
浴(ゆあみ)して我が身となりぬ盆の月・・・・・・・・・・・小林一茶
今日は陰暦の7月15日、名月の丁度1ト月前の満月である。これを「盆の月」とお盆の行事に因んで、こう呼ぶ。
まだ暑さ盛りであり、盂蘭盆の灯明も点き初めたばかりの時期で、独特の雰囲気の月である。
今年は「月遅れ」盆もまだ始まっていないという暦の悪戯のような日取りである。
今朝、いつもの早朝の散歩に4時50分ごろに出たら、西の空に、山の端ちかくに、うすい靄がかかっていたので、うすら赤い大きな満月がかかっていた。
これこそ「盆の月」なのであった。
掲出の一茶の句は、盂蘭盆でさまざまな祖霊供養の行事に明け暮れた一日を終り、湯浴みして、ようやく、うつしみの我が身に帰った、という哀感のともなう佳い句である。
以下、「盆の月」の句を引いておく。
山里の盆の月夜の明るさよ・・・・・・・・高浜虚子
うす雲のただなかにして盆の月・・・・・・・・長谷川かな女
盆の月真夜中いつかくもりけり・・・・・・・・中村伸郎
盆の月ひかりを雲にわかちけり・・・・・・・・久保田万太郎
盆の月拝みて老妓座につきし・・・・・・・・高野素十
むささびのとびし吉野の盆の月・・・・・・・・高野素十
胡桃の葉透かし明るし盆の月・・・・・・・・山口青邨
盆の月虧けゆき母の忌も過ぎぬ・・・・・・・・五十嵐播水
盆の月遥けきことは子にも言はず・・・・・・・・松村蒼石
生れたるのみのふるさと盆の月・・・・・・・・大橋敦子
生くる二人に鬼灯ほどの盆の月・・・・・・・・村越化石
盆の月父亡く母に遠く住む・・・・・・・・筒本れい子
金泥を海に流せり盆の月・・・・・・・・沢木欣一
膝頭老いゆく盆の月明り・・・・・・・・戸川稲村
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