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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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柴田トヨ詩集『くじけないで』・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
柴田トヨ

──新・読書ノート──

   柴田トヨ詩集『くじけないで』・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥 
             ・・・・・・・飛鳥新社刊2010/12/30第18刷・・・・・・・・・ 

この本は、著者が詩を書き始めた平成15年から平成22年2月までの作品を集めた処女詩集である。
産経新聞「朝の詩」に掲載された35点と下野新聞に掲載された3作品や未発表4作品の計42作品を収録した。

はじめに「序文」を引いておく。

   トヨさんのように生きて行こう 

この詩集は、もうすぐ百歳になろうとしている栃木県在住の柴田トヨさんの処女詩集です。
トヨさんの詩を待ちかねているのは、産経新聞「朝の詩」の読者の皆さんばかりでなく、じつは、
真っ先に選者であるわたくしなのです。たくさんの応募ハガキの中から、トヨさんの詩がひょっこり
顔を出すと、いい風に吹かれたみたいに、さわやかな気分になるのです。
ああ、わたくしも、「トヨさんのように生きて行こう」と、誰に会うわけでもないのに、毎朝
鏡に向かって、うすく口紅をさします。そう、トヨさんを真似て生きて行くわたくしに、会うために、です。
今もなお、みずみずしい感性をお持ちでいらっしゃるとは、なんと素晴らしいことでしょう。
専門の詩人の世界においても、それはきわめて稀なことです。
こうしてまとめられたトヨさんの詩集を、いつも座右に置いて、一日一日の心の糧をいただくことにいたします。
ありがとうございます。わたくしたち女性のすてきな先輩、男性たちのたのもしいお母様、柴田トヨさん。
     詩人・「朝の詩」選者    新川和江 

テレビなどでも採り上げられたので、ご存じの人も多いだろう。
彼女の詩から元気づけられたなどの百万単位の読者に支持されているベストセラーである。
以下、私の目に止まった、いくつかの詩を引く。  

       目を閉じて

      目を閉じると
      お下げ髪の私が
      元気に
      かけまわっている

      私を呼ぶ 母の声
      空を流れる 白い雲
      何処までも広い
      菜の花畑

      九十二歳の今
      目を閉じて見る
      ひとときの世界が
      とても 楽しい


        倅に Ⅰ 
      
      何か
      つれえことがあったら
      母ちゃんを 思い出せ
   
      誰かに
      あたっちゃあ だめだ
      あとで 自分が
      嫌になる

      ほら 見てみなせ
      窓辺に
      陽がさしてきたよ
      鳥が 啼いてるよ

      元気だせ 元気だせ
      鳥が 啼いてるよ
      聞こえるか 健一


        溶けてゆく

      ポットから
      注がれる
      お湯は
      やさしい
      言葉のようだ

      私の
      心の角砂糖は
      カップのなかで
      気持よく
      溶けてゆく


        返事

      風が 耳元で
      「もうそろそろ
      あの世に
      行きましょう」
      なんて 猫なで声で
      誘うのよ

      だから 私
      すぐに返事をしたの
      「あと少し
      こっちに居るわ
      やり残した
      事があるから」

      風は
      困った顔をして
      すーっと帰って行った


        先生に

      私を
      おばあちゃん と
      呼ばないで
      「今日は何曜日?」
      「9+9は幾つ?」
      そんな バカな質問も
      しないでほしい

      「柴田さん
      西条八十の詩は
      好きですか?
      小泉内閣を
      どう思います?」
      こんな質問なら
      うれしいわ


        自分に

      ぽたぽたと
      蛇口から落ちる涙は
      止まらない

      どんなに辛く
      悲しいことがあっても
      いつまで
      くよくよしていては
      だめ

      思いきり   
      蛇口をひねって
      一気に涙を
      流してしまうの

      さあ 新しいカップで
      コーヒーのみましょう


        くじけないで

      ねぇ 不幸だなんて
      溜息をつかないで

      陽射しやそよ風は
      えこひいきしない

      夢は
      平等に見られるのよ

      私 辛いことが
      あったけれど
      生きていてよかった

      あなたもくじけずに


        思い出 Ⅱ

      子どもと手をつないで
      あなたの帰りを
      待った駅
      大勢の人の中から
      あなたを見つけて
      手を振った
      三人で戻る小道に
      金木犀の甘いかおり
      何処かの家から流れる
      ラジオの歌

      あの駅あの小道は
      今でも元気で
      いるかしら


        幸来橋

      奉公先でいじめられ
      幸来橋のたもとで
      泣いている私を
      ふーちゃんが
      がんばろうね って
      笑いかけてくれた
      巴波川のせせらぎ
      青い空 白い雲
      幸せが来るという橋
      やさしい ぷーちゃん
      がんばれる気がした
      八十年前の私

抽出しだすとキリがない、いい詩ばかりだが、詳しくは本書を読んでもらいたい。

巻末に「朝はかならずやってくる」──私の軌跡 という10ページにわたる自伝的な文章があって、彼女の波乱に満ちた
人生が坦々と挿入された写真とともに語られる。
久しぶりに、いい本にめぐり合った。

この詩集は、介護の現場で働く私の知人にプレゼントしたものである。
      
      
      
      
   
コメント
コメント
おはようございます。
私もこの方の詩が好きです。

飾らない率直な気持ちが現れていて、
それでいて深い愛情が感じられます。
トヨさんの本が2月トップにあげられたのが嬉しいです。

今月もよろしくお願いします。
2011/02/01(火) 07:32:37 | URL | 阿修羅王 #QmhNi1cU [ 編集 ]
「トヨ」というのは私の母と同じ名前です
■阿修羅王さま。
お早うございます。
いつもなら私の方からご挨拶するのですが
何だか手間どりました。
はやばやとご挨拶有難うございます。
この人の名前「トヨ」というのは私の母と同じ名前です。
私の母は1900年生まれでした。93歳で亡くなりました。
この本はもっと前に読んだのですがプレゼントした人から借り戻して
記事をアップしました。
難解な現代詩よりは、ずっと心に沁みます。
遅くなりましたが今月も、よろしく。
では、また。
2011/02/01(火) 07:51:01 | URL | sohya #- [ 編集 ]
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