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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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初蝶来何色と問ふ黄と答ふ・・・・・・・・・・・・・高浜虚子
kityou4黄蝶

  初蝶来(く)何色と問ふ黄と答ふ・・・・・・・・・・・・高浜虚子

この句は昭和21年3月29日の作である、とされているので、どうしても今日の日付で入れたかった。虚子くらいの俳人になると弟子も多くて作品解題も詳細を極めているのである。
初出誌「ホトトギス」昭和21年6月号では、「初蝶来何色と問はれ黄と答ふ」だった。それが再掲誌「玉藻」(虚子の二女星野立子の主宰誌)同年9月号までの間に「問はれ」が「問ふ」に修正された。
この修正は、まことに興味深い。虚子の句作の実際を具体的に例示してくれるからである。
「問はれ」から「問ふ」に変ることによって、この句は単に実際の体験を詠んだだけの句から、もう一つ別の次元へ移ったと言える。
「問はれ」て「黄と答ふ」という、ひと連なりの句では、この句は「作者」一人が詠んで、それでお終い、という、つまらない句になってしまう。
それを「何色と問ふ」「黄と答ふ」としたことによって、「誰か」を見事に押し隠しているために、句に対話性が導入され、句が大きく、広くひろがった。言い換えると、或る種の超越的な象徴性を生み出し得た、と言えるのである。
なお、この句には「来」(来る、の終止形)「問ふ」「答ふ」と三つの動詞の「終止形」が使われている。
そのことによって、この句がきりりと引き締まった感じがする作品に仕上がっている。秀逸というしかない佳句である。
昭和22年刊『六百句』所載。

「蝶」を詠んだ句を少し挙げてみよう。

 蝶々のもの食ふ音の静かさよ・・・・・・・・・・・・高浜虚子

 一日物言はず蝶の影さす・・・・・・・・・・・・尾崎放哉

 うつうつと最高を行く揚羽蝶・・・・・・・・・・・・永田耕衣

 閉ぢし翅しづかにひらき蝶死にき・・・・・・・・・・・・篠原梵

 きらきらと蝶が壊れて痕もなし・・・・・・・・・・・・高屋窓秋

 大空にたはるる蝶の一つがひ・・・・・・・・・・・・香川景樹

 ほそみとはかるみとは蝶生れにけり・・・・・・・・・・・・久保田万太郎

 回想のうちそと蝶が舞ひはじめ・・・・・・・・・・・・・加藤楸邨

 初蝶を見し束の間のかなしさよ・・・・・・・・・・・・松本たかし

 音楽を降らしめよ夥しき蝶に・・・・・・・・・・・・藤田湘子

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 《てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた》

これは安西冬衛の詩集『春』に載る詩である。
この詩は詩人たるものにとっては、見過ごすことの出来ない歴史的な名詩である。
この詩は、杉本良吉と岡田嘉子の樺太の荒野を越えての恋の逃避行を詠んだ、などと言われているが、それは野次馬の付け足しであろう。
私も、これに触発されて、歌を一首ものにしたことがある。


  
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