
さみだるる心に電車をやりすごす
弾まざる身のアレキシシミア・・・・・・・・・・・・木村草弥
この歌は最新刊の私の第五歌集『昭和』(角川書店)に載るものである。
アレキシシミアなんて難しい単語を持ち出して恐縮だが、一般的には「アレキシサイミア」のように英語読みで言われることが多い。
私の場合は、これをラテン語式に発音してみたものである。
先ず、Wikipediaの項目を引いておく。
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アレキシサイミア
アレキシサイミア (alexithymia) は P. E. シフネオスらによって1970年代に提唱された概念で、ギリシャ語の「a:非, lexis:言葉, thymos:感情」から作られた造語である。
自らの感情を自覚・認知したり表現することが不得意で、空想力・想像力に欠ける傾向のことをさす。
日本語では「失感情症」などと訳されることがあるが、感情鈍麻や無感動のように「感情の変化を失った状態」という印象をあたえる可能性がありまぎらわしい。
あくまで「感情を認知することの障害」である。
心身症とアレキシサイミアの関連は有名である。心身症とは、ストレス性の潰瘍、高血圧など、心因の影響が大きい身体疾患のことである。アレキシサイミアの傾向を持つ人は自らの感情を認識することが苦手なため、身体の症状として現れてしまうという機序が想定されている。心身症以外にも、身体表現性障害、アルコール依存症、摂食障害、うつ病などの精神疾患にも、一部でアレキシサイミアが関係していると言われている。
脳科学的には、感情を認知することに関与する右半球と言語に関与する左半球の連絡の機能的障害であるとする仮説や、辺縁系と皮質の橋渡しをする帯状回などの機能低下などの仮説が提出されている。
自分の感情を認識して言語報告することが出来づらいために、セラピストとの豊かなラポールを持ちづらいことも指摘されている。
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この歌の場面は「さみだるる」であるから、今の「さみだれ」の季節──梅雨の頃である。
私は子供の頃は虚弱児で、成人してからも季節の変わり目、特に梅雨の頃には胃腸障害を起こして、食事が摂れないことが毎年あった。
還暦を迎える頃から体質が変わって、そういうことが無くなり、亡妻に「あなたの体質が変わったね」などと言われるようになった。
掲出した私の歌は、そういう梅雨どきの、かつての私の心身症状を反映したものと理解してもらいたい。
症状的には、Wikipediaに書いてようなことと判断されたい。
この歌も、もう随分前に作ったもので、こういう観念的な歌は旧師・川口美根子さんは嫌われたので、選歌からもどしどし省かれた。
今度の歌集『昭和』を編集するに当たっては、こういう「創作ノート」に残る歌も随分採り上げた。
私にとっては、当時の私の心身症状を反映したものとして、極めて愛着のある作品である。
二番目の写真はDNAの螺旋構造の「模式図」である。「心身症状」を表すものとして適当かと思う。
一番目の写真は、歌の中に「電車」が登場するので「阪堺電車」の画像を出しておく。
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