
石楠花(しゃくなげ)に渓流音をなせりけり・・・・・・・・・・・・・・・清崎敏郎
石楠花シャクナゲはツツジ科の常緑低木だが、別にシャクナゲ科を立てて分類する学者も居る。
高山性の花木で、日本では亜高山帯と周辺に自生する。
はじめに書いておくと「石楠花」の字は漢名を誤用したもので、中国でいう石楠花は全く別の植物である。
シャクナゲは葉が厚く、革質で光沢があり、花とあいまって美しい。淡紅色を主として白花や黄花もあり、日本列島にはおおよそ10種類あるという。
シャクナゲはヒマラヤ地方、中国、北アメリカ、ヨーロッパにも分布するが、ヨーロッパでは早くから品種改良に取り組み、日本へも西洋シャクナゲの名で来ている。
一般家庭のシャクナゲはほとんどが西洋シャクナゲだという。


家庭で鑑賞するシャクナゲもよいが、写真②③で見るように広大なシャクナゲ園や山の自然環境の中で群生するシャクナゲを見るのは、また格別の風情があるものである。
今では全国各地に競って「石楠花園」が開設されている。
以下、歳時記に載るシャクナゲの句を引いて終わる。
石楠花に手を触れしめず霧通ふ・・・・・・・・臼田亜浪
石楠花や山深く来て雲の雨・・・・・・・・吉田冬葉
白石楠花夜になり夜の白さなる・・・・・・・・加藤知世子
しやくなげは天台ぼたん雲に咲く・・・・・・・・百合山羽公
石楠花の摘花浮かべし庫裏の水・・・・・・・・右城暮石
石楠花の花一巒気(らんき)一巒気・・・・・・・・後藤比奈夫
石楠花の一花残りて籠堂・・・・・・・・村越化石
石楠花や鳥語瞭(あきら)か人語密(ひそ)か・・・・・・・・滝春一
石楠花や水櫛あてて髪しなふ・・・・・・・・野沢節子
石楠花の咲く寂けさに女人講・・・・・・・・角川春樹
石楠花や那智大神に子は抱かれ・・・・・・・・斎藤夏風
石楠花にかくれ二の滝三の滝・・・・・・・・宮下翠舟
薬湯をたてて石楠花ざかりかな・・・・・・・・吉本伊智朗
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「シャクナゲ」については、このWikipediaに詳しい。参照されたし。
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