FC2ブログ
K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
201911<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>202001
高階杞一詩集『キリンの洗濯』から・・・・・・・・木村草弥
img258.jpg

──高階杞一の詩──(1)

高階杞一詩集『キリンの洗濯』から

   キリンの洗濯・・・・・・・・・・・・高階杞一

      二日に一度
      この部屋で キリンの洗濯をする
      キリンは首が長いので
      隠しても
      ついつい窓からはみでてしまう

      折りたためたらいいんだけれど
      傘や
      月日のように
      そうすれば

      大家さん
      に責められることもない
      生き物は飼わないようにって言ったでしょ って
      言われ その度に
      同じ言い訳ばかりしなくたってすむ
      飼ってるじゃなくて、つまり
      やってくるんです
           いつも 信じてはくれないけれど

      ほんとに やってくるんだ
      夜に
      どこからか
      洗ってくれろ洗ってくれろ
      と
      眠りかけたぼくに
      言う

      だから
      二日に一度はキリンを干して
      家を出る
      天気のいい日は
      遠く離れた職場からでもそのキリンが見える
      窓から
      洗いたての首を突き出して
      じっと
      遠い所を見ているキリンが見える
-------------------------------------------------------------------
この詩集は

発行日:1989年3月1日。第3詩集。
発行所:あざみ書房(自費出版)
収録編数:38編
作品制作年:1983年~1988年
表紙及び扉絵:原 律子
初版400部。現在9刷
定価:1500円(税別)

というものである。

この詩集の「帯文」には

H氏賞(第40回)受賞詩集
高階杞一にはなぜがない。一直線に矛盾を突っ走る。
ホッチキスが人間をとめたり、部屋が口をあけて泣いたり、
二日に一度キリンの洗濯をしたりする未知の爽快さに出会う
高階杞一はこの“ずれ”と“ゆがみ”を真面目な顔で詩にまとめた。
彼流に言うと、顔がうまくほどけないから、らしい。
読者は知らないうちに、彼の座敷に座らされて、
甘い笑いと苦いペーソスを飲まされるのだ。

という藤富保男の文章がある。
書評については、この藤富の評に尽きる。
藤富 保男(ふじとみ やすお、1928年 - )は、東京都生まれの詩人。東京外国語大学卒。視覚と音律から日常の言語を再構築する独特の詩法をもち、ユーモラスな作風を得意とする。代表的な詩集に『コルクの皿』『正確な曖昧』『新聞紙とトマト』など。詩集は三十冊を超えるほか、翻訳書、編著書も多数。
フジトミ詩とヤスオ絵の怪しい関係──関富士子というサイトも、とても面白いので見てほしい。
「next」を辿ってゆくと、1~8まで愉しく読める。

高階氏の別の詩集に子供のための童話の詩集があるそうだが、メルヘンに満ちた作品だろうと思う。
この詩も、現代詩に付きものの難解なフレーズはないが、さりとて「平易」というのではない。
言うならば「メルヘン」なのである。メルヘンというのは常識的ではないし、突拍子も無いものである。高階氏の頭の中は子供のようにメルヘンに満ち満ちた思考構造になっているらしい。

高階杞一氏のホームページは←ここである。氏の「日常」などの書き込みもあるので、ご覧いただける。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
今日から四日間にわたって載せる高階杞一氏についての記事は、実は昨年12月に載せたのだが、Doblogがハードディスクの記憶装置の部分に障害を起こし、今だに当該記事を読み出せないので「再掲載」という形で一から打ち直したものである。
高階氏の詩には「曲」が付けられていて、氏のHPの「自作への付曲一覧」というところで見られるが、一覧のみで曲を聞いたり、楽譜を見ることができない。別のページに「日々のあれこれ」という「氏の近況」を知らせるところがあり、昨年NHK全国学校音楽コンクールで課題曲として詩集『キリンの洗濯』の「贈り物」という詩につけられた曲が選ばれ、それが東京都のコンクールで金賞を得たというのでNHKのサイトで聴けたのだが、今回アクセスしてみたら、もう消されていて聴けなかった。
昨年のこのコンクールにはアンジェラ・アキの作詩・作曲による「手紙」という曲も課題曲となり、これをきっかけに彼女の曲が津波のように中学生、高校生たちの間で広がり、折しも卒業式シーズンとあって各地で歌われた、という。三月下旬にはNHKの特集が放映された。
このように高階氏の活動は社会的にも大きな幅を持っていることをお伝えしておきたい。

ここで上記のアンジェラ・アキの♪「曲の動画」♪の「試聴版」を引いておくので聴いてみてください。
この版は「歌詞」もテロップで表示されるので便利である。
他にもYouTubeのものなどがあるが著作権云々に引っかかって削除されることが多いので、この版を選択した。 なお削除された場合の予備を引いておく。
なお彼女のことはWikipediaに詳しい。
----------------------------------------------------------------------
高階氏が受賞されたH氏賞について下記に転載しておく。

