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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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宮尾節子詩集『明日戦争がはじまる』ほか・・・・・・・・・・・・木村草弥
宮尾①
 ↑ 宮尾節子第六詩集『明日戦争がはじまる』─思潮社オン・デマンド本2014/07/28刊
宮尾②
↑ 宮尾節子第五詩集『恋文病』微風通信2011/09/13刊
宮尾③
 ↑ 宮尾節子第四詩集『ドストエフスキーの青空』文游社2005/10/31刊

──新・読書ノート──

      宮尾節子詩集『明日戦争がはじまる』ほか・・・・・・・・・・・・木村草弥 

いま詩壇やツイッター上で、ひとしきり話題になっている宮尾節子さんの詩を採り上げる。
生年月日はわからないが、初老の人である。高知県生まれ。1993年、第10回現代詩ラ・メール新人賞受賞、とある。
吉原幸子さんなどと交流のあった人だろう。
「あとがきにかえて」と言う文章の中で、

< いろんな場面で、詩を書いてきました。書かせてもらってきました。
  病めるときも健やかなるときも、富めるときも貧しきときも──
  詩が、わたしを生かせてくれました。
  十歳から書き始めてすでに半世紀を越しました。
  これまで永く生きてきて、
  わたしにあったのは、ただ、二つの日だけでした。
  それは、
  詩が書けた日と、詩が書けない日。・・・・・・・・・>

と書かれている。作者の略歴としても、詩人としての姿勢も、これで十全に、わかる。

ネットに掲載された短詩「明日戦争がはじまる」が大変反響を呼び、ツイッターやフェイスブックでのリツイートなどが一万件を超えたという。
実は、この詩は、七年前に作られた作品だが、3:11以後にツイッターに発表され、七年前の詩ながら、今日的な話題として、もてはやされたのである。
以下、この詩を掲出しておく。 なお、この詩は「著作権フリー」を宣言された。

       明日戦争がはじまる・・・・・・・宮尾節子

   まいにち
   満員電車に乗って
   人を人とも
   思わなくなった

   インターネットの
   掲示板のカキコミで
   心を心とも
   思わなくなった

   虐待死や
   自殺のひんぱつに
   命を命とも
   思わなくなった

   じゅんび
   は
   ばっちりだ

   戦争を戦争とも
   思わなくなるために
   いよいよ
   明日戦争がはじまる
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この作者については季刊詩誌「びーぐる」25号2014/10 に「対論・この詩集を読め」に細見和之・山田兼士の二人で7ページにわたって詳しく論じられているので参照されたい。

この詩集に載る短い詩を二つ引く。

        記憶・・・・・・・・宮尾節子

   陸と海の境界線を
   体は知ってる

   そこを越えると
   涙が出るから

(草弥・注)この詩は、言うまでもないが、三年前の東日本大震災の「大津波」のことを描写しているのである。短詩ながら趣ふかい。
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       立葵・・・・・・宮尾節子

   たちあおいを
   みると
   ぶんがく、なんてするな
   たちゃあいい、とどなられる
   詩人を思い出す、くえなくて
   ふうぞくぼんの、ばいとする
   詩人の姿を
   立葵
   そして、駅のガード下で、
   風俗本を、見かけるたびに、
   色とりどりの、立葵の花畑が
   どこまでも、どこまでも
   ひろがっていくよ
   夏空の下を
   立葵
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なお、短い詩を二、三書き出しておく。 以下は、いずれも『ドストエフスキーの青空』から。

         水場・・・・・・宮尾節子

   愛は渇きだろうか
   水場を求める
   水を得て
   癒える

   だから口は
   口をと

   捜して
   犬が教える
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          ・・・・・・宮尾節子

   生きた
   火をかぶって


   死んだんじゃない
   生きた
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         らんぷ・・・・・・宮尾節子

   照らすが愛するなら
   愛されるは照らされる

   らんぷがひとつなら
   こたえもひとつ

   夜になれば
   わかる

   欲しいところより
   必要なところに

   


   

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