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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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ようやく太陽は生まれて/ひとすじ/洗朱の帯が解かれている・・・・・・・・・・・・・・・・鈴木漠
鈴木漠

──鈴木漠の詩──(2)

        洗朱・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鈴木漠

     沖の方には
     巨きな器があって
     絶えず時間を汲み上げている
     夜明けちかく
     波打際はめくれていて
     それは 婚姻の床の
     柔らかく冷たい敷布だ
     群れて飛んで
     鳥たちはそのまま
     愛憐の文様となるのだろう
     ここでは
     自然が 人間を
     人間の営みを模倣するのだ
     ひっそりとして
     死者と生者とが
     交わる気配もする
     天地に慈しみはない*
     と いわれるのだが
     あの 雲と波との重なるあたり
     ようやく太陽は生まれて
     ひとすじ
     洗朱(あらいしゅ)の帯が解かれている*
     曙
     蕩児のように
     光を背負って
     船が一艘帰ってくる

         *天地に・・・。老子「上篇」
          *洗朱。色名、黄色を帯びた薄い朱色。

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        銀・・・・・・・・・・・・・・・・・・鈴木漠

     年老いて
     樹木は眠っているが
     その枝々の固い芽も
     心なしか少しくふくらんで
     春隣(はるとなり)
     という優しい言葉
     万物ほほえむ季節は
     すぐ手の触れるところまで
     近づいたらしい


     明け方
     青年の夢の中に降り積んで
     淡雪
     更衣(きさらぎ)
     消えがての
     名残の銀箔世界
   
   鈴木漠詩集『色彩論』(1993年書肆季節社刊)から
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ようやく鈴木漠の詩集を手に入れたので披露しておく。
2009/04/29には、この詩集から「橙」の詩を引いたことがある。
難しい語句はないが、しみじみとした詩境が盛られているので鑑賞されたい。
二番目の詩には、今の季節がらの詩を引いておいた。
引き続き、いくつかの詩集から作品を引く予定である。
鈴木漠については ← Wikipediaに詳しい。

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