H氏賞
出典: フリー百科事典Wikipedia

H氏賞(エイチししょう)は日本現代詩人会が主催する、新人のすぐれた現代詩の詩人の詩集を広く社会に推奨することを目的とした文学賞。詩壇の芥川賞とも呼ばれる。

富岡多恵子、吉岡実、黒田喜夫、入沢康夫、白石かずこなど多くの逸材を輩出。協栄産業の創業者・平澤貞二郎(1904年1月5日 ~ 1991年8月20日)の基金により1950年(昭和25年)に創設。当初の呼称は「H賞」。プロレタリア詩人でもあった平澤が匿名を強く希望したため、賞の名はHirasawaの頭文字だけを冠する。

選考は毎春、前年1月1日から12月31日の間に発行された新人(会員であるか否かを問わない)の全詩集を対象に行なわれ、会員投票と選考委員の推薦により決定。受賞者には記念品と賞金50万円が贈られる。同様の性質と価値をもった賞に、日本詩人クラブ主催の「日本詩人クラブ新人賞」がある。2007年、「詩集発行3冊目まで」という条件が明示された。

授賞記録
授賞回次 授賞年度 受賞者名 受賞作品名または業蹟
第1回 昭和26年 殿内芳樹 断層
第2回 昭和27年 長島三芳 黒い果実
第3回 昭和28年 上林猷夫 都市幻想
第4回 昭和29年 桜井勝美 ボタンについて
第5回 昭和30年 黒田三郎 ひとりの女に
第6回 昭和31年 鳥見迅彦 けものみち
第7回 昭和32年 井上俊夫 野にかかる虹
第7回 昭和32年 金井直 飢渇
第8回 昭和33年 富岡多恵子 返礼
第9回 昭和34年 吉岡実 僧侶
第10回 昭和35年 黒田喜夫 不安と遊撃
第11回 昭和36年 石川逸子 狼・私たち
第12回 昭和37年 風山瑕生 大地の一隅
第13回 昭和38年 高良留美子 場所
第14回 昭和39年 石原吉郎 サンチョ・パンサの帰郷
第15回 昭和40年 沢村光博 火の分析
第16回 昭和41年 入沢康夫 季節についての試論
第17回 昭和42年 三木卓 東京午前三時
第18回 昭和43年 鈴木志郎康 罐製同棲又は陥穽への逃亡
第18回 昭和43年 村上昭夫 動物哀歌
第19回 昭和44年 石垣りん 表札など
第19回 昭和44年 犬塚堯 南極
第20回 昭和45年 知念栄喜 みやらび
第21回 昭和46年 白石かずこ 聖なる淫者の季節
第22回 昭和47年 粒来哲蔵 孤島記
第23回 昭和48年 一丸章 天鼓
第24回 昭和49年 郷原宏 カナンまで
第25回 昭和50年 清水哲男 水甕座の水
第26回 昭和51年 荒川洋治 水駅
第27回 昭和52年 小長谷清実 小航海26
第28回 昭和53年 大野新 家
第29回 昭和54年 松下育男 肴
第30回 昭和55年 一色真理 純粋病
第31回 昭和56年 小松弘愛 狂泉物語
第31回 昭和56年 ねじめ正一 ふ
第32回 昭和57年 青木はるみ 鯨のアタマが立っていた
第33回 昭和58年 井坂洋子 GIGI
第33回 昭和58年 高柳誠 卵宇宙水晶宮博物誌
第34回 昭和59年 水野るり子 ヘンゼルとグレーテルの島
第35回 昭和60年 崔華国 猫談義
第36回 昭和61年 鈴木ユリイカ Mobile・愛
第37回 昭和62年 佐々木安美 さるやんまだ
第37回 昭和62年 永塚幸司 梁塵
第38回 昭和63年 真下章 神サマの夜
第39回 平成元年 藤本直規 別れの準備
第40回 平成2年 高階杞一 キリンの洗濯
第41回 平成3年 杉谷昭人 人間の生活
第42回 平成4年 本多寿 果樹園
第43回 平成5年 以倉紘平 地球の水辺
第44回 平成6年 高塚かず子 生きる水
第45回 平成7年 岩佐なを 霊岸
第46回 平成8年 片岡直子 産後思春期症候群
第47回 平成9年 山田隆昭 うしろめた屋
第48回 平成10年 貞久秀紀 空気集め
第49回 平成11年 鍋島幹夫 七月の鏡
第50回 平成12年 龍秀美 TAIWAN
第51回 平成13年 森哲弥 幻想思考理科室
第52回 平成14年 松尾真由美 密約-オブリガート
第53回 平成15年 河津聖恵 アリア、この夜の裸体のために
第54回 平成16年 松岡政則 金田君の宝物
第55回 平成17年 山本純子 あまのがわ
第56回 平成18年 相沢正一郎 パルナッソスへの旅
第57回 平成19年 野木京子 ヒムル、割れた野原
第58回 平成20年 杉本真維子 袖口の動物
第59回 平成21年 中島悦子 マッチ売りの偽書

 

  
コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2019 Powered By FC2ブログ allrights reserved.