
仏桑華(ハイビスカス)あかあかと咲く城跡の
日だまり小さきイグアナが陽を浴ぶ・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
この歌は私の第四歌集『嬬恋』(角川書店)に載るもので、メキシコのユカタン半島のマヤの遺跡で作ったものである。
ただし自選60首には入れてないのでWeb上ではご覧いただけない。

ハイビスカスにも色々の改良種があり、色もさまざまなものがあるようだ。
しかし、何と言っても真紅のハイビスカスがメキシコの大地には、似つかわしい。
「ハイビスカス」は学名をHibiscusと言い、学名通りに呼ばれているもの。
アオイ科フヨウ属と言い、「仏桑華」というのは葉が桑の葉に似ているからという和名である。
三番目の花は改良種のピンクのものである。

ハワイでは州の花とされ、レイにされる。
インドが原産地とされるようで、暑いところでは、地中海沿岸、東南アジア、南太平洋など広範な地域に分布する。
熱帯性気候にマッチした鮮やかな花である。
ハイビスカス子は沖縄の娘を愛す・・・・・・・・・・森信子
というようなハイビスカスにぴったりの句も生れたりする。
「イグアナ」と一口に言っても、さまざまな種類があるらしい。
メキシコのユカタン半島に棲息するイグアナは、恐ろしげな姿はしていない。
灰緑色をしていて、変温動物なので日向で日光浴をしていたりするのが見受けられる。私の歌に詠んである通りのものである。
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以下、私の歌集に載る「マヤ」にまつわる一連の歌を再録する。
マヤの落暉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
はるばるとユーラシアより来しマヤ人も蒙古斑持つと知れば親しも
マヤ人は「暦の民」なり一年を三六五・二四日割りいだしたる
蝸牛(カラコル)と呼ばるる円き天蓋の天文台跡半ば崩えをり
仏桑華(ハイビスカス)あかあかと咲く城跡の日だまり小さきイグアナが陽を浴ぶ
日本より三ヶ月経て此処に着きし支倉常長が見しアカプルコ
トゥルムとは城壁の意なり群青のカリブの海に白く映えゐる
神殿を西向きに建てしは落日が次の日も昇れと祈りしならむ
───マヤはBC3世紀にはすでにゼロの概念を発見してゐた──
マヤ編める二十進法は十進法より大き数計算すばやく可能
ユカタンは石灰土壌「セノーテ」は地下水脈の湧きいづる井戸
午後四時ゆプラサ・メヒコは闘牛を見んと集へる六万の人
巨大なるすり鉢なせるコンクリート赤きマントに牛突っ込めり
信篤きインディオ、ディエゴ見しといふ褐色の肌黒髪の聖母
カトリック三大奇蹟の一つといふグアダルーペの聖母祀れり
聖母の絵見んと蝟集の群集をさばくため「動く歩道」を設置す
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