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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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上原善広『異形の日本人』・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
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      上原善広『異形の日本人』・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
          ・・・・・・・・・新潮社2010/09/17刊 ・・・・・・・・・・・

     虐げられても、貧しくとも、偏見に屈せず、たくましく生きた人たちがいた。
     哀しい宿命のターザン姉妹、解放同盟に徹底的に弾圧された漫画家、
     パチプロで生活しながら唯我独尊を貫く元日本代表のアスリート、
     難病を患いながらもワイセツ裁判を闘った女性、媚態と過激な技で勝負する孤独なストリッパー……
     社会はなぜ彼らを排除したがるのか? 
     マスメディアが伝えようとしない日本人の生涯を、大宅賞作家が鮮烈に描く。
     大宅ノンフィクション賞受賞第一作! タブーにこそ、人間の本質が隠されている。


新潮社の読書誌「波」2010年10月号より 著者のコメントを引いておく。
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         虐げられた人びとへの旅      上原善広

 タブーには何か、人間の本質のようなものが隠されているのではないか。私が「路地」(被差別部落)にこだわるのも、そのような思いが根底にあるからだ。
 幸いにも、日本全国の路地を巡った旅をまとめた『日本の路地を旅する』(文藝春秋)が、本年度の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。本作は受賞後、第一作にあたる。
 受賞作は、どちらかといえば土地を巡る旅であったが、本作では人を旅している。私が当初からもっていたテーマについて、さまざまな形で禁忌と見なされている人に取材して歩いたのだった。
 タブーというのは、何も路地だけではなく、さまざまな形で社会に存在している。
 例えば、第一章「異形の系譜」、第四章「クリオネの記」は、障害者問題をテーマにしている。ある謎の姉妹をめぐって、東大教授の研究まで辿りつく騒動の顛末。そして、障害者の性と、あるセクハラ事件について考えたものである。
 路地と障害者というのは、まったく別の問題、テーマであるように思われるかもしれないが、どちらも社会的にはまだまだタブーとして扱われている。また、同和教育の洗礼を受けている私は、路地も障害者も「人権」というくくりの中で学生時代から関わってきた。そのため、私にとってはごく自然な取り組みであった。とくに第四章に出てくる難病の女性は、高校時代からボランティアをしていた、私の後輩でもあった。
 それから一転して第三章「溝口のやり」は、陸上競技のやり投げ現アジア記録保持者、溝口和洋の半生記である。彼は破天荒な言動から陸上界ではタブー視されてきた存在だった。しかし彼が日本人でなければ、その評価もかなり違った形になっていたことは間違いない。
 存在自体が実は非合法であるストリップ。その中でも間もなく消滅すると言われている花電車の芸人と行動を共にしたのが、第五章「花電車は走る」。決して幸せとはいえない家庭環境で育った一人の女性が、自分の芸一つをもって、真っ直ぐに生きようともがいていく様を描いた。
 最後に、路地をテーマにしたものでは二つある。第二章「封印された漫画」は、解放同盟による糾弾から封印されてしまったある劇画に焦点をあて、双方の不幸な誤解について取材、考察した。
 最終章「皮田藤吉伝」では、現在でも多くの舞台や歌謡曲で取り上げられる伝説の噺家、桂春團治を取り上げた。彼はどのようにして一代で名跡に成り上がり、伝説となったのか。路地からの視点で、その内実に迫ろうと試みた、本書のための書き下ろしである。
 こうして一冊に組み上がってみると、これら群像の中に、実は個性豊かな日本人の素顔が見えてくるようでもあると、私は思った。それは筆者の自惚れなのか、読者の判断を仰ぎたい。
(うえはら・よしひろ ノンフィクション作家)

上原善広/ウエハラ・ヨシヒロ

1973(昭和48)年、大阪府生まれ。大阪体育大学卒業後、様々な職を経た後ノンフィクションの取材、執筆をはじめる。2010年『日本の路地を旅する』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。著書に『被差別の食卓』『聖路加病院訪問看護科―11人のナースたち―』『コリアン部落』などがある。

↓ 編集者の「つぶやき」の一部を紹介する。
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         無頼の「やり投げ」アスリート

 本書の「第三章」で、「やり投げ」の選手、溝口和洋氏が取上げられています。
 ソウル五輪にも出場した溝口氏は、80年代当時、従来の技術論とは違う独自のダイナミックな投擲フォームを貫きながらも、喫煙も続け、食物の好き嫌いも激しい選手でした。しかし、過重なウェイトトレーニングを早くから行い、「根性」を主張するも自らの激しいトレーニングで裏付けしました。彼の独自のアスリート人生は陸上競技の世界やマスコミからは異端視され続けていました。しかし、常識を逸脱し、無頼なアスリートであるがゆえに、とても魅力的でもあります。
 溝口氏のやり投げのアジア記録は、現在でも破られていません。
 引退後はパチプロで生計を立て、全国で投擲のコーチをし、あのハンマー投げの室伏広治選手にも教えを授けました。そして、現在は郷里で農業を営んでいるそうです。



コメント
コメント
sohya 様
今日は~!
非常に面白そうな本ですね~!
興味が湧きました。
2010/10/19(火) 12:35:49 | URL | ももたろう #- [ 編集 ]
ももたろう様
■ももたろう様。
コメント有難うございます。
何かあると、現代中国のように「物を破壊する」というのは困りますね。
昨夜のNHKの中国総局の記者が、暴動の起こっている場所は
いずれも党の保守派の指導者の居るところとか言ってました。
あなたのおっしゃる、当局の「ヤラセ」というのと符合しますね。
こんなことは世界的には通用しませんよね。
では、また。
2010/10/19(火) 15:06:19 | URL | sohya #- [ 編集 ]
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