
才媛(さいゑん)になぞらへし木の実ぞ雨ふれば
むらさきしきぶの紫みだら・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
この歌は私の第二歌集『嘉木』(角川書店)に載せたもので秋の花のところにまとめてある。自選50首にも入れてあるので、Web上でもご覧いただける。
この木はクマツヅラ科の落葉低木で、高さは2~3メートル。同類にコムラサキなどの低くて、実も小粒のものがある。
園芸種には、この手のものが多い。

俳句にも、よく詠まれているので引いて終る。
冷たしや式部の名持つ実のむらさき・・・・・・・・・・・・長谷川かな女
うち綴り紫式部こぼれける・・・・・・・・・・・・後藤夜半
倖あれと友が掌に置く実むらさき・・・・・・・・・・・・石田あき子
胸焦がすほどの詩欲し実むらさき・・・・・・・・・・・・小沢克己
室の津の歌ひ女の哀実むらさき・・・・・・・・・・・・志摩知子
むらさきしきぶかざせば空とまぎれけり・・・・・・・・・・・・草間時彦
鑑真の寺の紫式部かな・・・・・・・・・・・・角川春樹
地の冷えの色に出でてや実紫・・・・・・・・・・・・林 翔
その奥に一系の墓所実むらさき・・・・・・・・・・・・北さとり
実むらさきいよいよものをいはず暮れ・・・・・・・・・・・・菊池一雄
眼(まなこ)よりこぼれて紫式部かな・・・・・・・・・・・・鈴木鷹夫
式部の実いくさは人を隔てたり・・・・・・・・・・・・東海すず
式部の実日あたれる珠あたらぬ珠・・・・・・・・・・・・田中千里
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