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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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福岡伸一『動的平衡2』・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
福岡③

──新・読書ノート──

     福岡伸一『動的平衡2』・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
             ・・・・・・・木楽舎刊2011/12/07初版2012/01/30第3刷・・・・・・・

福岡伸一の本『生命と記憶のパラドクス』『動的平衡』と採り上げてきたが、読み物として面白いのは、ここに採り上げる『動的平衡2』である。
これは、いくつかのところに連載したものに加筆、修正を加えて再構成したもので、文章の繋がりも見事に仕上がっている。
初出となった紙誌は次の通りである。
  ・日本経済新聞連載「動的な美 十選」(美は、動的な平衡に宿る──まえがきにかえて)
  ・ソトコト連載「等身大の科学へ」「生命浮遊」
  ・SIGNATURE連載「科学者のつむじ」
  ・集英社クオータリー「kotoba」創刊号
  ・モンキービジネス第12号 (生命よ、自由であれ──あとがきにかえて)

彼の別の著作に『フェルメール 光の王国』というのがあるが、読む前には、ここになぜフェルメールが出てくるのか分からなかった。
この本の「まえがき」の中にこんな描写がある。

<自作の顕微鏡で微生物、血球、精子を発見して生物学史にその名をとどめるアントニ・ファン・レーウェンフックは1632年10月、オランダのデルフトで生まれた。
 画家フェルメールも同じ年、同じ場所で生まれた。二人の交流を示す文献的な記録はない。
 しかし、二人はある意味を共有していたのではないだろうか。光の科学。光がどのように見え、その粒たちをいかに表現すべきか。
 レーウェンフックのごく初期の観察記録にはこう記されている。自分は絵が上手に描けない。
 だから顕微鏡のスケッチは熟達の画家に頼んで代わりに描いてもらったと。
 それはいったい誰だろう。そして、それはどんな絵だったのだろう。 (注・本には図版2点が載る)
 オリジナル手稿を閲覧した私は息を呑んだ。素描はあまりにも鮮やかであり、あまりにもつややかだった。
 ここに意外な事実がある。レーウェンフックの観察スケッチは1676年になると、急にそのタッチに変化が生じているのだ。
 絵は細い線だけで描かれるようになり初期のスケッチに見られたような動的な勢いは完全に消え去ってしまう。
 私は、ある偶然の一致を指摘しておきたい。フェルメールは1675年1月15日、43歳の若さでこの世を去った。
 私が、フェルメールに魅せられるのは、彼こそが、動的な平衡の上に美が宿ることを示し続けてくれるからである。
 小さな虫の爪の先の粒として、それは一瞬、輝かしい光を放つ。>

エッセイストとしての文章も巧い人である。

全文を引くことが出来ないのだから、この本を読み解くために「目次」を掲げておくので、全体を俯瞰してもらいたい。
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「目次」

美は、動旳な平衡に宿る──まえがきにかえて

第1章 「自由であれ」という命令
──遺伝子は生命の楽譜にすぎない

生命体は遺伝子の乗り物か
働きアリにみる「パレー卜の法則」
ホモ・ル—デンスかロボッ卜機械か
サブシステムは自然選択の対象にならない
生命の律動こそ音楽の起源
演奏家それぞれの「変奏曲」
生命を動かしている遺伝子以外の何か
遺伝子は音楽における楽譜
卵環境は子孫に受け継がれる

第2章 なぜ、多様性が必要か
──「分際」を知ることが長持ちの秘訣

子孫を残せないソメイヨシノ
植物は不死である
進化で重要なのは「負ける」こと
センス・オブ・ワンダーを追いかけて
なぜ、蝶は頑ななまでに食性を守るか
動旳だからこそ、恒常性が保たれる
多様性が動的平衡の強靭さを支えている

第3章 植物が動物になった日
──動物の必須アミノ酸は何を意味しているか

なぜ食べ続けなければならないか
なぜ、動物が誕生したか
グルタミン酸においしさを感じる理由
「うま味」を探り当てた曰本人
地球を支配しているのは卜ウモロコシ
アミノ酸の桶の理論
運動、老化にはBCAAが効果旳
窒素固定のプロセスは細菌が担っていた
Cの時代からNの時代へ

第4章 時問を止めて何が見えるか
──世界のあらゆる要素は繁がりあっている

昆虫少年の夢
曰本最大の甲虫ヤンバルテナガコガネ
ファーブルの言明
人間は時間を止めようとする
この世界に因果関係は存在しない

第5章 バイオテクノロジーの恩人
──大腸菌の驚くベき遺伝子交換能力

タンパク質研究の最大の困難
大腸菌が邇伝子組み換え技術を可能に
大腸菌とヒ卜の共生
風土に合ったものを食べる知恵
大腸菌の驚くべきパワー
細菌たちのリベンジ
遺伝情報を水平伝達するプラスミッド

第6章 生命は宇宙からやって来たか
──パンスペルミア説の根拠

地球外生命体の証し
DNAが先かタンパク質が先か
チェック博士のRNAワールド
「生命誕生までに八億年」はあまりにも短い
パンスペルミア説

第7章 ヒトフェロモンを探して
──異性を惹き付ける物質とその感知器官

ファーブルが探した誘引物質
ブーテナン卜とシェーン八イマー
なぜ「生理は伝染る」か
ヒ卜にもあるフェロモン感知器官
フェロモン香水を作った人たち

第8章  遺伝は本当に遺伝子の仕業か?
──エピジェネティックスが開く遺伝子の新時代

トリプレッ卜暗号とは何か
なぜ、生命の起源は単一だと言えるか
生物は不変ではなく、動的なものだ
ダーウィンの予言
遺伝子以外によっても遺伝現象は生じる
ヒ卜とチンパンジーの違い
遺伝の鍵を握っているマターナルRNA

第9章 木を見て森を見ず
──私たちは錯覚に陥っていないか

花粉症は、薬では治らない
生命は水でエン卜ロピーを捨てている
達成できそうにないCO2削減目標
排出権取引の胡乱さ
相関性と因果性は異なる
DNAの傷にどんな意味があるか
生命現象から長持ちするシステムを学ぶ
常に分解していることの大切さ
細胞は相互補完的に役割を決める

生命よ、自由であれ——あとがきにかえて


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