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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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『岩山望景詩』・・・・・・・・・・・・・・・・山田兼士
発見

──山田兼士の詩と詩論──(6)

      『岩山望景詩』・・・・・・・・・・・・・・・・山田兼士

山田兼士さんが一年に一回発行されている「別冊・詩の発見」第12号2013/03/22をお送りいただいた。
この定期刊行物は、先生がお勤めの「大阪芸術大学文芸学部現代詩研究室」の編集になっている。学生たちの作品や評論なども掲載されている。
当初は半年刊で発足しているが、2008年からは年刊になっているようである。
プロ詩人による詩作品27篇と、山田兼士による「詩集カタログ2012」という初出は「ツイッター」による短評に加筆したもの。大阪芸大生にる新刊詩集レビュー。
大学生による「詩作品」9篇など、から成っている。
では、ここで、本題の山田作品を紹介する。

     岩山望景詩・・・・・・・・・・山田兼士

                   折々に伊吹を見てや冬籠 (芭蕉)

   れまがった坂道を画家のアトリエから十分ほど登ると
   っぱな岩山が遠望できたエクス一九八四年八月十九日
   おしい姿を背景に子供たちが遊んでいる そのなかの
   はつそうな女の子に山を指差して名前をたずねてみた
   こり笑って「サントヴィクトワール」セザンヌの山だ

   ぶきおろしにハンドルを取られながら自転車を必死に
   っとばしていた高校への道 一九六九年十二月十九日
   になるのは朝整えてきた天パの長髮 左前方からの風
   うけ髮はぐしャぐしゃ 田圃の中の一本道をひた走る
   ぎから分けたことを後悔しながら走るも突風に煽られ
   一旦停車 北西の方角に遠望したのは雪を頂いた岩山
   まとたけるをも打ち負かした神の山だ はるか遠方に

   ゆこもりでもしたいと願いながら岩山を遠望した一瞬
   ったり風に吹かれながら遠く岩山を見ていた夏の一瞬
   の二つの稜線が一つになるのにながい時間がかかった
   う見ることのないだろう異郷の山とこれからも折り折
   見るだろう故郷の山に見守られ僕は還暦にダイブする。

ご覧になって判るように、この詩は、題名の次に小さく載っている芭蕉の俳句の五七五の「頭」の「音おん」を、
各行の「頭」に置く「頭韻」という形式が採られている。
こういうのを古来「冠付け」(かんむりづけ)と称して遊ばれてきた。

例えば、有名な在原業平の歌

   きつばた つつなれにし ましあれば るばるきつる びをしぞおもふ

     (かきつばた 着つつ慣れにし 妻しあれば はるばる来つる 旅をしぞ思ふ)

の歌は、五七五七七の各々の頭に「かきつばた」の「音おん」を配置したものである。

日本語の特性として、西欧詩のような「脚韻」は、いろいろ試みられたけれど、効果が薄いので、古来から今に伝わるのは「頭韻」なのである。
私が短歌結社「未来」に居たとき、編集長の岡井隆の弟子たちも「遊び心」旺盛な連中だから、私も編集部から誘われて「沓冠」(くつかぶり)などに参加した。
私の当該作品については ← ここを参照されたい。
「沓冠」とは、歌の頭と終わりに、任意のフレーズを配置して一連の歌を作る、という趣向である。
頭と終わりが拘束されるので、結構むつかしいが、やってみると面白いものである。

さて、話を山田作品に戻す。行頭の「太字」は、山田作品のものである。

初めの五行は、有名なセザンヌの絵・サント・ヴィクトワール山にまつわる話である。
私にも曾遊の地である。
次の七行は、山田先生の故郷・岐阜県大垣での高校生のときの思い出が詩句になっている。
そして最後の五行は、それらを統合しながら、先生が「還暦」の齢となられたことを詩句として、「今」と繋がるのである。

現代詩作家というのは、さまざまであって、こういう「伝統」と一切「切れる」ことを目指す人が多い。
山田先生は、そうではなく、伝統の形式も活用される姿勢であり、「短歌」をやっている私などは、好ましいと歓迎である。
原文は、もちろん「タテ書き」であるから行末がキチンと字数が揃うのだが、ヨコ書きにすると、どうも不揃いになるがお許しいただきたい。
なお詩の本文はスキャナで取り込んだが、どうしても「文字化け」が生じる。子細に修正したが、まだあれば指摘いただきたい。すぐに直します。


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