藤原光顕の歌「終活」13首・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥

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藤原

──藤原光顕の歌──(19)

       藤原光顕の歌「終活」13首・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
                   ・・・・・たかまる通信No.98 2015/04/01所載・・・・・・

            終 活        藤原光顕

  延命処置不要家族葬で可と書いただけで終活はまた頓挫してます
  冬空のあざやかな軌跡 帰還場面たぶん見られぬロケットが発つ
  マンション高階女優の孤独死と聞けばまず思うその窓の光景
  とりあえず野菜コ—ナ—を端まで歩く特売もやしへ戻ると決めて
  この町でいちばん高い十二階春分のやけに眩しい雲などのせて
  あのバイパスを抜けて何処へ行くのか冷たい雨にみんな消える
  ええかげんにしてくれ 羊を数える夜の長さ朝は必ず来るという嘘
  地下鉄の階段がだんだん急になる そんな病院に六年通う
  「好きなだけ摂ってください酒煙草塩分糖分脂肪分のほかは」
  サボテンの陽射しが連れてゆくメキシコで半時間ほど遊んでくる
  ベランダの柵の蜘蛛の巣 あれもこれもなんとか過ぎて春がくる
  どたんばまで行くしかないかトタン屋根の西半分濡らして日照雨が過ぎる
  つかのまの日射しを見せてすぐに降る 曲がりくねって春が来る
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「終活」──何とも「うらさびしい」言葉である。
こういう言葉が流行る「多老人国家」になってしまった。
一昨年秋に訪問したベトナムは人口九〇〇〇万人のうち、十四歳以下が半数を占める、という国だった。
このような国は世界中にたくさんある。
それに比べると、老人国家たる我が国との「対比」は誰の目にも明らかである。「勢い」が違う。
江戸時代は三千万人の人口だったという。 だから人口が少ないなら、少ないなりに国が生きてゆける道を探る、のが必要ではないか。
藤原さんの歌を鑑賞しながら、そんなことを考えさせられた。
それにしても、梅木望輔さんのイラストは、いつ見ても、素晴らしい。彼が死んで、もう何年になるだろうか。
藤原さんは、次歌集の刊行を決意されたらしい。 一冊にまとまった歌が待ち遠しい。
ご恵贈ありがとうございました。


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