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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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むらさきの声を山辺に夏燕・・・・・・・・・・・・・・・飯田蛇笏
swallow5ツバメ

  むらさきの声を山辺に夏燕・・・・・・・・・・・・飯田蛇笏

    ■陀羅尼助軒端の燕孵りけり・・・・・・・・・・水原秋桜子

燕は春に南方から飛来すると、四月下旬から七月下旬にかけて産卵する。同じ雌雄が二回産卵すると書かれている本もあるが、個体が似ているので、本当かどうかは確認できない。
17、8日で孵化し、その後20日ほどで巣立ちする。
都会でも子育てをするから、よく見かけることがあろう。燕の巣は田んぼの泥で出来ている。写真①は親鳥が田に下りて口に泥を銜えたもの。

それを壁などに泥をくっつけてゆく。写真②以下のように台になるようなものがあると、うまく利用する。巣は泥と藁などを組み合わせて作る。
minatubame11燕の巣

minatubame14燕の子

燕は弱い鳥で、カラスなどの敵から逃れるために、燕の巣は人家に作ることが多い。人間が頻繁に出入りする入り口辺りに巣を作る。一番いいのは人家の戸を入った中がよいのだが、この頃では閉鎖的な構造の家が多いので、外に作る。
このように昔から燕は人間の身近にいたので、ツバメが巣を作る家は縁起がいい、と大切にされたものである。ただ巣の下におびただしい糞をするので、その糞の始末が大変である。
写真のように一つの巣に4、5羽の子が生まれる。巣は狭いので、子どうしは押しくらまんじゅうである。弾かれて下に落ちることも多いが、人間が丁寧に巣に戻してやったりする。子育ての様子は微笑ましいものである。お寺の庫裏などは広い土間があって開放的なので、いくつもの巣が連なっている光景が見られる。
minatubame15燕の子

餌は空中を飛びながら小さい虫や昆虫を捕食する。
私の家でも昔の古い家では玄関の戸を入った土間の天井の梁に巣をかけていたが、そこにも天敵がいるもので、私の家の「主」ぬしとして住み着いている蛇に巣立ち直前の大きくなった頃に夜明けに襲われて飲み込まれ、全滅するようなことがあった。
今の家は洋風に建て替えたので家の中には巣は作れず、玄関脇の壁に巣をかけていたが、夜明けの、まだ暗いうちにカラスに襲われて食われてしまい、以後、私の家には巣をしなくなった。
巣立ちした幼鳥は親から餌をもらった後、自分で餌を捕れるようになったら幼鳥どうしで暮らし、秋九月頃になると、大きな川の河川敷の「葭原」などに数千、数万羽の単位で集結し、餌を十分に食べて体力を蓄えたあとで、集団で南方に渡ってゆく。関西では、淀川の河川敷などに見られる。
日本に渡ってくるツバメにもいくつか種類がある。写真②③④に載せたように巣の上部があいた巣を作るツバメばかりではなく、天井に張り付いた巣で巣穴が横についているのを作る種類もある。このツバメの胸の色は淡い土色である。京都大学構内などには、この種類のツバメが見られた。
鳴声も違う。
俳句では単に「燕」というと春の季語で、「夏燕」「燕の子」が夏の季語である。
以下、句を引いておく。

 夏つばめ遠き没り日を見つつゐる・・・・・・・・山口誓子

 暮れて明るき空かぎりなし夏燕・・・・・・・・重田暮笛

 かはらざるものに川あり夏つばめ・・・・・・・・上村占魚

 木曽川の光る瀬を打つ夏燕・・・・・・・・佐藤泳人

 夏つばめ一閃最上は男川・・・・・・・・武田玄女

 町は伸び駅は小さし夏燕・・・・・・・・沢木てい

 夏つばめ嬬恋村の瀬にひかる・・・・・・・・蒲田陵鴉

 十ほどの鎌かけし壁夏つばめ・・・・・・・・辻三枝子

 夏燕夕べ目の玉かゆしかゆし・・・・・・・・小川千賀

 子燕のさざめき誰も聞き流し・・・・・・・・中村汀女

 燕の子眠し食いたし雷起る・・・・・・・・西東三鬼

 天窓の朝明けを知るつばめの子・・・・・・・・細見綾子

 燕の子ゐると思へば昼しづか・・・・・・・・山口青邨

 白樺の雨につばめの巣が匂ふ・・・・・・・・飯田龍太

 花の如き口をあけたり燕の子・・・・・・・・青木月斗

掲出した二句目の秋桜子の句については、多少の説明が必要だろう。
「陀羅尼助」というのは、せんぶりなどを主成分にした漢方の胃薬で「丸(がん)薬」になっている場合が多い。奈良や富山から「置き薬屋」が持ってきたものであり、訪問してくる時期は、いつも初夏になるのが多かったので、こういう句の描写になっている。



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