

↑ 影絵芝居 ワヤン・クリッの一場面
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草弥の詩作品<草の領域>
poetic, or not poetic,
that is question. me free !
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──草弥の詩作品──(76)
原初(もとつはじめ)の美・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
バリ島
バリ──朝の露、昼の陽、
やがて来る濡れたような完璧な闇
バリ島に舞い下りた神々は贅沢だ
寺院は花と贈り物に満ちる
信仰ふかい人々と
蓮の花のゆっくりした開花と落花のテンポ
湧く水は渇きを知らず
大地は全てをつつんでふかぶかと呼吸する
花々は虫を遊ばせ
自らの肢体の美しさを見せつけて微笑(ほほえ)む
バリ──聖と俗との間を行き来する
原初(もとつはじめ)の美意識の島、花々満ちて
うねうねと棚田がつづく風景の
行きつく先はウブドゥの村
パンダワ王子コワラ王子の争いの
やるせない物語の影絵芝居(ワヤン・クリッ)
ガムランの楽に合せて操り師(ダラン)は
人形つかい語る叙事詩(マハー・バーラタ)を
人形は水牛の皮と骨でもって
精緻につくる心の影なのだ
仏伝図 ─ボロブドール─
摩耶夫人は不思議な夢を語った、
アショカの園の昼下りのこと
釈尊の誕生を予言するバラモン僧に
感謝の布施をする王と摩耶
苦行で痩せ細った太子に
乳粥をさしあげる娘スジャータが居た
この名に因んで「めいらく」という乳製品会社が
「スジャータ」コーヒー・フレッシュを売り出した
怒り、憂いは醜い顔に彫られた
「悪い顔」(ヴィルパ)の文字を添えて
禅定とは気を集中し思惟をこらし
真理を追求(ついぐ)する姿と言う
釈尊の初転法輪の力によって
バラモン僧は比丘(びく)になった
百二十一面目のレリーフの「仏伝図」
涅槃まで描かれずここにて終る
第一円壇ま東に向くストゥーパは
幸運を招くとみな像に手を伸ばす
たたなわる巨(おお)きな石塊のシルエット
平原に赤い夕陽が没してゆく
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詩誌「詩と思想」2013年8月号に、この私の新作が掲載された。
本日付けで発売となったので、ここに載せておく。
原文はタテ書きである。
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