
ひとつ枯れかくて多くの蓮枯るる・・・・・・・・・・・・・・・秋元不死男
普通、「ハス」は蓮根を採るための農作物だが、この頃では「生け花」用に「花蓮」が栽培されている。
私の方の近所でも花卉栽培農家があちこちに「蓮田」を作っている。
もっとも忙しい時期は、月遅れ盆の前10日間くらいである。お盆の行事に蓮の花を仏前に供えるからである。
「枯れ蓮」というのが冬の季語で、葉や蓮の実が残骸のように転がっているのが「あわれ」を催すというので、古くからの季語になっている。
掲出の秋元不死男の句は、見ようによっては「暗喩」の句とも読み取れよう。
以下、枯れ蓮を詠んだ句を引いておく。
枯蓮の銅(あかがね)の如立てりけり・・・・・・・・高浜虚子
蓮の骨日日夜夜に減りにけり・・・・・・・・青木月斗
蓮枯れて水に立つたる矢の如し・・・・・・・・水原秋桜子
湖の枯蓮風に賑かに・・・・・・・・高野素十
枯蓮をうつす水さへなかりけり・・・・・・・・安住敦
枯蓮のうごく時きてみなうごく・・・・・・・・西東三鬼
枯蓮に昼の月あり浄瑠璃寺・・・・・・・・松尾いはほ
白くさむく枯蓮の裾透きにけり・・・・・・・・草間時彦
枯蓮の敵味方んく吹かれゐる・・・・・・・・清水昇子
枯蓮(はちす)考へてゐて日が動く・・・・・・・・岸田稚魚
枯蓮の折れたる影は折れてをる・・・・・・・・富安風生
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