K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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「詩と思想」2014年8月号掲載・新作詩「アンドロギュヌス」・・・・・・・・・・・木村草弥
アンドロ

川端

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   草弥の詩作品<草の領域>
      poetic, or not poetic,
      that is question. me free !
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──草弥の詩作品──(79)

   「詩と思想」2014年8月号掲載・新作詩「アンドロギュヌス」・・・・・・・・・・・木村草弥    

      アンドロギュヌス・・・・・・・・・・木村草弥

        あの子は売られて行きましたよ。
        もう少し早くいらっしゃればよかったのに。
        あなたに貰った薬を大切にしまっていましたよ。
        ちゃんと持って行きましたよ。
        たっしゃな子だから、一生にあの薬の数ほど、
         風邪をひくことはないでしょう。
        会った時、私も彼女も風邪をひいていたのだった。
         少女はその薬を風邪薬と信じていたのだろう。
            (川端康成『掌の小説』化粧の天使達)
     少年の頃に亡長兄の蔵書で川端康成の本をむさぼり読んだ。
     『掌の小説』や『浅草紅団』などである。
     まだ子供だったので性的には深い読解が出来なかった。
     『掌の小説』では堕胎しようと東京市電運転系統図を見なが
     ら男の掛声に合せて窓敷居から飛び下りて、どしんと尻餅を
     つく描写の「叩く子」や、「愛犬安産」という仔犬の産まれ
     る描写などに瞠目した。
     『浅草紅団』では主人公の弓子が時折、男に変装して「明公」
     という若者に変装したりして、いわゆる「アンドロギュヌス」
     (両性具有)の少女として設定されるなど「倒錯したエロチ
     シズム」を描写するところなど大正末期から昭和初期の大都
     会東京下町の風俗を活写したものだと今になって判るのだ。
     「女であること」を必要以上に露出する舞踏団やカジノ・フ
     ォーリー、売春など肉体の商品化は現代に続く風俗なのだ。
     弓子が「私は地震の娘です」と言い切り、小学校五年生だっ
     た関東大震災の混迷のさなかに姉の悲恋を見たのだ。
     アンドロギュヌスの聖性を帯びた美少女や、彼女と同様に、
     変装好きな紅団の面々。ポン引き、無頼の徒など、健全な市
     民から疎外された者たちを存分に跳梁させる『浅草紅団』の
     「アノミーそのものの世界」は、関東大震災に引続いて世界
     恐慌の波に洗われることになる「一九二〇年代の東京を裏返
     しにした陰画」を見る思いがする。
     それはプロレタリア文学が夢想していた革命の設計図とは別
     に、川端が垣間見た地下世界(アンダーワールド)の不逞な
     活力を活写した、と言えるだろうか。
     「地震の娘」の弓子に代わって、彼女よりも鮮明な輪郭で、
     算術が得意で成熟した女になりきっている「春子」。
     川端自身は後年『浅草紅団』を読み返すのに四日間もかかっ
     たと「嘔吐を催すほど厭であった」と述べているが、後には
     『浅草紅団』を好意的に捉え『伊豆の踊子』が人々を天城越
     えの旅に誘ったように『浅草紅団』は昭和初年代の風俗が綴
     られた都市文学として新しく評価されて来たのである。
     二〇〇五年にはアメリカでも翻訳されて、浅草の観光案内書
     として「浅草観光の上級あるいはマニア向けコース案内書」
     と呼ばれ、平成の今も残っている浅草独特の怪しい雰囲気を
     味わうことが可能だ、と解説されるに至っている。

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「詩と思想」2014年8月号用に編集部から投稿依頼があり、原稿を送っておいたが、本日それが掲載された雑誌が発行になった。
その日付に合わせてアップする次第である。
八月になると出版される「詩と思想詩人集2014」というアンソロジーに出した詩(4/10付でアップ済)と同じく「川端康成」を扱っている。






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