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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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高島征夫『近作句』2009/03/23編集・・・・・・・木村草弥
「のろ」誌
 
 高島征夫『近作句』2009/03/23編集・・・・・木村草弥

わかわかし沖の大波春の余波

佐保姫の裳裾きらめき沖に立つ

雪起こしとぞ咲けるなり春の海

豚かとも狼かとも春の雲

春雨もいまだし風の寒かりき

むめがかや昼寝の猫の耳立てて

シベリアの春は遠かり月の牙

朧月グラプトペタルムといふは何

不思議なる春の浅きにラベンダー咲く

旅芸人雨の椿をみつめをり

小鬼らが嬉しさうなり仏の座  (「獐のろ」誌2005年5月号所収)

ぬきんでて雨に山茱萸ひかるかな

啄める福良雀よ春まだし

2009・02・28

水仙の透きとほるなり海眼下  (「獐のろ」誌2005年4月号所収「百句」より)

不作なる年もありけり若布刈る

甘き香の花とも見えず枇杷の花  (「獐のろ」誌2005年1月号所収)

沈丁花書かねばならぬ結び文  (「獐のろ」誌2005年4月号「百句」初出句改案)

啓蟄や朝陽あふぎつ出でて来い

春潮や犬総身の武者震ひ  (2007年3月12日)

ヒヤシンス海の色なる少年愛

航跡の白さすぐ消ゆ春の海  (「獐のろ」誌1993年5月号所収)

ミモザとかアカシアとかフランス花祭

ときどきはポコと音たて春の水  (「獐のろ」誌2005年5月号所収)

仮想空間伝搬春の朧かな

治にあれば乱とぞ鳶春の潮

脳内の電位の波よ春の波

兄と共荷車押せる春あらし  (「獐のろ」誌1999年5月号所収)

ねはんにし浮世に近く波に乗る

人知れず咲きにし思ふ花杏

春は曙血圧計をしかと見る  (2009年3月14日「獐のろ」句会出句

吹かれつつぺダルは重し花辛夷  (「獐のろ」誌2003年5月号所収)

クレソンの花はたまさか野に遊ぶ

點滴の針の冷たき春彼岸  (「獐のろ」誌1993年4月号所収)

老いて朦朧ひらききったるチューリップ

酔ふて見る夢はコビトノチューリップ
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高島征夫の句─(2) Doblogから転載

aaoookura0オクラ花

  おくら咲くひと日の色を誰がために・・・・・・・・・・・高島征夫

先のものと一体として引いておく。

「おくら」は、この頃では、よく食べられるようになった野菜である。
あの独特のネバネバが体にいいと言われている。「花」も、うす黄色の清楚なものである。花は一日花と言われ、それを「誰(た)がために」と捉えたところが優れている。
以下、最近の掲載句からの抄出である。

  ■木瓜の実の熱き日ざしをしかと抱き

  ■法師蝉なきやみ猫のあくびかな

  ■源平はいまも戦のアブチロン

  ■返り咲くわが夾竹桃を禊かな

  ■処暑の雨はや還りなむ祈り新た

  ■どこか遠くへ昼寝も覚めず古電車

  ■サイレンの遠ざかりゆき夾竹桃

  ■裸子の歓声沖へニゲラ咲く

  ■海へ一線犬死なれどカンナさかる

  ■秋浜の光飛ぶもの想い出の

  ■明けぬればほつとためいき野分かな

  ■かくすべしちりめんじわのさるすべり

  ■みそなはす仏もおはしねこじやらし

  ■雨後の天などみてありし青くわりん

  ■青柿のひそと葉陰に実りをる

  ■炎天のブラックベリー飢餓の国

  ■紫御殿二度とかへらぬ夏休み

  ■かくれんぼ鬼も隠れて蛍草

  ■どこか遠くへ古自転車と晩夏光

  ■陸封のドルフィン飛びをり日の盛り

  ■酔ふことも遠き沖なり酔芙蓉

  ■落蝉と思ひし俄に翔びたちぬ

  ■生きてゐる化石ここにも木賊かな

  ■片陰に常盤露草しばし憩ふ

手に入る資料から、とりあえず数十句を引き出してみた。もとよりアトランダムなものである。
高島征夫氏は、サイトを見ればわかる通り、鎌倉の「海辺」に住んでおられる。
したがって、「海」を詠んだ句が多い。毎日の散歩は海辺であるという。
句会などでは喜んで東京に出て来られるらしいが、実は「猥雑な」都会が好きではない、とおっしゃる。
東京都心の生まれでありながら、一時、八王子の「高尾」に住んでおられたらしい。
そんなところから「山棲み」「海棲み」が身についたのかも知れない。
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高島征夫の句─(1) Doblogから転載

kuroageha-omoteクロアゲハ雌

  黒揚羽凶々(まがまが)しくも喉鳴らす・・・・・・・・・・高島征夫

この句が、いつの制作になるものか判らない。
この句は「前衛句」を思わせるような鋭い作品である。「凶々しくも」「喉鳴らす」というフレーズが秀逸である。
『東京詩歌紀行』(日本詩歌紀行3・北溟社2006年刊)の中の「私の東京ポエジー」というエッセイと一緒の欄に載っているものである。
先日来、征夫氏の父君・茂氏のことは、ここでも二回とりあげたが、その交友のきっかけとなったのが高島征夫氏なので、何とか記事にしてみたいと思っていた。
征夫氏には「風胡山房」というサイトがあり、ペンネームを「結城音彦」と言われる。
前にも書いたと思うが高島茂が創刊し、その死後、征夫氏が継承した俳句結社「獐」(noRo)の主宰をされる。
俳句誌その他に精力的に作品を発表しておられるようだが、句集は、まだお出しになっていないと言い、先に書いたサイトにも、まとまった作品は見られないようになっているので、とりあえず「のろ」誌に載る最近の句などを紹介しておきたい。

  ■ゆふがほのねぢれほとびてひらくかな

  ■厭離(おんり)とも思へどはしき浜万年青(おもと)

  ■空蝉のこゑは聞こゆる遠き沖

  ■ほほづゑのあとほんのりと夏終はる

  ■抜歯せし跡のへこみや秋の潮

  ■珊瑚樹の実はむらぎもに沖遠し

  ■南溟に命日もなく父逝くは

  ■鳥影の涼しく過ぎし父ならむ

  ■南溟に嵐あるかや秋の波

  ■と見かう見ちがふ貌して秋怒涛

  ■柘榴打ちリリーマルレーン唄ふべし

  ■ポーチュラカ暑き秋日をものとせず

  ■デュランタの垂るる壁より秋日さし

  ■草原の如く海辺の相撲草

  ■白露なる日の美しき沖となり

  ■無愛想なメグレ警部と秋の雲

  ■沖かけて旅の心も青みかん

  ■信号の赤あざやかに秋の雨

  ■八月の埴輪は踊るおらびをる

  ■ハイビスカス真つ赤に朝は秋めくに

  ■おしろいのアンドロギュヌスへだつなし

  ■父逝けるしんかんとして百日紅
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冒頭に挙げた『東京詩歌紀行』には、私の歌3首も載っている。

うすべにのゆく手に咲ける夕ざくら父なる我の淡きものがたり 

振り返ることのむなしさ腰下ろす石の冷えより冬に入りゆく

ペン胼胝(たこ)の指を擦ればそのさきに言葉乞食が坐つてゐるよ
・・・・・・木村草弥


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