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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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女身仏に春剥落のつづきをり・・・・・・・・・・・・・・・・細見綾子
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女身仏(じょしんぶつ)に春剥落(はくらく)のつづきをり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・細見綾子


この句は奈良の秋篠寺を早春に訪れた折の句である。
折からの春雪に薄暗い堂内は森閑と冷えていた。
その引き締まった寒気の中に、寺宝の女身仏──伎芸天が立っている。
仏像の表面の黒漆は歳月の中で剥落し、やや赤みがかった地肌があらわになっているところがある。一瞬、長い時間の流れが、その仏の剥落の部分から透かし視られるような思いが作者を打ったのである。自分が視ているこの瞬間も、この仏像の剥落は見えないところで続いているのだと。
永遠と言っていい時の流れの実感を、伎芸天を見た印象に合わせて一瞬にして捉えたところに、この句の成功があったと言えるだろう。(句集『伎芸天』昭和48年刊 所載)

秋篠寺については、←このリンクに貼った記事などを参照されたい。
細見綾子については、←このリンクの記事などから読んでみられよ。
以下、少し彼女の句を引いておく。

 来てみればほほけちらして猫柳

 そら豆はまことに青き味したり

 うすものを着て雲の行くたのしさよ

 でで虫が桑で吹かるる秋の風

 弱けれど春日ざしなり夢殿に──法隆寺にて──

 ひし餅のひし形は誰(た)が思ひなる

 チューリップ喜びだけを持つてゐる

 風吹かず桃と蒸されて桃は八重

 み仏に美しきかな冬の塵──唐招提寺──

 寂光といふあらば見せよ曼珠沙華──法隆寺──

 まぶた重き仏を見たり深き春──法隆寺百済観音──

 見得るだけの鶏頭の紅うべなへり──十一月、沢木欣一と結婚──

 寒卵二つ置きたり相寄らず

 外套をはじめて着し子胸にボタン

 真をとめの梅ありにけり石(いそ)の上(かみ)

 谷へちる花のひとひらづつ夕日

 珠洲焼きのまこと砂色新茶汲む

 かきつばた紫を解き放ちゐし

 どんぐりが一つ落ちたり一つの音


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