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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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きのこのはなしをきいた/きのこのあとをたぐってゆくと・・・・・・・・・・・・・鶴見俊輔
鶴見俊輔詩集

──鶴見俊輔の詩──(1)再掲載・初出Doblog2005/11/08

       寓 話・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鶴見俊輔

     きのこのはなしをきいた
     きのこのあとをたぐってゆくと
     もぐらの便所にゆきあたった
     アメリカの学者も知らない
     大発見だそうだ

     発見をした学者は
     うちのちかくに住んでいて
     おくさんはこどもを集めて塾をひらき
     学者は夕刻かえってきて
     家のまえのくらやみで体操をした

     きのこはアンモニアをかけると
     表に出てくるが
     それまで何年も何年も
     菌糸としてのみ地中にあるという

     表に出たきのこだけをつみとるのも自由
     しかしきのこがあらわれるまで
     菌糸はみずからを保っている
     何年も何年も
     もぐらが便所をつくるまで

 (鶴見俊輔詩集『もうろくの春』より)
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photo10鶴見俊輔

この詩集は13×15センチという、小型で変形のかわいいものである。
編集グループ<SURE>工房という京都市内の名も知らぬ出版社の発行である。
定価は3000円+税、と高いものだが、2003年3月の初版から2004年2月の3刷と版を重ねている。こんな本には珍しく700部も刷を重ね、今どき「著者検印」のハンコまで押してある。
ハンコは「狸男」というもので、人を食っている。
この詩集は出版元への直接注文でしか買えない。
写真は本を納める外箱である。

鶴見俊輔の専門は何なのだろうか。哲学者なのか心理学者なのか。もう80歳も半ばを超えた。鶴見和子の弟である。鶴見和子も先年亡くなった。
アメリカの大学で若い日々を過ごし、太平洋戦争に入る末期に在留邦人交換船で帰国したという経歴を持つ。都留重人などの次の世代にあたる。
掲出した「寓話」という詩は、とても佳いものである。引き続いて、あと二つほど詩を載せたいと思う。


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