
↑ パンフレットに載る木村秋則2012作のリンゴの本物の写真。右下の虫のかじった跡はカバーの演出。
──映画鑑賞──
映画『奇跡のリンゴ』鑑賞・・・・・・・・・・・・・木村草弥
阿部サダヲ、菅野美穂が夫婦役を演じ、不可能と言われたりんごの無農薬栽培に取り組み続けた木村秋則さんの実話を映画化したドラマ。
日本最大のりんご畑が広がる青森県中津軽郡で生まれ育った秋則は、りんご農家の娘・美栄子とお見合い結婚して婿入りし、りんご作りに携わるようになる。
しかし、りんごの生産に不可欠な農薬が美栄子の体を蝕んでいることがわかり、秋則は、絶対不可能と言われていた「りんごの無農薬栽培」に挑む。
私財を投げ打ち、10年にわたり挑戦を続けるが、無農薬のりんごが実ることはなかった。
周囲からは白い目で見られ、家族は貧困に打ちひしがれるが、そんなある時、荒れ果てた山の中で果実を実らせた1本の樹を見つける。

原作は、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」制作班が監修した「奇跡のリンゴ 『絶対不可能』を覆した農家・木村秋則の記録」(石川拓治著/幻冬舎文庫刊)。
監督は「ゴールデンスランバー」「チーム・バチスタの栄光」の中村義洋。
この映画の原作になったのが、この本である。「プロローグ」の部分が読める。 → 『奇跡のリンゴ』
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映画「奇跡のリンゴ」ができるまで──映画プロジェクト始動 ← いきさつが読める。
YouTube「奇跡のリンゴ」予告編
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阿部サダオ(木村秋則役インタビュー)
―映画『奇跡のリンゴ』のお話を聞いた時のご感想は?
台本がすごく面白くて、ぜひやりたい、と思いました。台本を読んで泣くことは滅多にないので、自分でもびっくりしました。
―木村秋則さんという実在の方を演じる上で気にしたことはありますか?
実際の木村さんはお喋りの仕方や間、笑顔、笑い声などが独特で、お会いしたら一瞬で引き込まれる方でした。
でも、演じるにあたっては、今の木村さんの真似はしないようにしました。
台本が面白いのに、外見を変えたりすることで「木村さんに似せているだけ」という印象になるのはもったいないですし、
映画で描かれているのは今の木村さんになるまでの物語ですので。
―菅野美穂さんとの共演はいかがでしたか?
完成した映画で、美栄子が1人で(秋則の書いた)日誌を読んでいるシーンを見たときに、すごい女優さんと共演させていただいたんだなと改めて思いました。
普段は明るくて面白くて、気さくに話される方だから、僕の知らないところであんな演技をされていたとは、って。すごく感動しましたね。
―現場で印象に残っているシーンは?
子供の作文を読むシーンでは、こみ上げてくるってこういうことなんだと思いました。泣こうと思わないで泣けたのは初めてでしたね。
何回か撮ったんですが、だんだん止まらなくなってきちゃったんです。撮影が朝早かったせいかもしれないけど(笑)。
あれは初めての経験でしたね。
―この映画に出演して、どんなことを感じましたか?
不可能と言われているのにもかかわらず、ひとつのことに挑戦し続けるのはすごいですよね。
それから、“1人じゃない”っていうのもこの映画のいいところだと思います。
お義父さんが協力してくれて、(秋則の)お母さんや友達など周りの人も支えてくれて。
これは、リンゴ作りに限らず、すべてに置き換えられるお話だと思うんです。
役者も、周りに生かされて、役を作ってもらう部分はすごくありますし、映画づくりもそうですしね。
前向きな作品ですから、観終わった後にいい気持ちになっていただけるのではないかと思います。
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木村秋則と自然栽培については、 → 『木村秋則と自然栽培の世界』という本が出ている。 参照されたい。
トークイベント─木村秋則ほか「森・土・海は食のゆりかご命のゆりかご」という企画が開催される。 ← ご覧あれ。
「木村秋則オフィシャルホームページ」 ← いろいろの分野で活躍する彼のことが、よく判る。アクセスされよ。
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私は、予め、上に引いた本などを読んでから上映初日に映画を見た。
率直な印象として、映画だから「絵」になりやすいところだけを強調してある。
十一年間にわたる無収入の連続、周囲の村人たちからの「反目」など、すごいものだったが、電気を切られ、税金の滞納で畑を差し押さえられ、という本当の苦闘は、
映画で簡単には描けなかったと思うが、見た人は感動に涙した人が多かった。
彼の農法は、よく言われる「有機農法」とも「放置農法」「粗放農法」とも違う。それらの違いについては、リンクに貼ったところで概要が書かれているから参照されよ。
いろいろの作物があるが、リンゴは格別に無農薬が難しいようである。
「農薬の害」というのは、栽培農家にとっては深刻なもので、「茶」の場合は、さほど難しくはないが、それでも熱心な栽培家ほど「農薬中毒」に侵されやすい。
私の村でも同年代の知人が農薬中毒──神経をやられやすい──で悲惨な末路を辿った人が何人か居るのが事実である。
そんな被害から、農薬は厳しく規制され、製造禁止になった農薬も多く、現在では効き目の緩いものになってきているが、その代り散布の回数が増えるというイタチダッコになる。
単純に考えてもらいたい。小さいとは言え、虫を殺すクスリが人間に無害ということはあり得ないのである。
アメリカなどで大規模に推進される「遺伝子操作」による種子など、及ぶ影響を考えると、そら恐ろしい限りである。
古くはレーチェル・カーソンの告発から始まる「警告」には耳を傾けてもらいたいものである。
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