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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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草弥の詩作品「八条宮智仁親王添削歌」・・・・・・・・・・木村草弥
dsc17173b桂離宮 松琴亭から
↑ 松琴亭から古書院と月波楼を望む
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   草弥の詩作品<草の領域>
      poetic, or not poetic,
      that is question. me free !
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──<後水尾院>シリーズ──(21)

     八条宮智仁親王添削歌・・・・・・・・・・木村草弥

後水尾院が若い頃に、父君の弟つまり叔父の八条宮智仁親王から「古今伝授」を受けられたことが記録に残っている。
和歌を作るに際しても自作の歌の「添削」をお受けになっている。記録から、その一端を引いておく。
上が院の元歌。下段が添削済みの完成した、「御集」に載る御歌である。カッコ内は御集の歌番号。

   ■ふるほどは庭にかすみし春雨をはるる軒端の雫にぞしる(一 一七四)

    降るとなく庭に霞める春雨も軒端をつたふ雫にぞ知る

   ■みる度にみし色香ともおもほえず代々にふりせぬ春の花哉(一 一七六)

    見る度に見しを忘るる色香にて代々にふりせぬ春の花哉

   ■郭公まつにいく夜をかさねても聞にかひある初音ならずや(一 一七九)

    郭公待つ夜をあまた重ねても聞くにかひある初音ならずや

   ■タ月夜ふり出しより在明のかげまでもらぬ五月雨の空(一 一八〇)

    タ月夜ふり出(いで)しままに在明のかげまでもらぬ五月雨の空

   ■此里はくもりしはてず一むらの雲もとをちの夕立の空( 一一八四)

    此里にめぐりはやらで一むらの雲もとをちの夕立の空

   ■たちぬるるしづくもあかず片岡や秋まつほどの森の涼しさ(一 一八七)

    立ち濡るるしづくもあかぬ片岡は秋待ちあへず森の涼しさ

   ■四方にみな人はこゑせで更るよの月ぞ心もさらにすみゆく( 一 一九四)

    四方にみな人は声せで更る夜ぞ月も心もさらに澄みゆく

   ■山川やもみぢ葉ながらとぢはてし氷もかくる水のしら波(一ニ〇一)

    山川やもみぢ葉ながらとぢはてし氷にかはる風の白波

   ■越路にはただ時の間に日数ふるみやこの雪のふかさをやみむ(一二〇二)

    日数ふる都の雪の深さをや時の間に見る越路なるらん

   ■をのが妻まつはつらくも大よどの恨わびてや千鳥鳴覧(一二〇四)

    おのが妻待つはつらしと大淀の恨わびてや千鳥鳴覧

   ■夕波に立行千鳥風をいたみ思はぬかたに浦つたふらん(一二〇五)

    友千鳥立ち行く須磨の風をいたみ思はぬかたに浦づたふらん

   ■笛の音もかぐらの庭のおもしろくさゆる霜夜にすみのぽる覧(一二〇六)

    笛の音も神楽の庭のおもしろく冴ゆる霜夜に澄みのぽりぬる

   ■いかになを人は見るらん世のうきにいひまぎらはす袖の涙も(一二〇八)

    よそめにはいかに見るらん世の憂きに言ひ紛らはす袖の涙も

   ■ふけぬとや猶や待みん宵のまはさすがえさらぬさはりもぞある(一二一二)

    更けぬとや猶ぞ待みん宵のまはさすがえさらぬ障りありやと

   ■此ままに又もあはずは中々にありし一夜の夢ぞくやしき(一二一五)

    又も逢はむ頼みなければ中々にありし一夜の夢ぞくやしき

   ■もらさじなそれにつけてもつらからば中々ふかき恨もぞそふ(一二一七)

    もらさじなそれにつけてもつらからば深からん中の恨もぞそふ 

こうして見て来ると、八条宮の添削が、極めて的確であるのが判る。 しかも添削に当たっては、なるべく後水尾院の元歌の語句を残して巧く直してある。
八条宮の添削のうち、記録に残っているのは六十首ほどである。
因みに、この八条宮こそ今の桂離宮──その頃は「桂山荘」と称された建物と庭園を造られた人であり、後水尾院の父君・後陽成帝が譲位を望まれた、その人である。
幕府は後水尾院に譲位を迫る。 そんな因縁のまつわるお二人であった。

院が幕府の紫衣事件などに憤慨して娘の明正天皇に、幕府の承認もなく突然「譲位」された同じ年──寛永六年(一六二九)八条宮智仁親王歿。 このとき後水尾院三十四歳である。



       
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