝して戦争の悲惨さに想いを馳せたのだった。
ここにも「ハイビスカス」は赤く色あざやかに咲いていた。
「基地」が沖縄の広い面積を占有し今も騒音その他に悩まされている。
この句の「真紅の声を挙げて基地」というのが内地人である我々の心に突き刺さる。
歳時記の句を引いて終わる。
仏桑花爆心に咲き喪の季節・・・・・・・・下村ひろし
口笛は幼くかなし仏桑花・・・・・・・・塚原麦生
海の紺ゆるび来たりし仏桑花・・・・・・・・清崎敏郎
島人の血はかくも濃し仏桑花・・・・・・・・青柳志解樹
ひめゆりの塔に火種の仏桑花・・・・・・・・井口荘子
天に入る熔岩原風の仏桑花・・・・・・・・古賀まり子
仏桑花咲けば虜囚の日の遠き・・・・・・・・多賀谷栄一
仏桑花咲く島に来る終戦日・・・・・・・・北沢瑞史
ひめゆり塔声を挙げゐる仏桑花・・・・・・・・田口一穂
仏桑花供華としあふれ自決の碑・・・・・・・・岩鼻十三女
| ホーム |