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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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藤原光顕の歌「星花忌②抄」・・・木村草弥
たかまる_NEW

──藤原光顕の歌──(50)

       藤原光顕の歌「星花忌②抄」・・・・・・・・・・・・・木村草弥
               ・・・・・「たかまる」誌No.120/2021.1所載・・・・・・・・・

       星花忌②抄 その後 1      藤原光顕

  咲き誇るランタナの横に立たせてみる あの笑顔で佇たせてみる
  卵焼きの色は淋しい 少しずつひとり暮らしに慣れていくのか
  庭が初夏になった あなたは綺麗なお花畑を見ただろうか
  雑草園が秋色になった あの世へぬける 光が透ける
  連れていってやればよかったドバイ、マルタ もっと遠くへ逝ってしまった
  十数回海外へも行ったもう一度スイスの願いは未遂に終わった
  春・夏・秋・冬 ふたりで散歩するだけであんなに喜んでいた
  川の畔り田んぼの畦道 草花を抜いてきては雑草園を賑やかにした
  うさぎの好きな人だったうさぎを提げたガラケーをそのまま使う
  ぽつんと言った須磨のこと六甲山のこと 亡くなる前のいつだったか
  五か月経って夢に出てくる あの日のように「まだァ」と言う
  迷ってまた玄関に置く 少し汚れた妻のウォーキングシューズ
  まだ出てくるアルバム何冊寒い午後をまたさかのぼる三十何年
  オモチャみていな炊飯器で毎日一合炊く毎日一口ずつ余る
  この味忘れるまいと噛み続ける 妻手作りのジャムが尽きる
  あれから一年 生き残ったこころは庭の草むしりに集中する
  ひとりではさまにならない スーパーの帰りにいつも休んだベンチ
  ミックスサラダとあれば刻んだキャベツを買うひとりで食えばまさしく餌だ
  「歌書いてなければパパはダメになるかも」いまごろになって人づてに聞く      (つづく) 
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藤原光顕さんから季刊誌が届いた。
巻頭に載る「星花忌」は、宮崎信義の歌集『梅花忌』に因むものだと藤原氏はいう。
何分、歌の数が65と多いものなので、ネット原稿で送り直しを求めたが返事がないので「抄出」で失礼するがお許しいただきたい。
「本」という紹介欄で、私の本『修学院夜話』と『四季の〈うた〉草弥のブログ抄』を採り上げていただいた。御礼申し上げる。


 
蜜蜂のうなりのやうにまとひつく耳鳴りあはれ蠟梅かをる・・・木村草弥
sosin-roubai蝋梅本命

    蜜蜂のうなりのやうにまとひつく
      耳鳴りあはれ蠟梅かをる・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


この歌は私の第二歌集『嘉木』(角川書店)に載るものである。
私の家の庭にある「蠟梅」は近年12月末から新年にかけて咲いている。

『滑稽雑談』という本に「蠟梅、一名黄梅花。この物、もと、梅の類にあらず。臘月に小黄花を開く。蘭の香に似たり。葉は柿葉に似て、小にして長し。大坂にて<唐梅>といふ。この名、臘月の義にあらず。その花、黄蠟色に似たり。ゆゑにこれを名とするなり」とある。
簡にして要を得た文章である。梅に似て、梅でない、黄蠟色の、極めて香りのよい花である。

sosin-roubai3蝋梅

sosin-roubai2蝋梅の実

写真③は蠟梅の実である。
夏のはじめに実り、地面に落ちると発芽して新しい木になるが、条件さえ良ければ、やたらに増えるので始末が悪いので、見つけたらこまめに引っこ抜く。
枝も徒長枝が伸び放題に伸びるので、取り除かないと、庭の他の木を日陰にするので始末が悪い。
樹木には新しい徒長枝に花芽がつくものと、古い枝に花芽がつくのと二種類あるが、蠟梅は梅と一緒で徒長枝には花芽はつかないので、どしどし切ってよいのである。

以下、蠟梅を詠んだ句を引いて終る。

 蠟梅や雪うち透かす枝のたけ・・・・・・・・芥川龍之介

 蠟梅や枝まばらなる時雨ぞら・・・・・・・・芥川龍之介

 蠟梅のかをりやひとの家につかれ・・・・・・・・橋本多佳子

 蠟梅の咲いてゐるなり煤の宿・・・・・・・・百合山羽公

 蠟梅の花にある日のありとのみ・・・・・・・・長谷川素逝

 蠟梅の咲きうつむくを勢ひとす・・・・・・・・皆吉爽雨

 蠟梅のこぼれ日障子透きとほす・・・・・・・・菅裸馬

 蠟梅に日の美しき初箒・・・・・・・・遠藤梧逸

 蠟梅や時計にとほき炬燵の間・・・・・・・・室生とみ子

 蠟梅のこぼれやすきを享けにけり・・・・・・・・林登志子
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「臘」という字と「蠟」という字は区別される。
偏が「虫」と「月」と違っているように、ロウソクの字の場合は虫偏の「蠟」であり、
暦の十二月の異称の「臘月」の場合は月偏の「臘」である。
これらは、いずれも常用漢字の表外漢字であるが、画数の多い字で略字で表記される場合が多いが、ここでは「正字」で出しておいた。

なお蛇足だが、私の歌にあるように、「香る」という言葉の歴史的かなづかいは「かをる」が正しい。
「香り」ならば「かをり」である。
布施明が歌って大ヒットした歌「シクラメンのかほり」というのがあるが、なまじ大ヒットしたが故に、この仮名づかいが正しいように誤解されているが、
これは作者の小椋佳の勘違いによる間違いであり、いつまでも恥を曝しているようなものである。
知ったかぶりをして、歴史的かなづかい(旧かな)にしたために間違ったのである。
ここは素直に「新」かなづかいにしておいたら、恥をかかずに済んだのである。
今や「新かなづかい」が制定されてから70年以上が経ち、「旧かなづかい」なんて全く縁のない人々が殆どであるから、
「旧かなづかい」で詩歌を作ったり、書いたりするには、それ相応の「覚悟」と「勉強」が要る。
安易な気持でやられては困るのである。「国語辞典」「古語辞典」には載っているので参照する癖をつけたい。
このブログ上でも、これにつられて「かほり」と書いてあるのを時々見かける。念のために申し上げておく。




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