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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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高階杞一詩集『雲の映る道』より・・・・・・・・木村草弥
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──高階杞一の詩──(4)

高階杞一詩集『雲の映る道』より

         いっしょだよ・・・・・・・・・・高階杞一

               かわいがっていたのに
               ぼくが先に
               死んでしまう
               犬はぼくをさがして さがして
               でも
               いくらさがしても
               ぼくが見つからないので
               昼の光の中で
               キュイーンと悲しげな鳴き声をあげる
               その声が
               死んだぼくにも届く
               
               ぼくは犬を呼ぶ
               こっちだよ こっちへおいで 
               犬はその声に気づく
               ぴたっと動きを止めて
               耳を立て
               しっぽをちぎれんばかりに振って
               一目散にぼくのところへやってくる
               ずいぶん痩せたね
               何も食べてなかったの?
               キュイーンとうなずく
               ぼくは骨をあげる
               犬はぼくの骨をたべる

               おいしかった?
               クー
               これからずっといっしょだよ

         ”””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””
ネット上では水野るり子氏の下記のような評が載っている。

<哀しい詩で、とくに犬の好きな私なので身に染みました。骨に関しては、もうひとつ、とても忘れられないような「春と骨」という詩があるのですが、あえてここには入れませんでした。いつか読んでください。子どもさんをなくされた詩人の経験の深さが、短い詩の中から切なく伝わってきて、前の詩集『早く家へ帰りたい』をもう一度読み直したりしました。>

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続きに、もう一編引いておく。評は同じく水野るり子のものである。
          
           新世界・・・・・・・・・・高階杞一 

               リンゴの皮をむくように
               地球をてのひらに乗せ
               神さまは
               くるくるっとむいていく
               垂れ下がった皮には
               ビルや橋や木々があり
               そこに無数の人がぶらさがっている
               犬も羊も牛も
               みんな
               もうとっくに落ちていったのに
               人だけがまだ
               必死にしがみついている
               たった何万年かの薄っぺらな皮
               それをゴミ箱に捨て
               神さまは待つ
               むかれた後の大地から
               また新しいいのちが芽生え
               みどりの中から鳥が空へ飛び立つときを
               そこに僕はいないけど
               人は誰もいないけど

                
            ””””””””””””””””””””””””””””””””””””
<新世界っていうのは、人間のいない世界なんだと気がつきました。
まだ神さまのゴミ箱の底にうごめいている一人として。>
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この詩集は

発行日:2008年9月30日。 第11詩集。
発行所:澪標
収録編数:32編
作品制作年:2004年~2008年
表紙及び扉(銅版画):倉部今日子
定価:1500円(税別)

「作者あとがき」には、次のように書かれている。

 「子供の頃に歩いた雲の映る道からずいぶんと遠くまで来ました。
 振り返っては、悔いと羞恥ばかりがあふれてきます。もう一度あの時に戻って
  やり直せたら、と思うことが次々とよみがえってきます。
 本書に収めた作品は、どれもそんなどうしようもない悔いが源泉となっている
  ように思えます……」(あとがきより)

「びーぐる掲載」の「山田兼士の評」 ← があるので参照されたい。

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